2月15日(水) 晴れ
台湾中西部、嘉義市のホステル「安蘭居國際青年館」のフロントのある14Fからの眺めです。
天気晴朗なれど空気汚し(?)。
共用スペースには朝食としてトーストと果物とコーヒー・紅茶が用意されていました。
遠慮なくいただいています!
同部屋で、昨夜行動を共にした大学生のマツモトくんと記念撮影!
春休みを利用して飛行機で自転車を持ち込み、17日かけて台湾一周中です!
お互い無事に生還しましょうね。
帰ったら就活頑張って!
フロントの台湾人のお姉さんも交えて記念撮影!
イェーイ!
言葉は全く通じないのに、めちゃノリノリです(笑)。
本当にここのスタッフさんは皆優しくて楽しい人ばかりです。
宿の外観、このビルの14Fがフロントで6Fが客室です。
嘉義を発つ前に一ヶ所見ておきたかった場所、台湾映画「KANO」で有名になった呉明捷投手の銅像がある噴水広場です。
日本統治時代の1931年に台湾代表として甲子園初出場し準優勝した嘉義農林野球部のエースが呉投手です。
その快挙に嘉義だけでなく台湾中が熱狂したのは想像に難くないですね。
彼らの活躍を映画化したのが2014年の大ヒット台湾映画「KANO」(嘉義農林の当時の呼び名)で、翌年に日本でも公開されています。
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本日のノーヘルおじさん。
一応違反らしいです。
台湾ライダーのヘルメットはどう見ても安全性に問題がありそうな安物や半ヘルが少なくないです。
安全のためというより警察に捕まらないためという感覚でかぶっているとかいないとか。
台湾の交通違反は点数などは無く罰金だけで、コンビニで支払える手軽さです。
嘉義市街地から省道1号線を南へ少し行くと北緯23.5度の北回帰線に当たります。
太陽が真上に来る北限ということですね。
この真上を太陽が通るのは夏至の日だけです。
ここまでが亜熱帯、この先はいよいよ熱帯です。
1号線から東へ、郷道(県道的な?)南117号へ入ります。
この道は八田與一先生にちなんで 「八田路」という名がついています。
青々とした水田が広がるこの嘉南平野は台湾最大の穀倉地帯です。
この穀倉地帯を支える巨大な農水施設は嘉南大圳(かなんたいしゅう)と呼ばれます。
この治水工事を行ったのが日本人の八田與一(はったよいち)先生で、台湾で最も尊敬されている日本人として知られています。
台湾の小学校の教科書にも載っているそうです。
その八田先生による烏山頭(うさんとう、ウーシャントウ)ダムは今なお現役で、ダム湖周辺は八田先生の業績を讃える記念公園として開放されています。
今回の台湾旅の最大の目的地のひとつ、入口に立つだけで身が引き締まります!
入場料100元、駐輪代20元、合わせて120元(約456円)です。
烏山頭水庫全体図。
ダムの完成は1930年、当時東洋一の規模と言われた巨大ダムです。
ダムの堤防の全景…う〜ん、まさにプロジェクトX!
完成まで10年、総工費5400万円は今なら5000億円相当の国家的大事業です。
アメリカ製の最新式重機を大量投入し、セミ・ハイドロリックフィル工法で作られたダムの規模の大きさは前例のないものでした。
北回帰線以南のほとんどは不毛の地と言われる中、このダムと灌漑設備の完成によって嘉南平野が台湾最大の穀倉地帯になり、地域の方々の生活水準は一気に向上しました。
記念撮影、ついに来たぞ〜っ!!
堤防の上は道路になっていて、二輪車なら通り抜けできます。
ダム湖は珊瑚の形に似ていることから珊瑚潭と呼ばれ、景勝地でもあります。
遊覧船も出ていますね〜。
この湖面は眺めていると不思議と安らかな気持ちになります。
聞こえるのは鳥の鳴き声と樹々のざわめきのみ。
公園内をきれいにしていただいているご婦人です。
你好と挨拶し、日本から来ました〜と身振り手振りでお伝えしました。
堤防脇、ダムを見下ろす位置に八田先生の銅像はあります。
そして銅像の後ろには八田先生と外代樹(とよき)夫人のお墓があります。
この銅像はダムの完成の翌年の1931年、八田先生を慕う地元の方々によって作られるのですが、
「作るのは構わないけど、私はただの技術屋だから、偉そうな銅像にはしないでほしい」
との本人の希望により「作業服姿で座ってダムを見つめ、髪の毛をむしりながら考え事をする」いつもの八田ポーズが採用されたそうです。
ちょうど日本からのツアーの皆さんが銅像に献花するところでした。
お話を伺うと八田先生の出身の金沢からいらっしゃったそうです。
この八田像にまつわる有名な話。
大戦末期に軍の金属供出の対象になるのを忍びなく思った地元の人により銅像はとある倉庫に隠されました。
日本の敗戦後、大陸から台湾に渡ってきた蔣介石率いる国民党政権は日本色の一掃をはかり、日本人の銅像などは全て撤去・破壊しましたが、八田像はやはりその間も隠されたままでした。
銅像が再び烏山頭に置かれたのは姿を消してから37年後の1981年のことです。
八田像が見つめる方角には彼が心血を注いだ烏山頭ダムが広がります。
八田先生は戦時中の1942年5月8日にフィリピンへ向かう船に乗船中、米潜水艦の攻撃により戦死、享年56歳。
その命日には今でも毎年地元の方々によって感謝祭が行われています。
こちらはダムの放水口です。
戦後、日本は台湾の領有権を放棄し、ほとんどの日本人は本土へ引き揚げることになりました。
そんな最中の1945年9月1日、白装束に身を包んだ外代樹夫人はこの放水口に身を投げ、八田先生の後を追いました…。
合掌……………。
八田先生がなぜそこまで嘉南の人たちに愛されたのか。
古来中国には「飲水思源」という言葉があり、それは水を飲むときは井戸を掘った人のことを思い感謝せよという意味だそうです。
彼が計画した一大治水事業によってこの地が豊かになったという功績は紛れもないです。
当時の常識を遥かに越える発想力と情熱を持っていた八田先生。
極めて合理的な考えの持ち主で、設計者としての現場主義を貫いた八田先生。
ダムの建設現場のそばに町そのものを作って作業員を家族ごと住まわせた、部下想いだった八田先生。
そしてこの地に暮らす者は皆家族と考え、烏山頭大家族の家長として民族の区別なく接した八田先生。
喜怒哀楽がはっきりしていて、怒るときは怒り笑うときは笑う、人間・八田先生。
八田先生について知れば知るほど「歴史上の偉人」などではなく「町工場の凄腕名物職人」のような、極めて日本的な美徳を備えた一人の技術者という素顔が浮かんできます。
もちろん今どきの「愛国ポルノ」よろしく「日本人すげぇ〜!」と叫ぶつもりはないですが、戦前に活躍されたあまたの日本人はその高潔さといいスケールの大きさといい、もはや違う民族なのではないかと思えるほどです。
たとえ心の片隅であっても、そんな偉大なる先人たちに敬意を表し感謝して日々を前向きに生きることこそ、現代日本人の最低限のマナーといえるのではないでしょうか。
余談ですが、我が福島県でも明治時代に国家事業として「安積疏水」が作られました。
不毛の地だった安積の原野に猪苗代湖から水を引くという大事業により、人口5000人だった郡山村は一大都市として発展を遂げました。
この事業を指導したのが請われてやってきたオランダ人技師のコルネリス・ファン・ドールンで、彼の銅像は猪苗代湖の十六橋のそばにあります。
この銅像もまた、戦時中の金属供出を逃れて地元の人により戦後まで隠されたという逸話がありまして、それがオランダで大きく報道されたことが縁で彼の出身地ブレーメン市と郡山市は姉妹都市になりました。
銅像の話、もうひとつ。
この烏山頭ダムの一番高いところにあるのが…なんと蔣介石の銅像(!)。
なんという傲慢さ…。
戦後中国共産党との内戦に敗れ、日本が去った後の台湾に逃れて居座り独裁政権として君臨した蔣介石率いる国民党。
二・二八事件で民衆のデモ隊に話し合いではなく無差別機銃掃射で応えた蔣介石率いる国民党。
その後の「白色テロ」で知識人やエリート層を中心に裁判なしの逮捕・処刑で数万人(正確な数は今なお未解明)とも言われる死者・行方不明者を出した蔣介石率いる国民党。
2017年は二・二八事件から70年、戒厳令解除から30年の節目にあたることから、負の歴史を見直し真相を究明しようという動きが政府を中心に広がっているようです。
さて、私の旅は続きます。
台湾最西端を目指し、西へ向かいます!
海が近づくにつれて塩田風景が広がります。
海水を引き入れ作られる昔ながらの天日塩、最盛期ほどの規模はないですが、近年観光スポットとして注目を集めているようです。
台湾最西端に位置する國聖港燈塔(灯台)が見えました!
ここからは徒歩です。
むむっ⁉︎
隣にはスクーターが2台、ヘルメットからするとそれぞれ2人乗り、そして「環島ING」のプラカードが…。
この「環島」というのは移動手段を問わず台湾島をぐるっと回ることを指すようです。
「環島ING」はさしずめ「日本一周中!」みたいなノリのようですね。
一体何者か…。
この灯台は高さ32.7m、完成は1958年です。
灯台というか鉄塔ですね。
証明写真!
台湾最西端に到達しました〜!
波打ち際はこんな感じです。
海の向こうは大陸です。
ここはあくまでも台湾島の最西端、台湾つまり中華民国の最西端となると対岸の金門島(の西隣の小島の小金門島)です。
金門島は中国・福建省の一部ながら中華民国が実効支配しています。
!
あの4人組は!
台湾一周中の同志に遭遇!!
必死で話しかけるも、你好しか通じません(笑)。
記念写真をお願いしたら快く応じてくれました!
高校生くらいでしょうか、女子3人と男子1人、皆かわいいねぇ〜。
青春って、いいなぁ。
後編につづく!