今回のGCNの活動のメインは何と言っても9月2日から4日に福岡で開かれた日本心理臨床学会秋季大会でしょう。今年は久しぶりに発表と自主シンポの両方がAGPとしてできました。特に発表の方は、「同性愛者を対象とした無料電話相談に寄せられた相談内容の検討(2)」と題して、前回Miyaken.がしてくれた「こころの相談」の集計結果の発表からちょうど10年を経た今年3月の時点で、あらためて相談内容の集計を行い、前回のものと比較しました、そしたらこんなことがわかりました、という発表をしました。まる10年。関東と関西合わせて1307件。よくこつこつとこれだけ受けたなというのがまず感想。もちろんこれはこの間電話相談を担当してくれたGCNメンバー皆さんの熱意と使命感の賜物です。内容の方も前回の結果と比較検討するといろんなことが見えてきて面白いです。同性愛者をとりまく環境の変化、精神科医療のイメージの変化、電話というツールの社会的な位置づけの変化など、10年経てば確実に物事は変化しているのだ、とあらためてわかりました。

 それから自主シンポの方は、ほぼ毎年しつこくやっている、「同性愛者の心理臨床について考える」シリーズ。回を重ねて9回目の今回は「大学をLGBT affirmativeな場にするために」がテーマ。まず話題提供者の平田代表、葛西真記子さん、柘植道子さんがそれぞれの大学を舞台にした活動模様を報告、皆すごいなあと感心していたら、最後に指定討論者の高石浩一先生が、「affirmativeであるとはどういうことか」について切り込んでくる、というスリリングな展開でした。

 ところで今年は学会の発表全体にセクマイ関係が多く見られ、発表の質もよかったようで、これまた時の流れを感じたのでした。