合奏から離れてもうかなりになるのだけれど、油断すると昔聴いた演奏が(もちろん自分の演奏ではない)、ふっと頭の中、というか耳に鳴り響いて困る困る。仕事の最中なのに、これだからなあ。
 さっきから聴こえているのはブルックナーの交響曲第5番Bdur。演奏は故朝比奈隆マエストロ指揮のシカゴシンフォニー。これはNHKの番組放送当時、幸運なことにオンタイムで聴く(見る)ことができた。その後DVDも手に入った。
 余計な音響をいれていないと思われる、残響の少ないゆったりゆったりした演奏、第4楽章のフィナーレのドラマチックさももちろんだが、いわゆる舞台裏、トロンボーンを3本でこなそうとするJ・フリードマン氏と、アシをつけようとするマエストロのやりとりが、すごい。「プライド」がぶつかって本番ではこんな鬼気迫る演奏になるんだなあ、と鳥肌が立つ。