歌葉新人賞など | 喜劇 眼の前旅館

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短歌のブログ

短歌ばかり並んでるブログというのも素っ気ないというか取っ掛かりがない感じなので、たまにはなんか書きます。
ここを読んでいる方は知っている人が多いと思いますが、歌葉新人賞が進行中ですよ。

歌葉
http://www.bookpark.ne.jp/utanoha/
候補作
http://www.bookpark.ne.jp/utanoha/shinjin2006/index.asp#happyo
リアルタイムスペース
http://www.sweetswan.com/utanohabbs/

わたくしも候補に選ばれております。今年で四年連続。というとちょっと自慢できそうですが、今年一次審査で満票の入っている廣西昌也さんは第一回からの五年連続です。そして歌葉新人賞は今年が最後と発表されているので、もうだれもこの記録を破ることは出来ないのです。
リアルタイムスペースには昨日フラワーしげるさん(この方も今回の候補です)が自作以外のすべての候補作の感想を書かれていて、とても刺激的で面白いのでそれは是非実物を読んでいただきたいのですが、今回の私の「花とチャック flowers and zippers」について書かれた部分はまた作者として何度も読み返さずにいられない指摘を含んだものでありました。
好意的な評をしていただきつつ、「何かうまく言えないのですが、作る時に感じさせたいと望んだものしか現れていない気がするのです」という留保をつけておられるのを読んで、そういえば昨年永井祐さんたちの歌葉24時でもたしかそれに近いような指摘が出ていたな、と思い出し、そのときも思ったように今回も自分では見えないけど痒みの気になる背中のデキモノ、の状態を指摘されたようなちょっと不安な喜びのようなものを感じるところがあります。
いや、デキモノというほどの自覚はやっぱりないと思うけれど。
過去の歌葉の選考でも荻原裕幸さんから私の歌の「つくりものっぽさ」についてたしか何度か言及があり、それは半分くらいは承知のうえのものだけど、残り半分の無意識な部分を照らし出すヒントがこのフラワーしげるさんの言葉から汲み取ることができそうだ、という気がするんですね。私なりの言葉でいうと私の短歌は定型を分母とした分数みたいなところがあり、それは本質的に連作じゃない単作の歌であることとも深く関係しているのですが、実写映画でなくアニメやCG的だというかな。定型のフレームを偶然何かがよぎっていった、というような見え方をすることがほとんど(全然?)ないと思うんです。それは口語短歌としてどうなんだろう、ひょっとして致命的な弱点なのではと気になってしまうところでもあります。

今回の候補作の中で私がとくに惹かれたのは黒崎恵未さん「ふたこぶらくだ」、フラワーしげるさん「惑星そのへん」、市川周さん「午後の右翼手」です。市川さんの歌はブログ(http://blogs.dion.ne.jp/shirohi/
を読んでその文章とのシームレスでしかもどうしようもなく短歌でありえているさまに私の理想とする「ネット短歌」性を見てしまい、思えば私はずっと「ネット短歌」に挫折し続けているこの数年間ではあるまいか。とまたしても我が身をふりかえってしまいますが、このつづきはまたあらためて書くかどうか、PCの電源切って考えます。