NHKの朝ドラは、新番組「カムカムエヴリバディ」が始まりました。萌音ちゃんより萌歌ちゃん派の私ですが(笑)、まずは、悪くない印象です。


前作「おかえりモネ」と打って変わって、さくさく進む分かりやすい典型的な朝ドラ。前回のモネちゃんは、なかなか菅波先生とここまで進みませんでしたが(笑)、こちらの萌音ちゃんは、実にスピーディ。なんせ3代100年分やるんだから。1週間で、ここまできちゃいます(笑)。



岡山の和菓子屋さんの娘、安子ちゃん、地元大企業の御曹司の稔さん(同級生の兄)という、大阪の大学生と恋に落ちちゃう昭和14年。


ちなみに、会社の後継者を目指して大学で勉強してる稔さん。海外との取引のため英語を勉強してたりするし、技術系っぽくもなかったので、学部はおそらく商学部や経済学部あたり。


ということをふまえると、大阪帝国大学経済学部の学生さんだな(今で言うところの、阪大、大阪大学経済学部)と思った方、多いかも知れません。


けど、実は、戦前の大阪帝国大学は、医学部・工学部・理学部の理系しかなかったので、経済学部は戦後生まれ(昭和24年法経学部、同28年経済学部として独立)。


だもんで、この学生さんは、おそらく大阪商科大学(現在の大阪市立大学商学部・経済学部・法学部の前身)だと思われます。制帽の校章も、今の市大のに似てるし。


※かみさんいわく、オープニングの撮影協力かなんかの字幕で「大阪市立大学」ってあったような気がするから、たぶんそうなんちゃう?とのことでした。


🍓🍓🍓🍓🍓🍓🍓🍓🍓🍓🍓🍓🍓🍓🍓


私の父は、大阪市立大商学部に昭和31年に入学しましたが、この頃は、まだ阪大経済学部は出来たばかりで、ようやく2、3回卒業生を出したばかり。


こと商学部・経済学部に関して言えば、明治34年に高等商業学校に、そして昭和3年には大学に昇格していた歴史のある市大の方が上だし、OBもたくさんいるし、大阪市民は入学金安いし(じいちゃん国鉄の給料安すぎたので)、京大や神戸大の次となると、市大を選ぶのは当たり前だったかも知れません。


もっとも、戦後生まれの阪大経済学部は、しがらみが無いせいか、近代経済学の研究者を集めまくった当時としては斬新な経済学部となり(他は◯経が主流)、今では、戦後生まれなんて誰も気にしない一大研究機関として、また就職実績も良好な学部のひとつとして知られます。


市大は◯経学者が多かったせいか、◯生運動も盛んとなり昭和40年代から一時期落ち込んでしまったので、父もこんなんやったら、阪大行っとけば良かったと、思っていたフシがあります。


とはいえ、大阪市立大は、歴史ある文系だけでなく、理・工・医学部なども揃えた総合大学。京大・阪大・神戸大に次ぐ大阪市大・大阪府大のポジション自体は変わりませんでした。


大阪市立大の良いところの一つは、天王寺の医学部以外、全て杉本町に集結しているとこかな。


🍓🍓🍓🍓🍓🍓🍓🍓🍓🍓🍓🍓🍓🍓


その大阪市立大と大阪府立大が統合して、大阪公立大学が来春誕生します。



当然のことながら、前身校のキャンパスを引き続き使うので、杉本(大阪市大)や中百舌鳥(大阪府大)を中心に、タコ足にならざるを得ないところはありますね。森ノ宮キャンパスが2025年開設なので、それまで基礎教育どうするのかは、気になるところです。


それでも、学部の充実度からいうとかなりの大学になります。無いのは外国語学部と歯学部ぐらいかな(どっちも阪大にある)。

こうしてみると。

大阪府大は「経済・農・工・保健」といった学部を、今時の「学域」に再編していたようですが。


大阪公立大学では、市大の学部を活かしつつ、そこに府大の学域を組み込んだ感じです。OBとしては、府大の「農学部」が復活するので嬉しいです😊。


キャンパスの配置からすると、工学部は府大の工学部の方に寄せるようですし、理学部は市大に寄せるようです。また、かつての農学部獣医学科、今は生命環境科学域獣医学類の獣医は、りんくうタウンキャンパスで「学部」として独立ということのようです。


どういう合併再編となるか気になってましたが、おおよそ想定の範囲内かな。統合するのは良いけれどタコ足大学なので一体感が醸成できるのかは気になるところです。


タコ足大学の典型と言えば、信州大学があるけれど、ここはいわゆる一般教養は全員松本キャンパスで受けて、それから松本・長野・上田・伊奈に分散するので良いかと思うけど。大阪公立大学の1回生はどこで授業受けるのかが、素朴な疑問ではあるな。


いずれにせよ、一学年三千人弱という、有数の規模の大学になるわけで、来春の受験生の動向が気になるところです。とりわけ、神戸大学と大阪公立大学のどちらを狙うかは悩ましいとこかな。


🍓🍓🍓🍓🍓🍓🍓🍓🍓🍓🍓🍓


最後に、朝ドラついでに、大河ドラマも。


明治8年に森有礼(明治の六大教育家)が商業を学ぶ学校として設立した東京の商法講習所は設立時にお金がなくて、渋沢栄一が援助して私立の学校として誕生します。翌年、東京府に移管され、後に国に移管され、高等商業学校を経て、大正9年に、東京商科大学に昇格します。渋沢栄一は、初期だけでなく、かなり後まで資金難に困るこの学校のために運営委員などの立場で尽力してきたようです。これが今の一橋大学


明治13年、五代友厚など大阪の財界人が寄付して出来たのが私立大阪商業講習所。こちらも翌年、大阪府に移管され、明治22年に大阪市ができると市に移管されます。その後、大阪市立大阪高等商業学校を経て、昭和3年に大阪商科大学に昇格します(初の市立大学)。前述のとおり、今の大阪市立大学商学部・経済学部・法学部の前身です。


渋沢栄一と五代友厚。

この二人が設立にかかわった学校は、多くのビジネスマンを育成し、日本経済発展の原動力の一つになった、というわけですね。


🍓🍓🍓🍓🍓🍓🍓🍓🍓🍓🍓🍓🍓


というわけで、大阪公立大学と朝ドラと大河ドラマという一見、関係なさそうな話を、いささか強引にまとめてみちゃいました。最後まで読まれた方、おつかれさまでしたm(_ _)m。