文責:村田


【開催への道程】
 順当に行けば第45回は5月に開催する予定でしたが、参加申し込みが少なかった為、8月に順延しました。
 広報不足を反省し、今回は告知時期を早めたり、今まで参加や問い合わせのあった方々にメールを送ったりと、様々な工夫を行いました。
 また、「語る会」を通じてAGPに入会したメンバーが、九州から遠路遥々、お手伝いに来て下さいました。


【参加スタッフ】
あゆみ、カイト、しゅん、太郎、村田


【参加者】
 7名の申し込みがありましたが、事前・土壇場で2名がキャンセルしました(計5名の参加。内、リピーターが3名)。また、年齢層は20代から60代までと幅がありましたが、女性の参加はありませんでした。


【今回の流れ】
 今回、以下のスケジュールで進行しました。
 1 事前アンケートの転送、直前ミーティング
 2 あいさつ、グランドルールの説明
 3 スタッフ・参加者の自己紹介
 4 休憩
 5 全体ディスカッション及びグループ分けの決定
 6 休憩
 7 グループディスカッション(2グループ)
 8 まとめ、アンケートのお願い
 9 反省会


【アンケートの転送&直前ミーティング】
今回は5名の方から事前アンケートを戴きました(内、1名はキャンセル)。また、昼食を兼ねて飲食店に入り、そこで直前ミーティングを行って、運営上気を付けたい事や今後の「語る会」の会場の確保等について話し合いました。


【グランドルール】
 毎回、冒頭に導入として以下のお願いをしています。
 1  話をする場合は主語に『私』等の一人称を用い、一般論ではなく、自身の考えや体験を語る事。
 2 誰かが話をする中でその内容に違和感を覚えるかも知れないが、その時は「それは違う」と決め付けるのではなく、一旦は相手の話を聞き入れ、その上で「自分はこう思う」と返す事。
 3 「語る会」で見聞した事柄については、「語る会」に留めて他言しない事。

今までグランドルールの説明書を受け付け時に渡していましたが、「最初にそれを渡されたら緊張する」との意見がありましたので、説明時に渡して参照してもらう事にしました。
また、説明を終えて自己紹介に入った後で参加者が遅参した為、その方にはそれを渡して黙読してもらいました。


【自己紹介】
 あゆみから
「最近あった、楽しかった事」
とのお題を出してもらい、各自、1分程の持ち時間で自己紹介をしました。


【全体ディスカッション】
 自己紹介は特に滞りなく終わったのですが、参加者に緊張感が残っていたので、10分程の休憩を取った後に全体ディスカッションを開始しました。
開始直後は参加者からの話題の切り出しがなかったので、村田から「○○さん、どんな事を話したいですか?」と指名しました。
 すると
「日本に居辛さを感じている。将来、海外に移住出来たら、と考えている」
と話が始まり、海外のゲイ事情について話が盛り上がりました。それを受けて、
「職場で“ゲイじゃないか”と噂が立ち、隠すのに非常に苦労した。しんどくて、職場を辞めた」
と云う話も出ました。
 また、
「ゲイとしての活動をしていなかった時は、仕事に没頭していた。でも、今はプライベートにも時間を割きたいが、残業等が多くて、中々思う様に行かない。他の人はワークライフバランスをどんな風に取っているのか、知りたい」
との意見も出ました。

 今回も、トピックで参加者を振り分けてグループディスカッションを行う事としました。全体ディスカッションの最後でそのトピックを募ると、

 1 出会いに繋がるツールの使い方(参加者3名、スタッフ2名の計5名)
 2 パートナー、或いはその候補者との付き合い方(参加者2名、スタッフ3名の計5名)
と云う、2つのグループに分かれる事になりました。


【グループディスカッション】
グループ1では、「今日、初めてゲイの人と会った」と云う方が居ました。「良い人と出会いたいが、堂山等のゲイストリートは怖い」と仰っていました。そんな方が勇気を振り絞って「語る会」に来て下さった事をとても嬉しく感じると同時に、今回の参加を機に、少しでもその方の世界が広がれば良いなと思いました。
 グループ2では「パートナーと出会って4~5年になり、今は一緒に住んでいる。でも、年齢や仕事、趣味等で共通点が少ない」との話が出ました。しかし、よく伺うと「お互いの距離感やプライバシーが保てて良い関係なのでは」との意見が出ました。また、「セクシュアリティとは別の問題もあるが、職場の同僚や上司の言動で、ヒヤヒヤしたり腹が立ったりする」「今の職場は社内での競争が非常に激しく、プライベートを確保する為に転職も考えている」との話も出ました。


【まとめ、片付け、アンケートのお願い】
 グループディスカッションを終えた後に再度全員に集まってもらい、まとめとして一言ずつ感想を戴きました。アンケートでは、「答えのない話につきあってもらえたこと。ほかの人の答えのない話を共感しつつ聞けたこと」が心に残ったと書いて下さった方も居ました。
その場で答えが出ない話題を共有すると重みを感じますが、これからも、楽しいおしゃべりもあり、しんどい話も皆で分かち合える、そんな「語る会」を継続出来たら良いなと思います。


【反省会、感想】
 5月は参加者を確保出来ず順延とした為、今回、開催出来た事に安堵しています。
 今回はリピーターが3名居て、久し振りに会った方々に懐かしさを感じました。プライベートが安定しているのか、以前よりも余裕のある印象を受けたので、そこにも感慨を受けました。
 今回から告知を早目に行っている事、それに伴って会場の確保も早目にしています。会の終了時に次回予告(11月20日予定)をするつもりでしたが、それを失念してしまい、反省しています。



 今回のGCNの活動のメインは何と言っても9月2日から4日に福岡で開かれた日本心理臨床学会秋季大会でしょう。今年は久しぶりに発表と自主シンポの両方がAGPとしてできました。特に発表の方は、「同性愛者を対象とした無料電話相談に寄せられた相談内容の検討(2)」と題して、前回Miyaken.がしてくれた「こころの相談」の集計結果の発表からちょうど10年を経た今年3月の時点で、あらためて相談内容の集計を行い、前回のものと比較しました、そしたらこんなことがわかりました、という発表をしました。まる10年。関東と関西合わせて1307件。よくこつこつとこれだけ受けたなというのがまず感想。もちろんこれはこの間電話相談を担当してくれたGCNメンバー皆さんの熱意と使命感の賜物です。内容の方も前回の結果と比較検討するといろんなことが見えてきて面白いです。同性愛者をとりまく環境の変化、精神科医療のイメージの変化、電話というツールの社会的な位置づけの変化など、10年経てば確実に物事は変化しているのだ、とあらためてわかりました。

 それから自主シンポの方は、ほぼ毎年しつこくやっている、「同性愛者の心理臨床について考える」シリーズ。回を重ねて9回目の今回は「大学をLGBT affirmativeな場にするために」がテーマ。まず話題提供者の平田代表、葛西真記子さん、柘植道子さんがそれぞれの大学を舞台にした活動模様を報告、皆すごいなあと感心していたら、最後に指定討論者の高石浩一先生が、「affirmativeであるとはどういうことか」について切り込んでくる、というスリリングな展開でした。

 ところで今年は学会の発表全体にセクマイ関係が多く見られ、発表の質もよかったようで、これまた時の流れを感じたのでした。