2021年7月17日 ジェフユナイテッド市原・千葉VSツエーゲン金沢
(明治安田生命J2リーグ第23節 at フクダ電子アリーナ)
2年ぶりのフクアリにアウェー席はなく、すべて指定席。できるだけアウェー側と思って取った座席だが当然、周囲はすべて黄色いユニフォームの人。それを見越して私自身も唯一持っている黄色いTシャツを着ていた。
席の位置はゴールライン上でピッチにも近い。試合前、練習する選手達が踏む芝から草いきれの香りがした。
周囲にカメラを、それも一眼レフの高級品を持っている人が多いのに気づいたのだが、確かにこの距離なら選手の表情までばっちり撮ることができそう。この雰囲気に感化されて、私も何となく良い映像が撮れそうな気がしてスマホを手にしていた。
座席位置はここ。空っぽのアウェー席が寂しい。
1点をリードされて迎えた後半12分。後半から右サイドに起用された金子選手の突破からCKを得る。蹴るのは左利きの島田。
自分の真正面に選手が集まってくる。何か面白い画像が撮れるのではないかと思い、スマホを構えた。
そうして得た画像が次の2枚。
松田のヘッドしたボールがゴールに吸い込まれているところが撮れている!
だが、これで喜ぶ訳にも、立ち上がる訳にもいかず、一人静かにほくそ笑むしかないのであった。
試合は互角であった。ただ、選手個々の力は千葉が少し上である。
安田ミチ、おまえ千葉におったのか。ガンバで松田の大先輩やないか。
4番のボランチ、球捌きがええな。腰を落とした安定したキック。ああ田口か、名古屋におったな。
3バックか、3人ともそれほど強さもスピードもないな。これなら3人で守らないと失点が多くなるとユン監督は判断したかな。星稜出身の13番鈴木も、かつての切れ味はなくなっているなあ。この日も接触プレーで度々負けていて、前半では倒れ込むシーンもあった。
これだけJ1で見た選手がおるんやからなあ。
J1にいなくとも、ブラジルから来た千葉のトップの選手は体格も良く、必死に身体を張って懸命にプレーしていた。前半アディショナルタイム、彼はゴール前付近で倒れ込みながらもボールを活かし、そのボールがサイドからゴール前にクロスされると、合わせた選手も金沢のマークについた選手と競り合いながら必死のヘッド。前半は0対0で凌げば十分と思っていた金沢にとって痛い失点であった。
このビハインドを先の写真のとおり取り返すのだが、そのわずか6分後、サイドからのクロス攻撃を徹底する千葉にまたしても得点を許す。その後は互角以上に反撃するのだが、結局ゴールを割れず。中断前最後の試合は勝ち点なしに終わった。
1対1での若干の不利を補うだけの組織は作れている。相手ゴールを脅かす攻撃もできている。だから、この日のように素晴らしい試合を見せてくれる。
だが、前半の締めくくりに失点したり、同点に追いついてすぐに再リードされたり、試合運びが拙い。プロである以上、結果がすべてなのであって、面白い試合を見せてくれたとしても、負け続けては最終的には意味がなくなる。
敗れて悔しがり、肩を落として帰る選手達の姿は、まさしく帰途の私の姿である。みんな同じ思いをしていると信じているが、現実的には私は、残留争いを覚悟した。
スタジアム内の自動販売機で売られていたこの商品を買って飲むくらいしか、鬱憤を晴らす機会はなかった。
いつもスタジアムを取り巻いている売店もなく、観客数も3千人台。東京湾の埋め立て地にあるスタジアム周辺の道路は広く、歩道にも余裕はある。だが、歩く人も走る車もそれなりに多く、交通整理の係員が何人もおられた。
これじゃあ、ビルの建ち並ぶ都会の真ん中で行う世界的スポーツ大会は無観客にせざるを得ないわな、と思いつつ、2年ぶりに訪れた千葉を離れた。
試合前に訪れた、かつて住んでいた町のことも思い出しつつ。