卵のふわふわ 宇江佐真理
八丁堀の廻り同心、椙田(すぎた)の家で、お嫁さんののぶは、舅の忠右衛門や姑のふでに可愛がられている風にお話は始まった。江戸の武家のお宅で美食家らしき主とカワイイお嫁さんのエピソードを中心に、美味しい食べ物と一家の暮らしぶりを活きいきと描き出すお話かな、と少し拍子抜けした気分になったが、、、。のぶの夫である、同心のお役目を務める正一郎が、このホームドラマを変えてしまった。のぶと結婚する前に、好きあっていた女性に裏切られ、傷ついていた彼はどうものぶを愛せないでいるらしい。少なくとも、のぶは自分に対して優しい言葉一つ掛けるでもなく冷たい正一郎のことを、悩んで暮らしていた。
やっぱり、大好きな宇江佐さんの小説だわ~。読み進めるほどに、この若い夫婦がどうなってしまうのか気になって、もうページを繰る手が止まらない。
舅の忠右衛門の一風変わった人柄と、姑ふでの謎の出自も読者心をくすぐり、もちろん美味しいものがうまく絡むエピソードも楽しい。各章は、それぞれ美味しい食べ物がタイトルとなっている。
「秘伝 黄身返し卵」
「美艶 淡雪豆腐」
「酔余 水雑炊」
「涼味 心太」
「安堵 卵のふわふわ」
「珍味 ちょろぎ」
いずれも、高価なご馳走ではないけれど、ふっと人の心をやさしくしてくれるようなそんな美味しそうな食べ物。
のぶは、好き嫌いがとても多くて、それも夫に嫌味を言われる一つであるが、だんだんと食べることのありがたさと幸せにも気づいていく。「いただきます」は、誰に向かって言う言葉なのかを、忘れないようにしないとね。
夕食:映画に誘発されて、近所のイル・メルカート へ。厨房が見えるカウンター席で気軽なご飯と赤ワイン。楽しいねー(^-^)
生ハムとトマトとモッツァレラチーズのサラダ。牛すね肉のラグウソースのパスタ。仔羊のロースト。
いずれも、赤ワインによく合うお料理。
こちらのKシェフには、7月に二人目のお子さんが生まれたばかり。おめでとうございます!!しばらくは、子育てに専念するマダムに会えないのは寂しいけど、Kシェフ男の子に恵まれて張り切ってる感じがひしひし。一姫二太郎で、お上手だわ~(^-^)