先週の水曜日祝日(20日)と日曜日(24日)。サッカー観戦で文字通り、冬と春を体験した。

2024年3月20日 カターレ冨山VSツエーゲン金沢

(明治安田J3リーグ第5節 at 富山県総合運動公園陸上競技場)

2024年3月24日 ツエーゲン金沢VS SC相模原

(明治安田J3リーグ第6節 at 金沢ゴーゴーカレースタジアム)

 富山から新幹線に乗り、4日前に開通したばかりの北陸新幹線・加賀温泉駅に降り立った私。迎えに来てくれた母と弟はもちろん、私が富山でサッカー観戦をしてきたことを知っている。富山だから、自分たちがいた加賀と天気が同じだったと考えるのは当たり前だし、観客席に屋根のあるスタジアムが北陸では金沢にしかないことも知っている。

「富山もずっと雨やったか?」

「ああ。こういうの(と撥水性の素材でつくられた、自分の履いているズボンを指し)着とったけど、足下がなあ、濡れて、冷えて。身体動かしながら観な、どうしようもなかったわ」

「雪の方が楽やったな」

「そうそう(雪ならはたいて落とせばいいだけで、身体が濡れて体温を低下させるということがない)。試合中から、どうせなら雪になってくれ、その方が【初の北陸ダービー】に相応しいやろ、なんて思とったよ」

 雪の方が楽、とか、どうせなら雪になってくれ、とは、さすが北陸人同志の会話。やはり母は私と同じことを思っていた。

 しかし、雪ではなくとも氷雨たまに霰。

<突然、霰が降ってきて、屋根の下に逃げ込む金沢サポーター:2024年3月20日 富山県総合運動公園陸上競技場にて撮影>

 隣にいながら、公式戦では初対戦となった

【富山VS金沢】

 すなわち

【北陸ダービー】

 に相応しい天候であった、と言える。

 【ダービー】とは、同じ町や隣の町など、ライバル関係が明白なチーム同士の対戦を指すサッカー用語。【ダービーマッチ】とも。

 

***** ***** *****

 

 富山県総合運動公園陸上競技所は、従来あった芝生の客席の上に2階部分を上乗せした構造だった。なので、新設した2階の下に空間があり、そこで雨宿りができた。

 前半はここから観戦した。角度のない、陸上競技場のゴール裏だ。

 後半には雨が弱くなったので、「2階」に移動した。

 高さがあり、選手の配置や戦術が良く見えた。高さと角度的に、かつての国立競技場を思い出した。

 そのためか、サポーターのコールリーダーたちは最初からこの2階にいた。

 ちゃんと濡れても良い準備をしてきたに違いない。こんな天気になることはわかっていたからね。

 

 第5節の富山戦前の4試合の金沢の結果は、負け、負け、負け、勝ち。

 私が観たのは第1節の負け試合。0対3で敗れて試合終了後にブーイングをした試合だ。なので、前の試合に今季初勝利を挙げたチームがそこからどのように変貌したのか、どのように改善されたのか、それを観るのが楽しみであった。

 確かに変わっていた。

 サッカー論になるが、システムが変わっていた。4バックから3バックへ。4-2-3-1から3-4-2-1へ。

そして、相手がボールを持っているときには、そのボールホルダーに必ずマークがつくという約束事が忠実に守られていた。

 このシステムと戦術は4日後(金沢VS相模原)も継続される。先発メンバーは5人も入れ替わったけれど。

 つまり、この2試合は、監督としては同じことをやったのだ。選手を入れ替えたのは、監督が未だ選手とチームの力量を成長途上だと認識しているからだろう。

 また、傑出した選手がいない証左でもある。

 一人を除いては。

 その一人が誰かは、この後に。

 試合結果は、富山に0対1の敗戦、4日後の相模原に1対0の勝利。

 相手チームも場所も天候も違うので、サッカーの戦術論的に言うのは控えるが、良くなったことは間違いない。

 とくに24日の金沢での試合。ホームスタジアムで選手達が必死に、身体を張ってがんばっている姿を目の前で観られたので、金沢で金沢が勝ったいうことでええやないか、と今は思っている。

 別に富山の試合でがんばっていなかったと言っているわけではない。もちろん。

 

***** ***** *****

 

 さて、先に書いた、ツエーゲン金沢の【傑出した選手】を紹介して終わりにする。

 富山では守備的なポジションに、金沢では攻撃的なポジションに入った。そして、金沢でJリーグ初得点を記録してヒーローになった。

 2試合とも交代することなく、最後まで出場し続けた。いや、今季の6試合で出場していないのは、初勝利を挙げた宮崎戦の試合終了前数分だけで、それは2点リードして残り時間も少なくなり、ほぼ勝利が決まった後だったからだ。

 私は第1節沼津戦後の本ブログで、この選手を中心に据えろと主張している。

 私だけやないけどね。金沢サポーターみんなが思っていたこと。

 梶浦勇輝。20才。背番号6。所属はFC東京(J1)

 彼の、3月20日と24日までの写真を披露しよう。

。氷雨と霰の富山。

<3月20日:負けた富山で挨拶をする6番。先頭に立っている>

。晴れて暖かい金沢。

<3月24日:金沢でヒーローとなった6番がコールリーダーから渡された拡声器を使ってサポーターに挨拶している>

<金沢スタジアムでヒーローインタビューを受ける6番がオーロラビジョンに映される>

<その映像はこのように撮られていた。インタビュアーは金沢スタジアムMCの大平まさひこ>

 このインタビューで6番は言った。

「まだまだチームは成熟していない」

 確かにそうだ。パスの乱れ、連携ミス、それによる大ピンチが何度かあった。だから20日は負けた。24日の勝利は運が良かっただけとも言える。

 だが、選手が「未成熟」を自覚しているということは、これからどんどん良くなるということだ。

 私が次にツエーゲン金沢に、6番の選手に、そして赤いサポーターの皆さんに会えるのはいつだろうか。その日を楽しみにして、日々の暮らしを続けることとしよう。