ほとんどの方は忘れておられると思いますが、ついこの前、7月25日まで国会というものが開かれていました。

 物価が上がり、国民生活がじわじわと苦しくなり、中小企業の業績が少しずつ悪化している経済状況の中で、皇室に関することとか、首都のバックアップ機能をどうするかとか、選挙制度を変えようだとか、まるで経済や国民生活と関係のない法案を最優先と言って実際その通りに審議した国会及び政党及び国会議員たちのバカさ加減には呆れる他ありませんが、ここでは、こんな中でひっそりと(?)成立したある法案について一言申し上げておきます。

 

 7月10日、個人情報保護法の改正案が成立しました。

この改正の問題点について、異なる視点から2つの問題を提起します。

 一つ目は、医療に関する個人情報が、匿名化されるとはいえ、本人の承諾なしに、生成AIを含む研究を行っている組織に渡すことができるようになったことです。

 キーワードは「統計作成等」です。この業務を行うためなら、本来ならば必須である「(個人情報の所有者である)本人の同意」なしに、その組織に情報を渡して良いということになっているのです。

 法律の条文(第30条の2)を読んでもAI、生成AIという語は全く出てきません。では、この「統計作成等」にAIが含まれる根拠が何かというと、個人情報保護委員会がそう言っているからです。

 それを示す資料のリンク先を貼っておきますが、わかりやすくないので、このページだけでなく探してみてください。

 

 

 何せ、法律の条文はややこし過ぎて、読み通すことすら(私には)至難の業なので(かつ、読み通しても意味が解らなかったりして)、わかるのは、この条が、本来ならば本人の承諾を必須としている個人情報の第三者への譲渡(提供)の例外をつらつらと定めているということくらいです。つまり、こういう場合は本人の承諾は不要ですよ、と列挙している条です。

 私は、IT関係の仕事で個人情報に携わった経験があるので、それ以降この個人情報保護法には関心を向けてきました。この方は3年に一度見直されることになっているので、その都度思い出させてくれるという、普段特に法律に関心のない(仕事に関係のある民法とか下請法(取引適正化法)は別にして)私には都合が良いこともありました。

 また、個人的には現在そしてこれから高度な癌治療を受けるため、貴重な医療情報を提供する立場になるわけです。

 もっとも、私は自身の医療情報のAIへの提供を拒むことはないと思いますが。

 

 

 さて、問題の二つ目は、かかる重要な決定が「国権の最高機関」である国会でなされるのではなく、個人情報委員会という、選挙の洗礼を受けない、はっきり言って訳の分からん組織(政府機関)に委ねられていることです。

 先述の3年毎の法の見直しの度に、この委員会の権限が強くなっているような気がしているのですが、いかがでしょう。

 

 ついでに第3の問題点を書くならば、このような重要な問題をほとんど報じなかったマスコミと、法律関係者のボケぶりです。

 まあ、私がこれらの問題を知ったのはA紙のお陰なので結局はマスコミ頼りなのですが、かかる難しい条文を読みこなして素人に説明してくれる法律の専門家が周囲にいないのです。

 それは別に弁護士でなくとも、新聞記者でも、そして国会議員でもよいわけですが。

 国会で定める法は、その中で「政令に委ねる」とか書いて、「中身は政府が決めるよ」としている部分が結構あります。つまり、国会(立法)が政府(行政)に任せてしまっているわけです。

 法律の改正だからといって法だけ読んでいてはダメで、その「下」の政令、さらには省令、さらにはその下の局長通知などの中央官庁の文書に業務が影響されたことは、私もこれまで度々経験があります。そして、そういう細かいことを教えてくれなかった法律関係者には強い不満を持っています(あくまで、私の勤務する会社と私のプライベートな経験によるものですが)。

 

 

 というわけで、私は食道癌治療のためアサイラムに行きます。しかし、そこでは携帯(スマホ)で大手マスコミのニュースに頼るしかないのでしょうね。

 

 では、また、いずれ。