右側に瀬戸内海をくりかえし | 喜劇 眼の前旅館

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短歌のブログ

右側に瀬戸内海をくりかえしヒントのように怖れて暮らす  我妻俊樹


瀬戸内海はたぶん一度しか見たことも渡ったこともない(往復は一度と数える)けれど、瀬戸内海のように内側に向けて自らを映しあうような景色は島国の醍醐味ではないかと思います。隙間のような海に細かい島が無数に詰まってる、海の箱庭というか、日本列島の日本列島性があの隙間に合わせ鏡のように濃縮され、あそこからもう一度未知のミニ日本列島誕生が観測されそうな気配です。
短歌は日本列島によく似ている、という説を私は思い出したように時々唱えていますが、われわれ日本列島人の短歌的把握によって列島が被っている歪んだ箱庭宇宙美については、地形をこえた文化的・政治的歪みまで含めた鑑賞態度でいつか深刻に日本一周しながら検証してみたいものだと思います。
題詠blog2009、お題「瀬戸」(未投稿)。