奈良の仏像写真というと、『古寺巡礼』の写真集などで著名な土門拳氏や奈良に写真美術館もある入江泰吉氏を思い浮かべます。

今回、奈良県立美術館の『小川晴暘と飛鳥園 100年の旅』を観に行き、初めて小川氏のことを知りました。

會津弥一氏の勧めで、小川氏が創業したのが、仏像や文化財専門の写真館「飛鳥園」です。





この脚立から想像すると、大きな仏像か寺の塔でも撮影したのでしょうか?

飛鳥園として、寺社や企業などから依頼を受け、仏像などの撮影を進めながら、研究にも余念なく、
『東洋美術』という季刊誌ほか多数の書物も刊行しました。




写真展では、晴暘氏がモノクロ、息子さんの光三氏がカラーで撮影した写真が展示されています。

光三氏の写真も、カラーでありながら深味のある、素晴らしい写真でした。

弥勒菩薩の年輪を、初めて観ることができました。




今回の写真展では、仏像の一部にフォーカスした写真もありました。

どこをとっても美しいということに、気づかされました。

写真は、光を操るものだなあとつくづく思いました。




晴暘氏は、次の言葉を残してます。

「仏像は、発願した人、造像に携わった人たち、そしてこれを礼拝してきた人々の祈りが秘められた心の造形であり、像に秘められた我々の遠い祖先の祈りや想いに焦点を合わすことが“仏像を撮る”ということだと思っている」。




飛鳥園は、奈良国立博物館の向かいに、現在もあります。

次回奈良に来たときは、訪ねてみようと思います。