適切な大きさ | 喜劇 眼の前旅館

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短歌のブログ

図書館で借りた石田徹也の画集を見ています。以前ネットでこの画家の絵を見たときはあまり惹かれるところがなかったと思うのですが、あらためて画集で見るといい。この違いはパソコンの画面と紙の印刷物という、絵の置かれた環境の差もあると思うけど、いちばん重要なのは大きさだという気がします。
つまり、以前ネットで見たときは絵が小さくて、私の意識が視界に充てている面積に絵が一度におさまっていたと思うのです。するともともと寓意をつよく感じさせる作風でもあるし、絵が何かを意味する矢印として指し示す(ように見える)方向へ意識が移動してしまい、絵そのものは死角に入り見えなくなっていたのではないでしょうか。この画集に印刷された絵は、私の意識が視界に充てている面積より大きいので、視線が絵の中をさまようことができます。いわば私よりこの絵のほうが大きいのだと無理なく実感している。作品と私の関係が適切なものになっているようです。