チャイコの「1812年」を初めて聴いたのは自分が中学校のころ、昭和50年代前半だろう。

パソコンやスマホ、ネット環境がない当時、クラシックを聴く手段で一番手軽だったのはラジオだった(ちなみに当時はCDすらない。レコードとカセットテープ、オープンリールのテープはあったけれど)。雑誌でFMの番組をチェックして、ラジカセでカセットテープに録音。そのテープを繰り返し聴くというパターン。その中に「1812年」の演奏があった。

テープは今でもどこかにある筈だが、今となっては指揮者やオケは分からない。曲の終わりに拍手が起こった記憶があるからライブ録音か。後半のEsdurのロシア国家「B、C、C、B、G、Es~」の代わりにグリンカの「G、F、Es、F、Es、F、G、B、G、F~」という(原曲からすれば取って付けたような)旋律だが、自分が初めて聴いた演奏なので仕方がない。グリンカの方が和音が斬新で、今聴いてもわくわくする。かっこいい。

生物やら教育やら音楽やら、いろんな分野で言われることだが、自分にとって初めて、ということは重要で自分の考え方に大きく影響すると感じる。親のしつけ、学校の先生の教え、言葉、音楽、などなど。

後から「それは違っている」と分かっても、刷り込まれてしまった記憶を変えるのは難しい。それは、音楽に限らず人種、国家、宗教など…。おっとあぶない