2024年8月17日 大宮アルディージャVSツエーゲン金沢

(明治安田J3リーグ第24節 at NACK5スタジアム大宮)

 首位と5位の対決。そして2対0で首位の勝利。結果だけ見れば、首位のチームが力を見せつけて圧勝したような印象を与えるだろう。

 しかし、試合内容は真逆であった。試合を終始コントロールしていたのは5位のチーム、すなわち金沢であった。

 ただ、得点を入れたのが大宮の外国人選手だけであったということだ。それが2度起きた。

 勝敗を分けたのはそれだけ、と言えなくもないが、この差がとてつもなく大きいことも、また真実であろう。

<試合終了の瞬間>

 

 この差を埋めるべく、何とこの時期になって金沢はフォワード(FW)を補強した(8月21日発表)。

 このニュースにはさすがに私も驚いた。残り14試合の段階での補強というだけで驚いたのだが、それが同じJ3岐阜の選手ということにも。

 いわゆる引き抜き。

 この田口選手は高校卒業後プロ入りし今年5年目。すべてJ3のチームで過ごしている。挙げた得点数を見ると、今年が一番多い。今年はまだ途中なのに。

 つまり、高卒から徐々に積み上げてきて、今年成果を出している感じなのだ。普通ならこんな選手手放さないよね。

 何かありました? 岐阜さん。

 

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 このニュースを聞いて(実際にはスマホで読んで)思い出したのは、先日の大宮戦の試合終了近くのシーン。

 このとき2点差を追っていた金沢は、システムを「3-4-2-1」から「4-2-3-1」に変えていた。

 だが、私の目には「4-4-2」にし見えなかった。トップ(FW)の1の後ろの3の真ん中にいるはずの梶浦選手がずっと前の1の選手と同じ高さ(相手ゴールに近いことを「高い」という)にいたからだ。

 それでも私が「4-2-3-1」と書くのは、チームのコントローラである彼が、一番前にいろとの指示を監督から受けるはずがないと思っているからだ。「3-4-2-1」のときも彼は1(FW)の後ろの2のポジションである。

 20歳ながら、ここまでチームを引っ張ってきた梶浦。チームの中心とサポーターの誰もが認める梶浦。チームで一番上手い梶浦。

<試合終了後、バックスタンドのわずかな一角を占める金沢サポーターに挨拶する選手達。ここに気付かずに引き揚げていくところ、誰かが気付いたのだった。黄色矢印は梶浦>

 

 なぜ彼はずっと前にいたのか。点を取りたかったから。それは間違いない。

 そして、点を取るために前に行ってしまうと、すぐに戻れるほどの体力がもう残っていなかったのだ。

<挨拶を終え引き揚げる選手達。黄色矢印の梶浦が話しているのはFW杉浦>

 

 その体力の残っていない選手をピッチに残さざるを得ない金沢。攻撃の選手の層の薄い金沢。

 この7月に選手3人を補強したときにも、サポーターの間では「FW専門の選手がいない。もう一人FWを補強するのでは」という、期待を込めた声が多く上がっていた。それが、1カ月半経って実現した。

<以上2024年8月17日NACK5スタジアムにて撮影>

 

 J3にも関わらず1万1千人余りの観客を集めた熱戦。売店は行列で売切れメニューも多く、夕食を買おうとした私には、ほぼカレーしか選択肢がなかった。おいしかったですよ、とても。暑い季節に丁度良かった。

 同時に購入したビールのカップには選手の直筆サインが。別にこの選手にも大宮にも恨みはないので、楽しいスーベニールとして使わせて頂いてます。

 多くのサポーターから「エナジードリンクは配ってないのかな」との声が聞こえましたが、そんなことがあるはずもなく(大宮アルディージャのレッドブルへの経営権譲渡は9月1日付)。

 

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 現在(第24節終了時点)のJ3の順位。

 首位大宮が2位沼津に勝点13差をつけ独走状態。2位沼津から6位金沢までの勝点差は、わずか4。2位と3位今治は同勝点。そこから勝点差4で富山、北九州、金沢が並ぶ。

 2位以上は自動でJ2に昇格。3位から6位は3つめの昇格枠を争うトーナメントを戦う。つまり、現時点で狙うべきは、あくまで2位。首位大宮に敗れたから言ってしまうが、もはや2位しか見る必要はない。

 今後の日程。沼津、富山、北九州との対戦は残っている。おお、富山戦は9月の3連休の真ん中やないか・・・