一覧表形式の良い点は、全体を眺めて気付く点を発見できることだ。細部まで分析するにしても、その分析すべきポイントを見つける。それを助けてくれる。

 Jリーグが今年7月25日に公開してくれたJリーグ各クラブの経営数値の一覧表(2022年の)。貸借対照表と損益計算書から採った数値の一覧。素晴らしい。Jリーグのチームが、サッカーではなく、会社として比較できる。

 これがあるから、Jリーグのチームは公開企業と同じ。株価を計算しようとしたら、できるのだよ。

 

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 売上規模で全体(2022年なので58チーム)の42番目だったツエーゲン金沢。

 42番目は確かに「J3相当」の順位なのだが、トップチームの選手人件費では37位で、目立って低いというわけではない。微妙な言い方になってしまうのだが「J2レベルの選手」を集めていることに疑いはない。

 そこで目を引いたのが、次の2点だ。

 

①     流動資産の少なさ(多い順に44番目)

②     販売費・一般管理費の少なさ(同47番目)

 

 今般のJ3降格決定に当たって金沢の西川GM(ゼネラルマネージャー)はチーム(会社)の課題として

「資金力のなさ」

 を挙げている。

「1年でのJ2リーグへの復帰に向けたクラブ体制の再構築、そして最重要課題のひとつである資金力の強化についてしっかりと道筋を付けて参ります。」

(11月5日発表の、株式会社石川ツエーゲン代表取締役ゼネラルマネージャー(GM)西川圭史氏のコメント:ツエーゲン金沢公式ホームページより)

 

 私の挙げた2点はまさしくこれに相当する。

 売上規模が小さいのだからある意味当然だが、手持ちの資金が少ないのだ。流動資産などというと難しいが、要するに現金と、すぐ現金化できるモノを合わせたもの。

 ざっくり言うと、日銭が入ってこないのだ。

 固定客以外のお客さんがあまりチケットを買ってくれないんだろうなあ。固定客というのは1年通して座席を確保している「年間パス」所有者で、その人たちはシーズン開始前に一括でチケット代を払ってしまっている。だから、シーズン中での入金はない。

 頻繁にグッズを販売したりイベントを開催しているのは、シーズン中におカネを確保するためだということがわかる。チケット代が当てにならなければ、あと売る物はグッズや特別イベントしかない。

 とはいえ、これだけいろんなイベントを行っている割に、販売費及び一般管理費の規模も小さい。ここにはチームの経営・運営に関わるスタッフ(社員)の人件費も含まれるから、社員数が少ないと考えられる。

 イベントの多くは「外注」であると想像される。

 いずれにしろ、事業の規模そのものが小さいのである。金沢は。

 それはもちろん、動員観客数という根本的な数字が低いことに起因する。

 11月12日の最終戦の観客数は3,300人。これが地元の「固定客」である。これに、毎週YouTubeで配信されている「ツエーゲンナウ」というチーム制作番組の視聴者数などを考え合わせると。常にツエーゲン金沢を気にしてくれている地元の人たちは、4千数百人と推定される。

 それに、私のような「関東アウェー」サポーターなど、地元以外に住む石川・加賀・能登・金沢に縁の人たちが数百人か。これは、昨年、三ツ沢の横浜FC戦に集ったサポーター数からの推定である。

 

 ということで、数字好きの独り言でした。

 かつて、紅白歌合戦の最後のどっちが勝ったかの投票の時に出てきた日本野鳥の会に私も入っていれば、サポーターの数なんか簡単に数えられただろうに。

 

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