男手ひとつで育ててくれた父のもとを離れ、ひとりで暮らしていた雫は病と闘っていたが、ある日医師から余命を告げられる。最後の日々を過ごす場所として、瀬戸内の島にあるホスピスを選んだ雫は、穏やかな島の景色の中で本当にしたかったことを考える。ホスピスでは、毎週日曜日、入居者が生きている間にもう一度食べたい思い出のおやつをリクエストできる「おやつの時間」があるのだが、雫は選べずにいた。
――食べて、生きて、この世から旅立つ。
すべての人にいつか訪れることをあたたかく描き出す、今が愛おしくなる物語。
(出版社サイトより引用)
ライオンのおやつとは?
久しぶりに小川糸さんの本を読みました。
どんなお話なのか、前知識一切無しでしたので、主人公の雫がフェリーから降り立って向かった場所が何なのか、読みながら徐々に分かって来ました。
瀬戸内海に浮かぶ、通称「レモン島」にあるホスピス「ライオンの家」でした。
末期がんなどで、余命宣告を受けた患者さんが、死を待つ施設。
読み始めは、死を待つ雫が魅力的過ぎて、良い人ばかり登場するし、お話がきれい過ぎて、ちょっと死をも美しいラップに包み過ぎなんじゃないかとも思いましたが。
読み進むうちにその世界観に取り込まれ、皆さんの思いや行く末に涙し、ティッシュが手放せなくなりました![]()
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そこはどんなに風景のきれいな、空気が美味しい島なのか。
地元の食材で質素ながら美味しい食事を出してくれるホスピス。
朝食は滋味あふれるお粥。
週1回のおやつの時間は、入所している患者さんのリクエストした人生の大切な思い出のおやつを皆で頂く。
小川さんの小説を幾つか読みましたが、いずれも舞台になる土地が大きな魅力になっています。そこに行ってみたい。暮らしてみたい。そう思わずにいられないような魅力です。
過去に「ツバキ文具店」を読んだ時の自分のブログ記事からの引用です。
"小川糸さんの小説は、どれも温かくてぬくもりに包まれるような気持ちよい物語ばかりです。
何作か読みましたが、お話の舞台がまた素敵な土地。素敵というのは、そこに住まったことの無い人間(つまり読者である自分のコトですが)が、憧れるようなという意味です。
「つるかめ助産院」は確か沖縄の方の南の島。「喋々喃々」は、東京の雰囲気ある下町。
そして「ツバキ文具店}は鎌倉です。"
人の死は誰にも必ず訪れる逃れようのないものですが、出来ればその時まで健やかに過ごして、あまり苦しまずに、眠るように行きたいなあ、とは思います。
でも、自分がどんな死を迎えるかも分かりませんし、そもそも「死ぬ」とは、どんな感じがするものなのか、死んでみた事はないので、それも分かりません。
あの世や天国があるのかどうか、もしや魂はその辺りに漂っているのかどうか。
雫は短い余命を「ライオンの家」で心地よく過ごして、少しずつ弱り、死んでいきます。死ぬのは怖いという気持ちももちろんありましょう。残していく家族や友人に対する思いもあります。他の患者さんには、寿命を全うするに近い年齢の人もいれば、幼くして亡くなる人も。
「ライオンの家」で出会う人々のそれぞれの死と、そこまでに至る時間を少しでも幸せなものにするお手伝いをする人々。
やっぱり小川さんの小説には温かいぬくもりがありました。
そして、雫がいよいよとなって意識があるかないかの時間の中で、既に亡くなった人に会ったり、他の患者さんの夢の中でお話したり、そんなこの世とあの世のあわいのような時間の流れも、ああ、死ぬときってこんな感じかも、、、とも思われました。
でも、本当にやっぱり、またしても、こんな土地で暮らしてみたいと、小川さんの術中にはまってしまいましたよ!
死ぬなら、自分もレモン島のホスピスで![]()
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偶然ですが、この本を読む前に瀬戸内に行ったのですよね。
本当に瀬戸内の海は美しくて、また行きたい!と思っているのですが、終の棲家の候補の一つに挙ておきましょうかね。
瀬戸内の海と島
夕焼け

