如何なるスポーツも勝敗をつけるために戦う。対戦した両者が同じ得点で試合が終えたからといって、そのまま引き分けで試合を終えるのはサッカーくらいのものである。
(一昨日(5日のW杯アジア最終予選第1戦)は中国の余りの弱さに驚いたけれど、韓国がパレスチナと引き分けたのにも驚いた)
なぜサッカーは引き分けが多いのか。それは得点が入りにくいからだ。
九月に入ったのに猛暑日になりそうだから真夏のことを思い出したわけではないが、高校野球について。
高校野球連盟(高野連)は今年からバットの反発力を低下させた。打球による投手の怪我を防ぐためだ。その結果、打球の速度は遅くなり、遠くへ飛ばなくなった。ヒット(安打)は減少し、特に本塁打(ホームラン)は大幅に減少した(夏の甲子園では昨年23本、今年7本)。得点が入りにくくなったのだ。
つまり、高校野球は「引き分け」の確率が上昇した。
なので、決勝戦が「引き分け」に終っても驚くことではない(※1)。
コロナに悩まされて家に閉じ込められていたのが7月下旬だったため、その頃に行われていた高校野球の地方大会をたくさん観た。主催の朝日新聞とYAHOOが連携して、地方大会も全試合の映像をインターネットで流してくれたので、故郷の石川大会をはじめとする全国各地の試合を観ることができた。
それらの中で、この夏の甲子園決勝と同じタイブレーク(※2)は3試合を記憶している。
一つ目は石川大会の星稜VS遊学館。遊学館内野手の悪送球で星稜がサヨナラ勝ちした。常に得点圏に走者がいるタイブレークでは、送球の正確さが勝敗に大きく影響すると痛感した。
二つ目は埼玉大会の花咲徳栄VS西武台。雷雨による1時間以上の中断があった試合で、試合は花咲徳栄の勝利だったのだが、7回を迎える時点でコールドゲーム(※3)成立条件の8点差をつけられた西武台が「引き分け」に持ち込んだ健闘に拍手を送ったものだ。
最後は千葉大会決勝、木更津総合VS市立船橋。
この試合には、高校野球には大変珍しい【判定に対する抗議による試合中断】があった。
1対1の「引き分け」で終了した試合は延長10回表。市立船橋の最初の打者がバントで走者を進めて1死2・3塁。
ここで「事件」が起きる。
スクイズのサインでも出ていたのであろうか。市立船橋の3塁走者が投手の投球と同時に本塁へ走る。だが、木更津総合の投手の投球はそのまま捕手のミットへ。3塁走者を見た捕手はすかさずボールを3塁に投じる。これが、本塁に背を向けて3塁へ戻っている走者の右肩に当たり、ボールはファウルグラウンドへ転がっていった。3塁走者は反転して本塁へ向かい、ベースを駆け抜ける。
市立船橋の得点!
しかし、ボールが走者に当たった直後に、主審は右手を挙げていた。そして、その手を、本塁を駆け抜けた走者に向ける。
守備妨害!
3塁走者は送球を妨害するため意図的に走るコースを変えた、という判定だ。これにより3塁走者はボールが当たった時点でアウト。得点にはならない。
ここで、市立船橋のキャプテンが主審に質問をはじめる。そして、ベンチに帰って主審の回答を監督に伝える(高校野球では、監督はグラウンドには出られない)。監督の指示により、主将は主審の下に走り寄り再び質問。 これが何度か繰り返され、試合は20分余り中断する。
これを私は【判定に対する抗議による試合中断】と表わしたものです。
判定が変わるはずはなく、このまま試合再開。二死2塁。次打者が凡退して市立船橋は得点を挙げられなかった。
その裏。木更津総合の最初の打者もバント。この球を捕った市立船橋の選手が1塁に投じた送球がバントした木更津総合の打者走者の背中に当たり、ボールはファウルグラウンドへ。
やっぱり送球は大事だ。
2塁走者が3塁を回って本塁を駆け抜け、木更津総合が甲子園出場を決めた。
崩れ落ちる市立船橋の選手達・・・
試合終了後の挨拶の列がなかなか整わない。木更津総合の選手達、そして審判各位は列を整えて待つ。ずっと待つ・・・
タイブレークとは、所詮は試合の決着をつける便宜的手段だ。便宜的なものは、便宜的な結果しかもたらさない。それなりの価値しかない。
運だよ、運。市立船橋は運が悪かった。それだけのことだ・・・と思うことにしよう。
※1:京都国際VS関東第一の決勝は9回を終了して0対0。延長10回2対1で京都国際が勝利し初優勝。
※2:”tie break” 9回を終了して同点だった場合、延長10回からは無死1・2塁から試合を始め、それぞれの回が終った時点で得点の多い方が勝者となる。
※3:”called game” 7回終了時点で7点以上の差がついた場合、その時点で試合は打ち切られる。5回以降の各回で打ち切りの得点差が決められている。決勝戦では適用されない。
今年の夏の甲子園最大のニュースは、もちろん
小松大谷 大阪桐蔭に勝利
石川県代表が甲子園で優勝するときが近づいている、と勝手に思っている。
今年など、春の選抜に2校(星稜、日本航空石川)が出場したのに、夏の甲子園に来たのはその2校を降した小松大谷。それが優勝候補の大阪代表を破った。こんな強い県、他にない!
石川はこれまで準優勝2回。いずれも星稜高校。
高校野球は、ご存知のように、次の10地域に分けられている。
北海道、東北、関東、東京、北信越、東海、近畿、中国、四国、九州
この中で、夏の甲子園優勝のない地域は、実は、北信越だけ。
石川でなくても良いんで。福井でも富山でも新潟でも長野でも、優勝を目指そう!
カターレ! アルビ! パルセイロ! 山雅!
ありゃ、サッカーに戻ってしまった。
いや、カターレ富山よ、9月22日には覚悟しておけよ。ゴーゴーカレースタジアム金沢で待っとるさけな。
全国制覇のためには、こんな「コップの中の嵐」(三部リーグの2位争い)やっとる場合やないんやけどな。
さあ、横浜へ向かおう(J3第27節YSCC横浜VSツエーゲン金沢のために)。