昨日、1200円という安さにつられて、井上陽介Quartettoのライブに行ってきました
ご本人も言っていましたが「井上陽水ではありません!」日本を代表すると言ってもいいJAZZベーシストです。クラ~い、オモ~い、、酒と麻薬と男と女、といったイーストコーストjazz、、ではなくノリのいいロック&ラテンテイストの楽しいjazzです。おおいに楽しみました
で、なんでPAの話になるかというと、、、ちょっと長くなりますがお付き合いください(絵なしです)

そもそもライブにおけるPAの必然性について「疑問」というか反論があるのです。昔から!
音の大きさについては、これも大きな問題ですが、ここでは「私は大きな音は嫌いではありません」とだけ言っておきましょう。この問題はまた後で考えてみたいと思います
ここで私の言いたいのは「ライブにおいてPAって必要なのか」ってことです、
そもそもPAは客席の隅々まで明確で瑞々しい音を供給するのが目的の筈です
だとすれば、金管を始めとする管楽器やドラムセットの様な打楽器、スピーカーで発音する電子・電気楽器の類いは本来音が大きく(だだっ広い所でやる野外ライブでもなければ)かなり広いホールでも十分全席に明確で瑞々しい音を届けることが出来るため基本的にPAは必要ない筈です。もし、PAなしだと後ろの方の席で音が崩れてしまう様であれば、それはホールの音響設計に問題があるのであって 、舞台脇のスピーカーから大音響を流しても音質の悪化こそあれなんの改善にもなりません。そんなときは、イコライザやタイムディレイを駆使してウォールスピーカーから補正音を流すことでもしない限り改善策はありません
それに対し、ボーカルや弦楽器(jazzであればウッドベースなど)、ピアノなどは、そのままでは音量的にラッパやドラム、エレキに負けてしまってバランスが取れないので、どうしてもPAが必要になってきます
つまり、必要なものだけにPAをカマしてラッパ・ドラム・エレキとバランスが取れる音量までボリュームアップしてあげればいいわけです
ここで、「じゃ、なんでそうしないの?」と、思う訳ですが、原因は演奏者に対するフィードバック用音源の必要性にあるんじゃないかと思うわけです
演奏者は、自分の出している音は聞こえても、遠くで演奏している人の音はよく聞こえないし、自分の音さえも全体の中でどんな具合に響いてるのか見当がつかないのですね。指揮者がいればそこんところのバランスをとるのは任せられるのでしょうが、セッションではそれぞれの演奏者が判断して音楽を作っていかなければならない(そこがセッションの醍醐味ですが)ので、全体の音を聞く必要が絶対にあるのです
で、全体の音を聴くために個々の演奏者の出す音をマイクで拾い、バランスをとった上でそれぞれの演奏者の処へ返してやる必要がある、それがフィードバックとなってセッションの完成度を上げることになるというわけです。つまり、その音源を単に何の工夫もなくPAとして会場に垂れ流しているわけです
これのどこが問題かというと、、、、「必要のないものまでアンプとスピーカーをとおしている」ことにあります
古今東西、音響機器をとおせば音が劣化するのは常識です。レコードやCDの再生の場合は音源であるレコードやCDがもはやカンヅメ音楽である(これに関しては深遠な議論があるのは承知していますがここではスルーしちゃいます)ためどんな音が出てきてもある意味諦めがつきますが、ライブPAの場合は生音源が「すぐそこ」にあるわけで、音が悪ければ泣きたくなってしまうわけです。電子・電気楽器にしてもミュージシャンがアンプやスピーカー、果てはアンプの中の真空管や部品の1つ1つにまで拘った音作りの末に創り上げた珠玉の音をそのまま聞きたいわけです!だから、PAする必要のないものは生の音を聴かせてもらいたい、PAを必要とするものもできるだけいい音で聴きたい、と切に思うわけです

今回のライブは、会場に入ってみるとPA用にエレクトロボイスのスピーカーユニットSX300でしょうか、よく見かける奴が片側2個づつ計4個ステージ上にありました。ちょっと嫌な予感、、、このスピーカーよく使われていて何回も聞いたことあるのですが、私と相性が悪いのです。ドンシャリ傾向でウルサイのです、私にとって。本来ドンシャリの好きな私ですが、中音から上の分離が悪いというか、ほぐれが悪く感じてしまい、うるさく思えるのでしょう。
陽介さんが登場してMCを始めた途端、予感的中を感じました。人工音声みたいな嫌な・ザラザラした耳障りな音色なんです。彼がベースを弾き始めるとウッドベースなのに全然弾んでなく「どよ~ん」と濁った、只々大きな低音が、、、ドラムはシンバルの響きが耐えられないくらいに耳障り、、ギターもキンキン、、ピアノに至っては真ん中から上の音がチャラチャラとまるでオモチャのピアノの様、、確かに田舎のホールの備品のピアノかもしれませんが腐ってもスタインウェイです、この音は失礼じゃないですか!、、ちょっと冷静さを欠いてしまいました、、でも偽らざる感想です
原因を考えるに、たぶんアンプでしょう。分離の悪い大出力アンプが、これもほぐれの悪いドンシャリスピーカーをドライブした結果と思われました。これを「躍動感のある、元気なライブ」というのであれば私とは価値観が違いすぎます
なので、音質のことは頑張って無視し、ひたすら演奏を楽しむことにしました
演奏の方はとってもGOOD!ノリノリで楽しかったです!演奏もダメだったら出てきちゃう所でした
聞いてるうちに耳が慣れるかと思いましたが、第二部が始まっても変わらず、やっぱり駄目かと思っていたら、、、二部が始まってしばらくすると少しづつ変わってきました。高音が勝っているのは変わらないんですが、音の分離が良くなってきたのか、ギターがキンキンから張りのあるエレキトーンへ、ベースは弾んで、シンバルもちゃんと金属を叩く感じのクラッシュ音が,,一番変わったのがピアノで,おもちゃのピアノが田舎のホールの備品のピアノくらいにはなりました.ちゃんとグランドピアノの音がします!やっぱり原因はアンプだったようで,一時間以上経ってやっと暖まりまともな音が出せるようになったんですね.ミクサーの人はアンプの予熱にも気を配ってください!それと,やっぱり,フィードバックとPAはミクシングを変えて,必要ない楽器のPAをやめて欲しかった,,,
さらにフィードバックの音源をそのままPAに使うことに関して言えば、フィードバック音源はごく近くで聞かれるのに対し、観客席はPAスピーカーから遠く離れていることも問題となります
ホールにはそれぞれ特有の音響特性があり、どんなにうまく設計されているホールでも場所により必ず聴こえ方に違いがあります。それを、どこにいてもだいたいよく聞こえる様にイコライジングし音量設定をするのがミクサーの腕とセンスなのですが、単にフィードバック音源をそのまま流してるとか思えないPAをよく見かけ(聴きかけ?)ます。フィードバックとしては細部まではっきりと聞こえる必要がある訳で,ある意味心地よい音質よりは解像度が優先されると思いますが、演奏を聴く立場としては全体が程よくブレンドされた心地よい音質を望むわけです.ただこれは私だけかもしれませんので,偏った考えでしょうが,,,
どのみち,フィードバックとPAは求められる役割や音質が違うのだから,別のミクシングが必要だと思うわけです.でもそれはふた通りのミクシングをするための機材や手間がかかるわけで,コスト的にもペイしないのでしょう
これは「私がプロデュースするのであればこうしたいと思う」といった夢物語ではあるのですが,少なくとも,ミクサーさんは会場での音質をチェックしてどうすれば自分の思った音が観客に届くのかを考えて欲しいと思うわけです

長年思っていたことなので,少し,,すごく,,長くなってしまいましたが,書いてみました

井上陽介Quartetto,初めて聞きましたがすきになりました!とってもいい感じです
まだならば,聞いてみてください(残念ながらiTunesには無いようですが,,,)
オススメです