果たして、疑ったとおりでした。
彼女の所在を示す赤いポインターは、とある駅近くの飲食店を示していました。
ガックリと肩を落としつつ、しばらくモニターを睨んでいると程なく動きがありました。
おそらくタクシーで移動したのでしょう、そこから車で10分くらいの、別の歓楽街で止まりました。
その場所は僕にも心当たりがありました。
元“カモ客”のIさんがよく行くと言っていたスナックでした。
(あぁ・・・やっぱりまたIさんか・・・でも、何故?)
あれだけ揉めて、二度も「もう連絡もしない」と約束したのに・・・
彼女がIさんに気があるとはとても思えません。
前回は娘をダシに使われてつい・・・という事で僕も納得しました。
でも今回は・・・。
ここからは完全に妄想が暴走していきます。
(彼女はもうすでにIさんの愛人なのではないか?)
Iさんはお金持ちでした。
時々僕の目を盗んで逢ってたに違いない。
しかし、若い娘じゃあるまいし、洋服やバッグが欲しくて付き合う訳はないだろう。
彼女に目的があるとすれば・・・ずばり“現金”・・・。
いい年の男が、恋人でもない女性に「好きだから」という理由だけで現金を渡す筈はなかろう・・・としたら、その見返りは・・・・?
そのスナック街のすぐ隣にラブホテル街がある事も僕の不安を加速させました。
店の営業中にも関わらず、もう、一瞬たりともモニターから目が離せませんでした。
この後、もしラブホテルに移動するような事があれば、すぐにでもタクシーでかけつける心積もりでした。
2時間近く経ったでしょうか、動きがあり、ポインターの移動するスピードからどうやらタクシーに乗ったようでした。
まっすぐ家へと帰っていったようです。
とりあえずはホッとしたと同時に、また再び裏切られた気持ちでいっぱいになってしまいました。
こんなモヤモヤした気持ちを胸にしまっておける筈はありません。
しかし、いくら責めたところでまたシラを切るに違いない。
そう思うと裏切られた怒りよりも、(一体いつまでこんな不安を抱えなきゃいけないんだ・・・)と、ウンザリした気持ちになって行きました。
少しずつ、僕の彼女に対する気持ちは冷めて行きました。
