またまたお留守番。日曜日朝NHK Eテレの「日曜美術館」を観る。タイトルが「工芸王国石川に生きる」だったから。
今年元日の地震のこともあり、きっと輪島塗のことが中心だろうと思っていたら、同じ漆器でも、我が故郷・加賀市の山中漆器だった。
この4月からこの番組の案内役を務める坂本美雨さんが登場した次のシーン。見た瞬間、撮影場所はわかった。
<加賀山中大橋>
何度も通っている橋。この道の先に山代温泉がある。道場六三郎さんの生まれ育った地区を通過して。
その橋から望む大聖寺川。この先に山代温泉及び私の実家がある。
<大橋から望む大聖寺川>
木々の色からして、今年の5月下旬に撮影されたものだ。番組のこの後に、5月下旬に金沢で開催された「石川伝統工芸展」を坂本さんが訪れるシーンがあることでも、それは裏付けられる(写真はいずれもテレビ画面をスマホで撮影したもの)。
折角なので山中漆器を紹介しましょう。
山中塗(山中漆器)オフィシャルサイト
山中木製漆器協同組合(ショップサイト)
しかし、自分が生まれた所でつくられている名産品であるにもかかわらず、この番組を観て、私は山中塗について何も知らないのだと、恥じることしきり。
その一つが
加飾挽き(かしょくびき)
というという技法。
子供の頃から、漆器のお椀には細かい筋が何本も入っているものがあるのに気付いていて、細かいなあ、わざわざこんな筋つけて、などと思っていたのだけれど、これが山中塗り特有の技法だということをこの歳になって初めて知った。
こちらのホームページも参考に勉強しました。
坂本さんが訪れた「石川伝統工芸展」も、改めてホームページで作品を観てビックリ。凄い作品ばかり。美しい。素晴らしい。
会場は、百貨店である。近江町市場の隣の名鉄エムザ。
つまり、これは商売だ。美術館の展覧会ではない。売るための見本市だ。
大昔、九谷焼作家である従姉に、幼き私は問うた。
「従姉(ねえ)さんは芸術家なんか、職人なんか?」
従姉はしばし考えた後に、
「わからんわ」
と答えた。それは、そんなこと考えたこともなかった、という意味であったと、私は捉えた。青白き頭脳による拙い問いであったなあ。
NHKの番組に戻る。この中で山中塗の人間国宝・川北さんは言う。
「用の美」
実際に使うこと(用)を前提に美を追究する。それが、美のみを追究する芸術家ではなく、工芸家たる所以であると。
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坂本美雨さんは、毎週月曜から木曜の午前にTOKYO FMの番組で長くMCを務めておられるので、声だけは知っていた。澄んだ、爽やかな、美しい声だ。かつ、そこでのゲスト(ほとんどはミュージシャン)との会話も丁寧だが、本質的で、鋭く、明確でもある。
その坂本美雨さんが、この4月からNHK「日曜美術館」の案内人となり、映像でお姿を拝見できるようになり、私は益々ファンになってしまった。
<坂本美雨さんの御父君のレコードは持っていたねえ。数年前に私が撮ったレコードジャケットの写真>
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この番組でも紹介されていたとおり、石川県には県立の(税金を投入して運営している)工芸研修所(学校)が3カ所ある。
輪島市の「石川県立輪島漆芸技術研修所」
能美市の「石川県立九谷焼技術研修所」
加賀市の「石川県挽物轆轤技術研修所(山中漆器産業技術センター)」
私は、2020年に山中のこの施設の写真を撮っていた。上記の事実など全く知らずに。何だか美しい、気合いの入った建物やなあ、というだけで。
<2020年1月2日:石川県加賀市山中温泉で撮影>
研修所は、輪島と、能美と、加賀(江沼)にある。金沢にはない。金沢は、それを束ねる権能だけを有している。
その権能は、今は県庁が、かつては前田様が有していたということだ。
それが、私が金沢を「都」と呼ぶ所以である。帝国の首都たる性格を、金沢は擁している。その意味では、江戸に似ている。
「都」だけが発展すれば良いのか。そこから離れた地域はどうなっても良いのか。今年は北(能登)が大変な目に遭ったが、それを都や南(加賀)は如何に助けるのか・・・
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サッカーJリーグ3部。ツエーゲン金沢は3位まで上ってきた。開幕3連敗から建て直してきた。2位までに入れば二部に昇格できる。次はすぐ下の4位の今治戦だ。
次はサッカーネタやな。書きたいことがいっぱい溜まってきたさけなあ。
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猛暑。なので、こうして冷房の効いた室内で文章を書いている。
皆様、体調にはくれぐれもご留意ください。