某誌新人賞に応募。いわゆる短歌総合誌の新人賞に出すのはひさしぶり。たぶん五年ぶりくらいと思います。歌葉に出すようになってから他に出してないので。
ちかごろ量産できるようになってる、というか連作的に大量につくって大量にボツにすることにためらいがなくなってる、ことが幸いしたと思います。以前は量産に題詠イベント等ネットのチカラを借りてたから、未発表で数十首そろえるなんて無理な話だったわけです(歌葉新人賞はネット既発表可だった)。
そういう作り方の変化にともなう作風の変化以外に、いわゆる「ネット短歌」っぽさを抑えて歌壇寄りな歌をつくろうと戦略を立てたけど、単に下手糞な歌ができるのであきらめました。
応募とはべつに、依頼をいただいて書いた短歌や短歌についての文章(どちらも今月中くらいに出ると思う)に使ってた脳をそのまま連作作りに引き継げたのも幸い。
その前にはネット歌会で短歌を読んだり考えてたことも幸いしてるし、うまいこと去年の歌葉選考会と『七月の心臓』批評会あたりから切れずにつながってきてる気がしますね。
つながってるというわりに更新は滞ってますが、短歌のことを短歌の中で考えてる、という状態のときはあまり言葉が外に出てこないんですよね。
きっかけがあればどどっと溢れますが(歌会の評とか)。
そういえば最近岡井隆さんの『E/T』を読んだ。
岡井さんの歌について何か言える準備はありませんが、この歌集は本としてとてもいいものだと思いました。読むにふさわしい速度をレイアウトがさりげなくおしえてくれるというか。
短歌って歌集一冊(あるいは一頁や一首)ごとに読み方を見つけなきゃいけない、みたいなとこがあると思うけど、そこが速度に関しては本としてクリアされてる、というのはかなり重要なことなんじゃないかと思いましたね。
読者がふだん本を読むのとは違う、少し無理な短歌読みの姿勢をとらなきゃならない場合が、歌集にはママあると思うんです。短歌は特殊な日本語だから(文語や旧かなじゃない場合も含めて)。
この本はそういう無理を強いず読者を自然に歌に向き合わせる、すごく神経の行き届いたデザインがなされてると思う。
短歌を関係者の内輪から外に出す、ってこういうことじゃなかろうか。