江戸の町の堀にちなんだ6つの短編で、人情の機微に心打たれます。悲しい時、辛い時、嬉しい時、堀の水面をみつめて人々は何を思うのでしょう。どのお話もそれぞれ、人の暮らしと心の内をていねいにすくい取った宇江佐真理さんならではのものです。


自分が特に好きなのは、「おはぐろとんぼ 稲荷堀」ですね。主人公は料理茶屋で働く女料理人なので、板場の様子や料理、料理人たちのやり取りなどが楽しめます。板前だった亡き父親に仕込まれた料理の腕は一人前なのに、女であるということで煮方や焼き方、板前になれず裏方として働くおせん。そこに新しくやって来た親方は、小さな娘を持つやもめの料理人でした。大雑把な性格に思えた親方が、実は細やかに相手のことを考えてくれる人柄だったり、小さな女の子のけなげなセリフにほろりとしたり。おはぐろとんぼが飛んでくるエピソードにも心がほわっとなりました。


「御厩河岸の向こう 夢堀」も、面白いです。生前の記憶を持つ生まれ変わりの男の子とその姉のお話なんです。病で死んでしまってから、たましいになって家の鴨居にとまって家族を見おろしていたりした死後のことを語る幼い弟。可愛がってくれる優しい大好きな姉の幸せを保証する不思議な弟です。


離れ離れになっていたり、縁が切れたり、家族といえどもいつもみんなで幸せとは限りませんが、見えない絆がちゃんとあるのだよ、と宇江佐さんが語りかけてくれるようなしみじみしたお話の数々でした。



立ち食い:街かどで焼小龍包
食べて飲んで観て読んだコト+レストラン・カザマ-大山生煎店 食べて飲んで観て読んだコト+レストラン・カザマ-生煎

先日の映画の帰りに、見掛けてつい購入。交差点の角で目立ってますよね(^_^; 表にある小さな丸テーブルで立ち食いできます。ビールも売ってます。自分は、テイクアウトして家でレンジでチンして頂きましたが、中から美味しい汁がじゅわっと出て来ました。皮が厚いので1個でも食べ応えありました。4個¥400

大山生煎店 札幌市中央区南3条西1丁目