Scene no.4-1
start
窓ガラスを透き通るように穏やかな陽光が差している。
もう春なのだろうか・・・、けたたましくベルが鳴り響いた。
答案用紙とのお別れタイムがやって来たようだ。
試験が終わると
いつも仲間たちと近場の食堂でラーメンを食べてから帰るのだが、
カミングアウトすることにした。
兎に角、早く帰宅することしか眼中になく、
手摺りの付いている坂道の下り斜面をトボトボと歩いていた。
なんとなく覚束ないままに坂道の急斜面に差し掛かったとき、
突然、ふらっと目眩がして迂闊にも転んでしまった。
温かくなったとはいえ足元にはまだ根雪が残り
ところどころ凍結しているので注意が必要なのだが、
・・・ 昨夜も、ほぼ寝ておらず 朝方少し仮眠をとったが、
寝不足のせいか止むを得なかった。
・・・ 踵が滑り仰向け状態でひっくり返り 後頭部を打ったのか、
目の前が真っ暗になり 気を失ったようだった。
その暗闇は随分と・・・、長く長く・・・、感じた・・・。
ある種の覚醒状態に近い・・・、心地よい感覚・・・。
すると、後ろのほうから聞きなれた学友の声が聞こえてきた。
「おーいっ!大丈夫かーっ!」
ざわめく人の声に目を開けると、そこに妖精の瞳が飛び込んできた。
その妖精は、不思議そうにボクを覗き込んでいる。
一瞬・・・、誰ッ・・・?
坂の斜面を登ってきた女性群のひとりだった。
彼女たちは、何事もなかったかのように そのまま無言で通り過ぎる。
「彼女が、来たからってっ 寝たふりしてたんだろうっ」
後からやって来た仲間のひとりが ニヤニヤしながら
冷やかし半分に耳打ちをした。
「ほらっ!俺が言ってたさっあの娘だぜっ!」
起き上がりざまにそう言われても・・・、
「・・・・・、」
今は、ただ、睡魔が目の前をちらついてそんなことは、どうでもよかった。
数分して家に辿り着くと
居間の冷蔵庫からペットボトルを取り出し一気に飲み干した。
部屋のドアを開けるとそのままベッドに転がった。
記憶はどんどん薄れていく・・・、
・・・ つづく

