「明日は何曜日?」
そう言って電話がかかってきた。
こないだ保険証がないと言って大騒ぎして、またも発狂してしまった母なんだが、なんだかんだ探してたら見つかって、先週の水曜日にそれを持って、一緒に郵便局で手続きを終えたところだったんだが…
さっき、またも電話があって、保険証やら特定疾患管理表やらをセットしたものがまたないと言う。
見つけたところだったよね?
それで、「ありましたから」て、訪看さんに電話連絡入れたところだったのに、また…
もう…
無理なんかな…
ひとりにしておくのがおぼつかない。
本当にヤバい。
散歩に行ったが、帰り道がわからなくなったと言う。
「わからなくなったら、途中で電話しぃよ」
そう言うたが、電話を忘れて出てしまったと言う。
しっかりしゃべるときはしゃべるんだが、とにかく短期記憶が危うい。
恐怖と不安に襲われたのか、また大泣きして「死にたい」が始まった。
「何もかもわからなくなる」
「お母さんなんかおらん方がええ」
「姉ちゃんばっかりに負担かけて」
「こんなに甘えてばっかりで」
「ごめんなさい、ごめんなさい」
私も泣きそうになるのをこらえながら
「大丈夫!大丈夫!」
「おってくれるだけでええよ」
「私もできないときはできんて言うから」
「ごめんなさい言わんでいいよ」
できるだけ明るく元気な声で母をなだめた。
ホンマのところは私の方が死にそうだ。
どうも内臓が動いてない。
血液が足までいってない。
毎晩、毎晩、夜中の硬直と痺れ。
寝ている間中こうなってるということは、まったく休めてないも同然。
それでも日常の用事は自分でやらねばならない。
頭や背中で自分を支えながら、洗い物や洗濯をしなければならない。
相当な負担。
それでも生きなければ…
「私の方が明日死んでたらごめんやで!あとはもう知らんで!」
「明日の朝、また電話するからね!」
号泣し続ける母に、笑いながらそう言って電話を切った。
息苦しい…
何とかしなければ。
何とかして、母を救わなければ。
なぜ、こんな私らを無視して見捨てるか?
薬害に遭って苦しんでる姉と難病の母を、見捨てて家を出ていった妹。
弱い私たちの生活費と父の財産まで奪っていって行方不明の弟。
最低の家族。
これが人としての行為なのか。
ここまでバカにされて、私が黙っててはいけないよね?
明日の母の病院にはついていってあげなければならんかな…
起きれるかな…