今回も???なことをニュースで見かけたので、添削するつもりで書きます
天皇が「もう疲れたので皇太子に天皇の位を譲りたい、、、」と言ったと報道されています(いろんなニュースを見て私の言葉で言うとこんなことになります!)
で、生前退位に関して色んな意見や懸念が報じられていますが、さっきYahooニュースで

政府関係者「天皇陛下の生前退位は無理」

というニュースを見かけました。その中で、、

政府関係者は14日夜、天皇陛下が生前に天皇の位を皇太子さまに譲る「生前退位」の意向を持たれていることについて、憲法上の問題から「天皇陛下の生前退位は無理だ」と述べ、公務の負担軽減を軸に検討していくべきとの考えを示した。

と報じられていました。なぜなのか全くわからないのですが、ニュースのなかでは次のような解釈がされていました。

 陛下の意向があると報じられる中で、皇位継承について定めた皇室典範を変えることが、天皇の国政への関与を禁じた憲法第4条に抵触する可能性を念頭に置いたものとみられる。
 また、「生前退位」という制度を設けることと、摂政を置くことを定めた憲法第5条との整合性を問題視しているとみられる。


まあ、「政府関係者」の言ってることはまったくもってトンチンカンなので真意がよくわからないのですが、敢えて推察すると、私が解釈してもこんなところであるように思われます
だとすれば、どこがトンチンカンの勘違いなのかといえば、、
まず「天皇の国政への関与を禁じた憲法第4条に抵触する可能性」ですが、当の条文は

第四条
 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。
○2 天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。

となっており「国事行為」は以下のように定義されています

第六条
 天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。
○2 天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。
第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
 国会を召集すること。
 衆議院を解散すること。
 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
 栄典を授与すること。
 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
 外国の大使及び公使を接受すること。
 儀式を行ふこと。

となっていて、これ以外の「国政に関する権能を有しない」のです。ですが、これ以外のすべての行為ができないわけではないのは当たり前です(ご飯を食べたり、ウンチやオシッコをしたり、被災地に出かけてみんなの話を聞いたり励ましたり、車の運転をしたりできます、、、当たり前ですね!)
天皇の行為が、憲法第6条・第7条に書いてあることに限られるのは「国の政治に関すること」に関してだけです
では、今回の「生前退位」に関する天皇の発言はこの「国の政治に関すること=国事行為」に当たるでしょうか?
確かに天皇が生前退位をするための法律の制定や皇室典範の改正を行政府や立法府に要請/命令したのならば国事行為と言えるかもしれません
しかし、憲法第4条を冷静に読んでみれば、憲法は天皇の国事行為を一部を除き「禁止」しているのではなく、例示していること以外には「国政に関する権能を有しない」としていることに気がつくと思います。つまり、天皇が法律の制定などを命じたとしてもその行為は意味のないことであり考慮する必要がないタワゴトなのです。ですから、天皇が要請/命令したとしても憲法違反の行為があったと大騒ぎするのではなく単に無視すればよいわけです
更に、今回の天皇の発言は公式に行政府や立法府に対して発せられたものですらなく、自分の気持を身内やごく近い宮内庁の人に対して吐露したものと伝えられていることから「憲法違反の行為である!」などと騒ぐのは見当違いであることは火を見るより明らかです、ほんとに!
また、摂政に関する規定との関係ですが、憲法の規定は、、、

 
第五条 皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行ふ。この場合には、前条第一項の規定を準用する

となっています
これも冷静に読めば、この規定は「摂政を置くとき」の規定であって、天皇がその職務を全うできない場合は摂政を置かなければならないと規定しているわけではないのです。ですから、天皇の生前退位がこの規定と整合しないなどとは笑止の話です

更に憲法第1条には

第一条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く

と規定してあるので「主権の存する日本国民の総意に基」国会において、生前に天皇の「地位」を譲ることができるように規定を制定することは憲法上ちゃんと許されているといえるでしょう

以上のように、「政府関係者」なる頓珍漢の「考え」なるものがあまりにも見当違いであることが皆さんにもよくわかると思います
こんなこともわからない「政府関係者」がいるかと思うと心底腹立たしいというより恐怖に心が冷えます!私たちはこんなにも憲法を理解しない・できない「政府関係者」に大事な行政を任せているのです
日本はほんとうに大丈夫なのでしょうか?中国・韓国・北朝鮮による脅威よりももっと身近で恐ろしい脅威があることに気がついてしまいました!!
でも、もっと実際的なところは「今話題の憲法問題にしてしまえば面倒な法律改正などをしないで済む」とか「だから憲法は第9条以外にも改正しなければいけないところがいっぱいある、と宣伝できる!」などと思っているだけなのかもしれません。だとしても、これはこれで天皇の考え/気持ちを全く考慮せず自分のことだけしか考えていない唾棄すべき「政府関係者」であることは明白です

ニュースで見る限り、多くの人が(特に被災地で天皇と親しく接した人たちが)「充分良くしていただきました。もうお年なのだからゆっくりお休みになってほしいと思います」などと話しています。私には国民の大多数がこう思っていると感じられます

やい「政府関係者」!! 事なかれ主義や姑息な日和見主義を捨てて、孤独で疲れている老人を救うため出来ることをやるのが「公務員」たるものだろうが!!! もっと真剣に自分のやるべきことをやりなさい! 君みたいな公務員がいるから他の真面目にやってる99%の公務員が風評被害にあっているのがわからないのか!!!

と、今回は怒ってます

p.s.::
この項を書いた以降もいろんな事が、発信されています
が、その中で  「生前退位を認める規定を設けると、国民世論を誘導する目的で、恣意的に天皇を退位させる輩や、退位をチラつかせる天皇が出てくる虞がある」 との意見がありました
上の方で書いたとおり、国民が憲法を冷静に、かつ正しく運用しさえすれば問題ないと思うのですが、ヤッパリちょっと心配でしょうか、、、日本人って情緒に流されやすいですからね~~
であればいっそのこと、天皇も定年制にしてしまうのはどうでしょうか?
65歳になるまでは頑張ってもらうけれど、それ以前に職務を全うすることができなくなれば摂政を置く
で、摂政のあるなしに関わらず 、65歳になったら退位して頂く
これだと「恣意」の入る余地はないと思うのですが、、、
民間のサラリーマンや公務員とおんなじ、いや、もっと緊張と気配りの求められる職業である天皇「職」に定年を設け余生をの~んびり過ごすようにして差し上げるのが、天皇の雇用主としての国民の思いやりではないでしょうか
また、定年制という「恣意」の入りにくい制度にすることによって、天皇に対する「過度」の思い入れをいくらかでも排除できるのではと思っています
@18.10.2016