皆さんこんばんは!
武岡宏樹です。
舞台「ラフテイル・オブ・アラジン」
僕が演じた役、アラジンの盗賊仲間「カシム」
演じていてとても楽しい、良い役でした。
終演して数日経ちますが、あの役をやれて良かったなぁ…と、日々感じています。
そんなカシムを差し置いて
客席の大爆笑をかっさらっていった、僕の演じたもう1つの役…
その名は…「ターヒル」
今回はこの役を僕が演じる事になった経緯を書こうかな…と思います。
【ターヒルの誕生】
元々、ターヒルという役は台本上にありませんでした。
ターヒルが出てきたあのシーン自体はあったんですが、本来であればサイード(冒頭出てくる衛兵の1人)が出演するはずでした。
初めての殺陣稽古の日…
殺陣師の方に来てもらい、各シーンの殺陣の動きをつけてもらう日。
あのシーンの殺陣ももちろんこの日につけたんですが
本来そこに出る予定だった役者は、そんなに殺陣をやったことがなかったんです。
これは舞台あるあるなんですが…
殺陣のシーンは、ト書き(小説で言う地の文)で軽く触れて終わりになることが多いです。
今回も結構激しく戦ったんですが、台本上だと
「アラジンが剣を難なく避け、最後に弾き飛ばす」
程度にしか書かれていません。
なので、実際稽古場で殺陣を付ける時になって
「いやめちゃくちゃ激しく動くやん!」
みたいになりがちなのです…
その結果、元々やる予定だったキャストには想定外の動きが付いてしまったのです…
時間をかけて練習すればできたのかもしれませんが
サイード役の嘉蓮くんがしばらく稽古場に来ることができないこともあり、その時間が確保できるか微妙でした…
殺陣は何より安全第一
万が一にも怪我の可能性があるならば別の方法を探るべき…
そこで、たまたま男性キャスト中唯一殺陣を勉強していた僕が急遽出ることになったのです。
しかし僕は本来カシムとして出演している身
前のシーンに出ているサイードとして僕が出るわけにはいかないので、新しい役を作らなくてはいけない…
そうして彼…ターヒルは産まれたのでした…!
【例の日替わりシーン】
さて、ターヒルと言えば
公演中ちょっとした名物シーンのようになってしまった、例の日替わりシーン。
カーテンコールの挨拶でも言ったんですが、あのシーンは台本上ではたった1行
「ターヒルが剣を構える。アラジンは棒立ちのまま」
というト書きのみのシーンでした。
演出の安藤さんから
「動かないアラジンとの対比で動いててほしくて、それが面白く見えたらいいなぁ」
というオーダーが来ておりました。
最初はジリジリ動きながら色んな構えを取る…という、かなり真面目なことをしていたんですが
「いや、これ全っっっっっっっ然面白くねぇな」
と思っていて…
何かないかと考えていた時、ふと思いつきました
「……格ゲーの待機モーションみたいにすればいいんじゃね?」
と。
初日にもやっていた、剣を構えて前後に揺れ続ける動き
実はアレ、格ゲーをモチーフにした動きなんですよ。
ちなみに初期の段階ではズドンさん(カマル大臣)からのツッコミはなく進んでいました。
かなりシュールな絵面だったと思います 笑
結果コレが稽古場でかなりウケて、僕はこれでやり切るつもりだったんですが
稽古残り2日の時点で
「ターヒル、そろそろ別の動き見たいなぁ。日替わりとかでいいよ」
と言われてしまいました…!
普段日替わりネタの部分を担当することなどなかった僕にも、とうとうこの時が来てしまったのです。
同じタイミングでズドンさんから
「あの動きツッコまずにはいられないからさ、なんかひといじりしてから進めることにするわ」
と言われ、あのシーンが完成したのでした 笑
でも流石にあんな破壊力のあるシーンになると思ってなかったよ !
舞台上であんなに必死で笑いを堪えたことない 笑
【もう1つの日替わり】
公演途中から日替わりとなった
「アラジンに剣を渡す前の威嚇シーン」
公演真ん中辺りまでは
剣を一振りしてアラジンをビビらせる
だけだったのが
いつの間にか剣を舐めたり自分の脚を斬ったりする、とんでもシーンになってましたね 笑
あの日替わりは、なんと上演真っ最中…
ターヒルの出番5分前くらいに生まれました 笑
袖中に戻ってきたアラジン役・松本幸大さんに
「あそこ、刀舐めたりしてもいいんじゃない?」
と言われて
「お!じゃあやりますか!」
となったのがはじまりでした。
本当にこの程度の会話しかしておらず、幸大さんも刀を舐め返して来たり、それになべおさみさんがツッコんだり…
次回以降の公演でのアドリブ内容なんかは一切打ち合わせなし。
マジモンのアドリブ合戦シーンでした 笑
楽しかったなぁ 笑
本当に、ターヒルは俺に今までできなかった色んな経験をさせてくれました。
ありがとうターヒル。大好きだよターヒル。
もし再演できたら、カシムと一緒にまた君を演りたいよ。
相変わらず長々と書いてしまいましたが、流石にこの辺りで〆にしましょう 笑
最後に…
髭が全然生えない僕に
「意外と髭似合うじゃん…」
と気づかせてくれてありがとう。