まず雨にうたれた 白線をこえた おまえが投げわたす春菊は
はなやいでゆくあてもなく砂利道は暇そうに雲とラジオをつなぐ
こめかみに星座のけむる地図の隅にたずねる公園ほどの無意識
灯はさすよ祈りのかたち残す手や疑似餌のようにうかぶ靴にも
みずたまりにしばらくうつるスピードの乗り物でする世界旅行を
終バスのポールにすがる〈盗賊〉という字のネオン・サイン浴びつつ
ひざにのせたキャベツに話しかけるのは判決のようね澄んでいく骨
自由通路を使い物にならなくして南北がまるで仇名になる
なくしたね いつかは家庭菜園のまっ赤にうれたにがうりの種
かけらでも枇杷だとわかるほどの濃いにおいがきみのてのひらでした
(題詠blog2010 001~010 )