偉そうなタイトルを掲げてしまったが、一スポーツファンが個人的な見解を述べているだけです。ご関心のある向きは以下をどうぞ。

 

 野球のWBC(ワールドベースボールクラシック:世界選手権)優勝で幸先の良かった2023年の日本スポーツ界。

 その中で、私は次の2つの「大会」プラス一人の選手に共通点を感じた。

 

1:ラグビーW杯

2:Jリーグ(私が観たのはほとんどJ2)

3:大谷翔平MLB(米国メジャーリーグ野球)の本塁打王に

 理由は、個々の選手の力の重要性を強く感じたから。

 対戦チーム間の戦術に優劣がない場合、選手個人の技量によって勝敗が決する。

 それを強く感じたのが9月から10月にかけて行われたラグビーW杯だった。どの試合も楽しんで観ていたのだが、戦術や作戦による面白味より、個々の選手のぶつかり合い、ボールの奪い合いの方に関心が行っていることに気付いた。

 どの国の戦術にも大差がないのだ。以前ほど国によるスタイルの差がなくなっている。

 日本代表が予選を突破できなかったのも、選手個人の力が(予選リーグで敗れたイングランドやアルゼンチンに比して)わずかに劣っていたからだ。決して戦略や戦術や試合運びで劣っていたわけではない。そのように思った。

 

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 丁度その頃、J2ツエーゲン金沢は坂道を転げ落ちていた。

 監督も変わっていない。選手も変わっていない。なのに、やることがことごとくうまくいかない。

 自信を失った選手たちのプレーは委縮し、パスは乱れ、シュートは決まらず、マークを外す。組織として負のスパイラルに陥ってしまっていた。

 何より、相手選手を前にした一対一の勝負で、ことごとく負けていた。これは、マンツーマン守備(相手に対して守備役の選手が一対一で対応する)を基本とする金沢の戦術においては、致命的な弱点となった。

 金沢の選手たちの本来の技量がJ2各チームの選手たちより劣っていたとは思えない。なので、これは負け続けたが故の心理的な要因によるものと私は考えている。

 何も手が打たれなかったわけではない。会社は選手の補強を行った。かなり大胆に、と私は思うし、これには多数のサポーターの皆さんも賛同されるであろう。

 それでも事態を打開できなかった。補強した選手たちはチームを活性化したが、それだけで他のチームを上回ることができるほど、J2リーグは甘くなかった。

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 今年は以下の3つの球技男子日本代表が来年のパリ五輪の出場権を獲得した。

 

・バスケットボール

・バレーボール

・ハンドボール

 東京大会と違って開催国枠ではない。予選を突破して、である。

 上記3競技やサッカー、ラグビーなど、肉体接触を伴う球技では長らく次のように言われていたはずではなかったか。

「日本人は体格で劣る。パワーで劣る。そのハンデを克服するのが課題だ」

 しかし、日本人が米国野球で本塁打王を獲得したのだ。ボールを遠くへ飛ばすことで最高の選手となったのだ。

 この選手が自身の肉体に「ハンデがある」などと思っているはずがない。

 同じことが上記3競技、そしてW杯常連となったラグビーにも、欧州で70名を超える選手が活躍しているサッカーにも言えるのではないだろうか。彼らは自分たちが体力的に劣っているとかパワーが不足しているとか、微塵も思っていないに違いない。正面切って欧米やアフリカの人たちと戦っている。きっとそうだ。

 バスケットの富樫と河村は、自分たちは背が低いと自覚していると思うけれど・・・

 

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 女子でも、なでしこ(サッカー女子日本代表)は今年のW杯でベスト8に入り、その水準が2011年の優勝以来、国際レベルを維持していることを示した。

 そして、陸上競技の世界選手権やり投げで北口榛花が優勝した。やり投げという、ずばりパワーがものを言う競技で。

 彼女を見ていると、ダイエットに勤しむ同性の同世代の人たちとは一線を画していることがよくわかる。自立した個の強い意志を感じる。

 

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 良い選手を集めるだけで勝てるわけではない。だが、同じ土俵に立つためには、一定水準以上の選手を集めなければならない。

 自立した個々の選手が実力をつけ、お互いに刺激し合ってチームを構成する。それができた組織が結果を出すことができる。

 栄光を勝ち取った阪神タイガースと、結果を出せなかったツエーゲン金沢の比較でも、それを痛感した年であった。

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 かかる文章を用意していた頃、ラグビー大学選手権の準々決勝をテレビで見た(12月23日:NHK BS)。

 おや、会場はセレッソ大阪(J1)のホームスタジアム(ヨドコウ桜スタジアム)やないか。ここはラグビーもできるんや。長居陸上競技場へは行ったことあるけど、ここはない。いずれ行ってみよう。

 来たる2月18日に柿落しを迎える金沢スタジアム(金沢ゴーゴーカレースタジアム)ではラグビーはできるんやろか。

 その準々決勝だが、京都産業に大敗した早稲田を呆然として見つめていた。昨年は1点差での早稲田勝利だったので接戦は予想していたが、これほどの大差(65対28)がつくとは。

 この試合を決めたのも個々の選手の力量であったように思う。試合後半、早稲田の選手の運動量は目に見えて落ち、パワーでもスピードでも劣っていた。

 ベスト4に勝ち残ったのは関東(対抗戦)と関西の1位と2位。それらが、別リーグの1位と2位の対戦というタスキ掛けで1月2日、国立競技場で対戦する。東西のリーグの実力を測ることのできる絶好の組み合わせだ。

 

 

 

 ここまで読んで下さった方がおられれば感謝します。本年もありがとうございました。

 良いお年を。