2023年5月4日:米谷昌美・相良容子(pf連弾)at 音楽堂やすらぎ広場
ブラームス:ハンガリー舞曲第5番など
坂本龍一:戦場のメリークリスマス
県立音楽堂の中を歩いているとピアノの音。しかも聴いたことのある曲。
あ、ハンガリー舞曲や。
立ち止まって聴く。やすらぎ広場、という音楽堂内のスペース。
ここに舞台を設えて、若手音楽家にライブの場を提供。
ここでも地ビールとかワインとかを売っている。さて、ワインでも飲んで聴こうか、いや、次のコンサートまで20分ほどしかないやん、このまま聴こう。
ハンガリー舞曲が終わる。最後の曲だったらしい。演奏者が「アンコールやります!」と宣言して、またピアノの前に座る。
弾き始めた曲はすぐわかった。
【戦場のメリークリスマス/坂本龍一】
最後まで聴いた。立ったまま。
かくして、邦楽ホールへ向かう。
2023年5月4日:OEK/沖澤のどか指揮/高木凜々子(ヴァイオリン) at 石川県立音楽堂邦楽ホール
ドヴォルザーク:スラブ舞曲第1集より第1番・第2番・第3番
ヴィエニャフスキー:ヴァイオリン協奏曲第2番
アンコール チャイコフスキー:「懐かしい土地の思い出」より
同じ女性ヴァイオリニストである前田妃奈さんとの対比で言えば、豊かな音で何でも自分の歌にしてしまう前田さんと、シャープな音で泣ける歌を弾く高木さん。笑いの前田さんと泣きの高木さん、か。
まあ、天童よしみと石川さゆりの違いやね。
この例え、バッシングされるで!
キレの良い弾きっぷりの高木さん。この後サイン会をおやりになったのは既報の通り。
ヴィエニャフスキー(1835-1880)ってポーランドの作曲家、昨年、前田さんのおかげで知ったんだけれど、昨年から立て続けに聴いている。
この作曲家の名を冠した昨年のポーランドのヴァイオリン・コンクールで優勝したのが他ならぬ前田さん。ツイッターで前田さんをフォローしているわたしだが、前田さんは優勝のご褒美として世界ツアー中。四月はパナマやコロンビアへ行かれていた由。
何だか、凄い若手女性演奏家が次々と出てくるね。
そのトップを走る沖澤のどか。指揮者。京都市交響楽団常任指揮者。
もう完全にわたしは沖澤推しになってしまいました。既に彼女をご存知の方は何を今更とお思いでしょうが、初めて聴いたわたしはその指揮技術の高さと表現力に参りました。
この人に振ってもらいたかった!
というのが、オールドプレイヤーの本音と言えましょう。
金沢ではこの演奏会だけだったが、いずれ東京あるいは京都で。
同日:広上淳一・沼尻竜典(pf連弾)もてなしドーム(金沢駅)地下広場
ブラームス:ハンガリー舞曲第5番、第1番
石川県立音楽堂は金沢駅前にある。ご存知の通り、金沢城を中心とした金沢の繁華街及び著名観光スポットは、かなり駅から離れている。
したがって、県立音楽堂でのコンサートの合間にいずれかのスポットを訪ねようと思っても、時間的余裕がない。
それはわかっていたことなので、コンサートと次のコンサートの合間も金沢駅近くで過ごすことにした。もちろん食事を摂ったりもしていたのだが(そして飲んでも)、その一環として金沢駅地下に降りていった。
そこには臨時の荷物預かり所が。たくさんの旅行バッグが並んでいた。
<5月4日金沢駅地下へ降るエスカレータから撮影>
観光客の皆さん、安心して大きな荷物を持って金沢においで下さい。
その地下で、聞き覚えのある声が。
「広上先生だ!」
金沢駅地下の広場で、OEKアーティスティックリーダー(音楽監督)広上淳一さんがマイクを持って喋っていた。隣には、何と沼尻竜典・神奈川フィル音楽監督。
広上さんと沼尻さんの2ショットに会えるなんて!
広上さんいわく。「下野さん(下野竜也・広島交響楽団音楽総監督)が広島でやってるのよ。野球とかサッカーのチームとタイアップして盛り上げるってのを。金沢にはそんなチームないの?」
ヘボMCはここで突っ込まなかった。他にも誰も突っ込まなかった。
「サッカーのプロチームはあるよ!」
と叫びそうになった。
「スタジアムで応援演奏やるという企画もあるので、これで盛り上がると良いですね」
と広上さん。
おお、スタジアムでサッカーと音楽を両方楽しめるときが来るかも。
さあ、ビール飲んで気合い入れよう。
2023年5月4日:OEK/松井慶太指揮/石本えり子(pf)at 石川県立音楽堂邦楽ホール
ブラームス:ハンガリー舞曲第1番
コダーイ:ガランタ舞曲
バルトーク:ピアノ協奏曲第3番
今回わたしにとって最後のコンサートであった。聴いたことのない曲を聴いてみようと選んだ。
バルトークについてだが、OEKはこういう現代曲を得意としている。何だか、さらっとやってしまった感がある。終演後、舞台上で楽団員の皆さんが握手していたから、達成感はあったのだろう。確かにうまかった。
第1楽章。ピアノソロがイマイチ乗れないのか、少し曲が前へ進まない感が。しかし、第2楽章から乗ってきて、オケの楽器とピアノがうまく絡むようになる。
この曲は、ピアノのソロを聴かせるというより、ピアノとオケの楽器の絡み合いを聴かせようとしている曲だと理解。表情一つ変えず淡々と弾きまくる(としか見えぬ)女性ピアニストが頼もしく見えてきた。
おそらく、わたしはこのピアノ協奏曲を、録音でも聴いたことがない。そんなに演奏頻度の高い曲とも思えないので貴重な体験となった。
これでバルトークを思い出したわたしは翌日、レコードでバルトークの傑作「オーケストラのための協奏曲」を聴いた。大好きだ。
この曲は、ライブでは一度だけアマチュアオケで聴いたことがある。しかし、技術的に難しいことで有名な曲。残念ながらそのアマチュアオケの技量ではバルトークの楽譜を十全に再現することができず、ミスが目立ち、聴くのは辛い演奏だった。
だが、わたしはそんな「下手な」演奏も楽しむことができる人間です。失敗を失敗として受け入れるんです。自分でやっていたことだからそう割り切れるのでしょう。
ま、要するに自分が下手だったからですけどね。
で、さらにレコードを探っていると、何とバルトークのピアノ協奏曲第1番と第2番のレコードがあるではないか。
ピアノはイタリアの名ピアニスト:マウリツィオ・ポリーニ。指揮は同じくイタリア人のクラウディオ・アバド。こんなの買うのは家族の中ではわたししいかいないはずなのだが、覚えていなかった。おそらく、超有名な二人のアーティストの共演に惹かれて購入したのだろうが、覚えていないということは、演奏には余り感銘を受けなかったのだろう。
レコードに針を落とし、聴き直した。バルトークを立て続けに聴くことになったわけだ。
感想としては、イタリアの名ピアニストと名指揮者の演奏よりも、日本人の若手ピアニストと若手指揮者によるOEKの演奏の方が印象に残っている。作品としての完成度が違うのかも知れぬが、結局はこれ。
ライブは良い!
「石川・金沢・風と緑の楽都音楽祭2023」の記事はこれで終わりにします。
金沢の街のことは、まだ書くかも知れません。それだけネタの多い街ですからね。
もし、ここまで読んで下さった方がおられれば感謝に堪えません。