≪禊ぎ≫
境内に入ると、手を洗い、口を濯ぐ「手水舎」があり、清らかな水が満たされている。ソロモン神殿にも青銅の海と名付けられた「水盤(洗盤)」があり、祭司の体を清めたと記されている。本格的な「禊ぎ」は純白な衣を身に着け、水を全身に浴びるが、その由来はバプテスマ(洗礼)にあるとされる。
『旧約聖書』には、水盤に瓢箪が刻まれていたと記され、京都太秦にある「蚕の社」の三柱鳥居が立つ池は瓢箪形で、その名を「元糺の池(もとただすのいけ)」という。
式年遷宮を秋に控えた伊勢神宮(2013年)より拝借
元を糺すとは悔い改めの意味である。それだけではない、そこで昔はバプテスマが行われたと社伝にあり、そのためか大きな神社には必ず「神池」があり、伊勢神宮では五十鈴川が禊ぎの役目を果たしているという。
イエスが洗礼を受けたと考えられている「ヨルダン川対岸のベタニア」
事実、五十鈴川で人々は身を清め、イエス・キリストもヨルダン川でバプテスマを受けている。さらに五十鈴のイスズはイエスズ(イエス)から来ているとする研究者もいる。
ヨルダン川と由良川(2016/3/18)より
(過去記事) イスラエルの動きと第三神殿建設(1/4)
世界は聖書の預言どおりに動く?(最終回) (4/15)
≪本神輿の謎≫
神輿の元は、九州大分県の「宇佐八幡宮」に鎮座していた本神輿とされている。神輿は、四角形の箱に金箔を貼り、その上に翼を広げた金色の鳳凰が乗っている。鳳凰は陰陽一対の鳥で、本来は雌雄で2羽の聖鳥で向かい合っている。
古代中国では、天帝の皇子「聖太子」の出生を告げ知らす鳥とされ、天帝とは最高神を指す名称で、地上の天帝は天界の天帝の意思の反映とされた。となると鳳凰は『新約聖書』に登場する、天使ガブリエルによるマリアへの「受胎告知」と共通することになる。(中略)
天使は天駆ける翼を意味する「ケルビム」で象徴され、それが雌雄一対あることは、神輿の屋根に2羽の鳥が向かい合う構造になる。それを具象化したのが社の屋根にあるV字の「千木」だ。
伊勢神宮内宮
出雲大社本殿(2015/10/17撮影)
千木は大地と垂直の切り口が雄で、並行の切り口が雌だが、例外的に両方を持つ千木もある。これが鳥を象徴するので、神社に鳥が居る意味でシンボルを「鳥居」という。神輿を担ぐのは氏子だが、ユダヤではレビ族が担いだ。
「レビ人には掟の幕屋、その祭具および他の付属品にかかわる任務を与え、幕屋とすべての祭具の運搬と管理をさせ、幕屋の周囲に宿営させなさい。」(旧約聖書・民数記第1章50節)
53基の大神輿に清めの水「深川八幡祭り」(8/13)より
さらに神輿に不可欠な笛や太鼓はユダヤでも同じだった。
「主の御前でダビデは力のかぎり踊った。彼は麻のエフェドを着けていた。ダビデとイスラエルの家はこぞって喜びの叫びをあげ、角笛を吹き鳴らして、主の箱を運び上げた」(旧約聖書・サムエル記下・第6章14~15節)
「イスラエルの人々はこぞって喜びの声をあげ、角笛とラッパを吹き、シンバルを鳴らし、事と竪琴を奏でて、主の契約の箱を運び上げた」(旧約聖書・歴代誌上・第15章28節)
宇佐八幡宮の本神輿を参考に具象化したレプリカを、日本中の神社に配した伝承を持つのが、元宇佐の一つで福岡県福津市勝浦に鎮座する「年毛神社」である。(転載終了)
「ユダヤの民VSヤハウェの民 NIPPON」(著・飛鳥昭雄)より
ケルビムとは(コトバンク)
ヘブライ語 cherubの複数形。人面または獣面で翼をもった旧約聖書の超人的存在。神の玉座や聖なる場所を守衛すると信じられ,契約の櫃には黄金のケルビムが配置されていた。アッシリアの神殿を守護した,人面,雄牛の身体,ライオンの尾,翼をもったケルブ (ケラブ) が取入れられたものと思われる。キリスト教 (特にカトリック) では智天使と訳し,天使の一つとしている。美術では頭と翼だけの幼児に描かれる。(引用終了)