まだアジア?と思うかもしれませんが、もう少しお付き合いのほど。
3.アジアの現状
6)シンガポールについて
さて、
シンガポールに関しては、馴染みのある人もいるのではないでしょうか?
日本の製薬会社の中には、同国に何等かの拠点を置いておられる会社が何社もありますよね。
シンガポールは、地理的にASEAN(タイ、インドネシア、シンガポール、フィリピン、マレーシア他10カ国からなる東南アジア諸国連合)の中心にあります。
ASEAN諸国は、合計人口が6.4億人。
経済成長も著しく、今後拡大する市場として注目されています。
更に、医薬品の承認に関して
統一ガイドラインの整備
に向いて動いていると言われています。
例えば、CTDの統一です。
そうした背景から、製薬企業にとってシンガポールは、
ASEAN諸国の、情報収集、申請拠点、営業拠点、として意義がある場所と言えます。
またシンガポールは、かつてから以下の理由により、臨床開発に使われてきました。
・同国を構成する、中華系、マレー系、インド系の3つの人種のデータを同時に取る事が出来る
・高度な医療基盤や優秀な医師、各種受託機関など研究開発に必要な機能が整っている
・周辺国からの入国が比較的容易で患者を集めやすい?
・知的所有権の保護によって強固に守られた臨床データベースを活用できる
・言語が英語である
1990年以降、シンガポール政府は、メディカル産業を強化するべく国内に研究投資を開始。
2000年以降には、世界中からバイオメディカル関係の企業や優秀な研究者を集めるために国内に3か所のバイオクラスターを建造し、好条件での海外からの企業誘致を進めました。
ざっと調べて見ると、目下は世界の74社の製薬関連企業がシンガポールに拠点を持っている様です。
政府の思惑通り、欧米やアジア全土からメディカル関連企業や優秀な研究者が集まっていることでしょう。
また、様々な検査関連、vitro、vivo関係の研究受託機関もあり、基礎から臨床まで開発できる基盤があります。
2017年ですが、国内某社さんが、シンガポール現地のベンチャー製薬に出資し、共同開発に取り組んでいるといったニュースを目にしました。
日本では出会えない、欧米系を含むアジアの様々な製薬会社やベンチャーが集まっている場でもあります。
とはいえ、
医薬品開発拠点としては、
シンガポールはひところ騒がれたわりには盛り上がらなかったな、
と個人的には感じています。
ここ10年くらいに聞いて来た話の雰囲気や、某社さんが引き上げたとか、目下の日本からの進出企業の少なさからそう感じている次第です。
近年は医薬品よりも、
医療機器の開発拠点として目覚ましい存在感を発揮している
様です。
というのは、上記の様な医療研究基盤がある上に、シンガポールは製造業でも先端を行っており、
精密工学・ロジスティクス産業など、他産業からのサポートが期待できる、という事の様です。
さて、
すでに結論めいた事を言ってしまったので、
もう興味はないわ、
という方もおられるかもしれませんが、まぁ先をお読み下さい。
シンガポールの国土は、東京都(内陸部)よりもやや狭く、
人口は561万人。
ただし国民に換算されていない周辺国からの流入労働者がこの他に多数いる様です。
人口密度は世界第3位です。
一人当たりGDPは世界8位で64,500 USD、
ちなみに日本のそれは世界26位で39,303 USDです。※2018年
現地の方々の給与は、日本の1.2倍~1.3倍程度と認識。
う~ん、いいなぁ、、
と思うかもしれませんが、
生活費はそれなりにかかる様です。
まず、地価が異常な高さです。(中心地を外れても銀座レベル)
アパートの家賃は、1ルームで12~28万円/月、2ルームだと20万円/月以上です。
国民健康保険はなく、医療費は全額自己負担です。
民間保険や会社の団体保険に加入していなければ大変な事になる様です。
養育費、教育費も高いとの事。
(..と色々ケチを付けて日本の給与水準を肯定してみました)
ただ、食費や生活雑貨などはさほど高くありませんね。
日本よりやや安いくらいかな。
しかも何を食べても美味しいんですよね~
綺麗で安全で温かくて、、
なんだかんだ言っても、いい国~(笑)
それはさて置き、
医薬品の開発拠点としては、同国がなぜいまひとつ盛り上がりに欠けているのか、ですが、
これは正直知りません。
想像するに、シンガポールはイメージよりもずっと小さいですよね。
人口も含めて、色々と。
患者数のパイを求める様な大きな試験は組みにくいのではないでしょうか?
どなたか教えて下さい。
そしてもう1つの理由は、おそらく人件費と物価(地価)の高さです。
何をするにも高いんじゃないんでしょうか。
ちなみにドメスティックな製薬会社は多くないと思います。
ベンチャーがぽつぽつとある様です。
という事で、目下のシンガポールは、
・ASEAN諸国に対する、薬事、営業、情報収集などの拠点として使われている
・世界各国の(といっても大手メイン)メディカル企業のロビーになっている
・先端の学問が集まり、それを身近に発表し合う土壌がある(アカデミアでは、Duke-NUS Medical Schoolが有名)
・一通りの研究開発機能があり、インド、ASEAN諸国の製薬会社、アカデミア、医療機器会社等に委託利用されている。
・医療機器の開発拠点として盛り上がっている
・色々とコストがかかる(周辺国の方が安い)
・同国に進出しASEANでの売上を伸ばしている製薬会社さんはある。
という感じです。
皆様の参考になれば幸いです。
同国のバイオポリスの一角
各ビルには体の器官の名前が付いてます
