

珍しく治療のお話を載せます。
その中でも『咬合(こうごう)』!
すなわち咬み合せのお話です。
人は歯医者さんに何故行くのでしょうか?「痛いから」??
じゃあ歯を抜いてしまえば済むじゃないか。
それでは食事が出来ない!
じゃあ
インプラント入れれば…
入れ歯入れれば…
ブリッジ…
とまぁ、簡単に言いますけど、、、
人は何かを口の中に入れたくて歯科に行く訳ではなく、
「人生において日々美味しくご飯を食べる」ために行くのです。
美容目的で歯科に行く場合もありますが、
この場合も「綺麗になれれば咬めなくても良い!!」
という人はほとんどいないと思います。
(なかにはいるかも知れませんが…。)
綺麗になりたいし咬みたいし。
では「咬合」って何だろう?
それは人が食事をする際に行う咀嚼運動において、
体内に食物を運ぶために効率良く磨り潰し、
また口腔周囲の筋肉により誘導される運動の中で、
動的な調和をする上下の歯の関わりなのであります。
この歯科医師でも難しくてなかなか目を背けてしまいがちな、
「咬合」は歯の一部もしくは全部を失った場合に、
歯冠修復物を入れる際にとても重要になります。
そしてこの「咬合」には多くの理論があります。
入れ歯から始まり100年ほどになる「咬合」の理論。
しかし残念ながらそのほとんどがあくまで理論であり、
咬合器と呼ばれる冠を作る器械の上で設計したものが、
お口の中に入ると微妙にズレるのです。
でもそれは仕方がない、
器械は直線的な動きしかしないのに、
口の中は色んな動きや歪みをみせるから、
ど~やっても一致させるのは無理!!
顎関節の歪み、
アゴの骨のしなり、
歯を支える組織の動き。
あとは模型の微変化や型取り材の変形。
などなど多くのエラーがあります。
しかし、エラーは無いと自信を持って上下の関係を、
ガッチガチに固めて作ってしまうと大変です。
お口の中では一切の遊びを許さないもの出来上がります。
そしてそれはルーズさを持つ生体の動きを規制します。
それが修復物を入れた後の様々なトラブルに繋がってくるのです。
ましてやルーズさを許さないものを作って、
口の中でルーズになるように調整してしまっては、
最初に設定した咬合理論で作製した意味がありません。
ようするに!
初めに歯科医師が口の中と模型から描いた「咬合」と、
咬合器上で歯科技工士が作製した「咬合」と、
口の中に装着し様々なエラーを調整した「咬合」が、
一致しなければならないのです。
そのためには、
修復治療を行う際には歯科医師と歯科技工士の脳内を、
常にリンクさせる事が超重要なのです。
そしてリンクして作られると、
「理論と実際が相調和」してますから、
調整も簡単、患者さんも最初から違和感がありません。
ちなみに上の写真は軽く噛んだ時の接触ポイントと、
左右に滑走させた時の上下の歯の離解と接近を調整しています。
滑走時はこの場合はおよそ60~80μmの接近度合い(厚み)に設定しています。
※実際は当たっているのではなく、限りなく近いという事です。
これはもちろん咬合器上で設定したものと変わりありません。
まぁ結局のところ歯科医師は歯科技工士と、
歯科技工士は歯科医師と完璧な意思疎通を図るべく、
普段から一緒に勉強しなければならんと言う事ですわ!
(°∀°)b
最後の最後で当たり前の事良いましたがこれにて失礼!!