能登半島大地震について次々と問題が起こる。

 石川県の馳知事が、「北陸応援割」の実施を「石川県だけ遅らせる」と発言したのだ。

 (2月16日付北陸中日新聞による)

 知事が言うのだから「決定」と考えるべきだろう。

 これは、3月16日の北陸新幹線の金沢・敦賀間開業を一か月後に控えての、観光業復興と被災者支援という、まったく異なる二つの課題間の論争だ。

 「北陸応援割」は、石川・富山・福井の北陸3県への旅行費用を政府が補助する施策。今のところ3月からの実施とされている。

 しかし、石川県内の宿泊施設(ホテル・旅館)には、まだ多くの被災者の方がおられる。

 この前日(2月15日)の同紙を見てみよう。

 前回書いた山代温泉のホテル「百万石」が、自社の社員寮を被災者の「みなし仮設住宅」として提供する方針を示した、との記事が載っている。

 その社員寮を私は、何度も撮影している。

<「百万石」社員寮:2014年10月撮影>

 

 「百万石」が一度経営破綻していることは前回書いた。その際、当然この社員寮も廃止され、その建物はしばらく廃墟となっていた。

 「近所」に住む者としては非常に不気味で、不安の種だったので、私は帰省のたびにこの建物をチェックしていた。

 上の写真からは、外壁が汚れているのがわかるだろう。内部はもっと汚かったのだが、さすがにその写真の公開は控える。

 やがて、新オーナーが決まったという報道があり、なら、この建物にも工事が入るだろう、と予想して訪ねたら案の定だったという写真が次。

 だが、こんな貼紙もまだ。

<以上「百万石」社員寮:2018年5月撮影>

 経営破綻した企業の資産だからね。その扱いにはいろいろと法的な手続きが必要なようで・・・

 で、3ヶ月後には、きれいになっていた。人も入っていた。

<以上「百万石」社員寮:2018年8月撮影>

 件の北陸中日新聞掲載の記事では、拙ブログにいただいたコメントにある【粟津温泉の3旅館 二次避難受入れ7月まで継続】という件にも触れている。しかし、二次避難者受入れの1万円で赤字かどうかについては曖昧に書いている。

 別に中日新聞北陸本社の取材を甘いと非難するつもりはない。報道機関のレベルでも情報が錯綜しているのだなと、判断している。

 今日(16日)午後9時からのNHKニュースも、北陸新幹線金沢・敦賀間開業と絡めてこの件に触れていたが、表面的な内容だった。

 致し方ない・・・

 

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 馳知事の発言(石川県だけ「北陸応援割」延期)に戻ろう。

 加賀市長は反発しているという。

 そりゃあそうだ。3月16日の新幹線開業を頼りに、これまで一生懸命準備してきたんだから。そのために社員寮まで開放しようという企業もあるのだから。

 気持ち的には、私も市長と同じだし、市長の発言は地元の観光業者の声を代表しているものと思う。

 ただ、観光客と被災者が「同居」できるのか、という問題には、温泉街育ちの私にも経験がないだけに、回答が出来ない。

 北陸中日新聞が「閑散としている石川県の観光地」として掲載した2月15日撮影とされる写真は、私がこのブログの表紙に使い、かつ、何度も掲載している山代温泉古総湯。

<山代温泉 古総湯:2015年1月撮影>

 やはり絵になる。しかし、被災者の方々がこの周囲を散歩して、楽しそうに歩く観光客とすれ違って良いものかどうか。

 そんな場所に私は、どんな顔して立っていれば良いのか。

 わからない・・・

 

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 JRのチケットは1ヶ月前の同じ数字の日の午前10時から発売される。今日は2月の16日。そう、金沢・敦賀間の北陸新幹線の指定席券の発売日だ。

 JR東日本のネット購入サイト「えきねっと」で3月16日の「東京~加賀温泉」直通のチケットを検索してみた。

 東海道新幹線の「のぞみ」に相当する速達型超特急「かがやき」は、2往復だけ加賀温泉に停まる。東京発は、9時20分「かがやき507号」10時22分「かがやき509号」。

 午後9時過ぎ検索・・・

 どちらもまだ空席がある。

 ダメやん・・・

 石川県の観光地の苦境がまだしばらく続くことは間違いない・・・