クックちゃん「はーい、皆様、おはようございまぁす🎤☀️
こちら、クックチャンネルの晴れ男クックちゃんが、本日も京都からお送りしていま~す!」
ラーク「おお、おはよう、クックちゃん。今日もそっちは快晴かい?」
クックちゃん「ラークさん!おはようございますうん、良い天気になりそうだよ
僕が泊まってるお宿は『あづまや』さんといって、浄土真宗の大本山、西本願寺の目の前で~す
部屋からは、あまり窓の外の景色は見えないんだけど、この屋上からの眺め、割といいでしょう?…昨日の午後五時、お寺の鐘の音が響いてきました
…じゃ、僕、これからその『お西さん』こと西本願寺を、ちょっと覗いてきますねっ🏃🎤」
・・・・・
クックちゃん「はい、皆さん、見えますか。ここが飛雲閣で~す
🎤」
クックちゃん「西本願寺は、泊まった旅館の目の前だったから、立ち寄ったんだけど、普通は非公開の飛雲閣(外観)が、意図せず、冬季限定で公開されてたから、入ってみたんだよ
」
ラーク「え、もしかして、それも冬季限定企画なの?!飛雲閣って、国宝の一つでしょ?
冬の京都、凄いなぁ…
」
クックちゃん「うん、僕もそう思ったし、Yuniも、これからは京都は冬に行こうって言ってた
こういうのも、もし春や秋に一般公開したら、観覧チケットを買うだけで、一時間は並ばせられる羽目になったんじゃないかな。
こんな風に散策がてら、ぶらっと立ち寄って入れるなんて、奇跡みたいだよ」
土浦に戻って、マンションでこれ入力してる手の方がよっぽどかじかんで冷たいです。室内なのに… ラークさん「へえ、アシンメトリーで美しい建物だね。日本でこういう非対称の建造物って、珍しくない?」
クックちゃん「うん、実は珍しいんだ。
飛雲閣は金閣・銀閣と並ぶ、京都三名閣の一つなんだけど、左右対称の金閣や銀閣と違って、角度によって、見える表情が違うんだよ」
ラークさん「屋根の形も独特で面白いね。
幾つかの屋根は丸みを帯びて膨らんでて、幾つかの窓は逆に八の字に反ってる。統一されていないのか」
クックちゃん「そう。膨らんでる方は唐破風造り、反ってる方は入母屋造りっていうんだって」
お借り画像。拡大された「六歌仙」
クックちゃん「二層目の板戸に、人の絵が描いてあるでしょう?六歌仙だよ
」
ラーク「六歌仙?」
クックちゃん「僧正遍照、在原業平、文屋康秀、喜撰法師、小野小町、大友黒主。古今和歌集の序文に記された、有名な六人の和歌の歌人なんだ
ただ、凄く遠目だったから、誰が誰だかは、僕には見分けつかなかったけどね。ここをじっくり見るには、オペラグラスが欲しい感じだよ。室内には、三十六歌仙全員が描かれてるんだって。
そういう絵とかの修復作業を何年もやっていて、飛雲閣が見られるのは、本当に滅多にない機会なんだってさ。Yuniの旦那さんも過去に西本願寺に来てるんだけど、その時には見られなかったんだって」
ラーク「僕はこういうの、あまり詳しくないんだけど、こういう建物って、昔、人が住んでいたの?🤔」
クックちゃん「ううん。こういうのは、偉い人を招いてお茶を点てたりする時にだけ、利用される建物で、普段は今と同じ無人のまま、丁寧に管理されてたんだ。
でも迎賓施設、家で言えば応接間みたいなものだから、当然、家の中でも一番、贅と粋の限りを凝らしてある場所だよね。
この飛雲閣の中には、小舟を浮かべて入る趣向が凝らされてたみたいで、小さな船着き場があるんだ
」
お借り画像「舟入りの間」。
ラーク「あらゆる技術を駆使して、異世界感を演出するわけだね。
カッコいいなぁ。ここで夜、雅楽や舞のリサイタルでも開いてほしいなぁ
」
クックちゃん「ふふふ。でしょ
僕もそう思った。この建物に灯りを入れて、それを背景に、琵琶や筝や笛を演奏したら、きっと凄く幻想的だろうね」
・・・・・
クックちゃん「…午後からは僕、二条城に行ってきますよ~🏯」
ラーク「二条城って世界遺産なのか。どんなとこだい?🤔」
クックちゃん「徳川家のお城だよ。江戸から明治に、幕府から政府へと政治の中心を移した、有名な大政奉還をしたのも、この二条城なの」
ラーク「あれっ?徳川家の城と言ったら、東京にあった江戸城じゃないの?」
クックちゃん「うん。真っ先に浮かんでくるのはね。勿論、普段は将軍はそっちに住んでたんだよ。
二条城は、京都にある別宅、京都出張所って感じかな
…でも、江戸城は潰しちゃったでしょ?」
ラーク「確かに。二条城は、現存する貴重な徳川家の遺産ってわけだね」
クックちゃん「そこの黒書院三の間の『松図』の障壁画の実物を今、特別公開中なんだ。
それ見て来るの」
ラーク「『障壁画』の障壁って言葉、悪いイメージしかないんだけど…
元々は単に、仕切りの壁を指した言葉だったのかな?」
クックちゃん「そう。『邪魔者』というマイナスの意味合いは、後付けのものなんだ」
唐門。
木の風情をいかして、しかも文字はプラ板に書いてあるから、雨風による木の劣化を避けられて、字が剥げても書き直すか、プラ板を取り替えるだけで済む。
木に直接、墨で文字が書いてあって、字が薄れたり、木材が劣化したりして、何書いてあるのか全く読めなくなっちゃった立て札を、何度も見かけたからね🤔
地方の観光課の人たちは、旅が大好きな人たちを選んで、こういうアイデアを、有名観光地からどしどし学んで取り入れれば良いのにって
」
クックちゃん「唐門には、色々な動物がカラフルに描かれてるんだ。
京都のことを、昔は中国の洛陽にちなんで、洛中洛外って呼んだんだけど、徳川家は特に、この二条城をこの世の楽園みたいに見せようとしたんだね。金泥をふんだんに使って、徳川家の威光をここぞと表してる。
公開されていた三の丸の座敷の襖も金ぴかで、あらゆるところに鳥や獅子、龍、虎、蝶が華やかに描かれていたよ。
…Yuniったらさぁ、この唐獅子見るなり『この調子づいてる犬ども、可愛いな💕』って言うんだよ🤭
」
ラーク「唐獅子はそもそも、犬じゃないし…
あと、クックちゃん、Yuniのいうことは、話半分に聞いとかなきゃダメだよ。
ラーク「…よく旦那さんから離縁されないね、あの人…
」
カラスさん。
クックちゃん「今回、二の丸御殿と黒書院が一般公開されてたの。
屋内の写真撮影は禁止だったから、撮ってないけど、まるで時代劇の中に入ってったみたいだったよ
狩野派の画家たちによる、金泥の上に描かれた虎や花の襖絵、本当に見事だった。あまりにも金ぴかで、眩暈したけどね。黒書院の障壁画を描いたのは、狩野探幽の弟、狩野尚信らしいんだ。
蝋人形による、大政奉還の場面の再現も観たよ。最後の将軍、徳川慶喜が上座に座していて、その周りを大名たちが控えていて…教科書で見た通りの場面だった。その場で、江戸幕府終焉の声明をしたわけよね。
260年以上もの奇跡の泰平も、崩れ去る時って、あっという間なんだね。居並ぶ人たちも徳川慶喜も、どんな気持ちだったんだろうって、僕、考えちゃった🤔」
ラーク「日本の江戸時代は、引きこもりだ鎖国だ封建的だって、長いこと過小評価されてきたけど、どことも戦争していない260余年間って、実は世界史の奇跡なんだよね
そんなに長く平和が維持出来たことって、どの国の歴史見たって、全っ然ないんだから。戦後だってまだ、90年も経ってないんだからね🙄💧」
・・・
クックちゃん「座敷と座敷の間の廊下、『ウグイス渡り』といって、踏んで歩くと、小鳥みたいな声でピイピイ鳴くんだよ
」
ラーク「それって、泥棒や隠密が忍んできたら分かるように、わざとそうしてるの?
」
クックちゃん「ううん。僕も最初そう思ったんだけど、何の意図もせずに、床がきしんで、自然にそうなったみたいね。
でも不思議だね、本当に、小鳥の囀りにそっくりなんだよ
」
下位の人たちの控室、地味な水墨画や鴨や白鷺が描かれた場所に来て、Yuniが心底ホッとした顔してた。
『常陸の地下人には、鶴や孔雀なんかより、馴染みのある、鴨や白鷺と葦の絵の召し使い部屋の方が、ずっと落ち着くわ…
』って」
・・・
クックちゃん「この独特のかやぶき屋根。
数年おきに葺き替えしてるんだろうね。こういう技術を今も継承して、メンテナンスを請け負う人たちがいるんだね
🎤」
クックちゃん「Yuniがここまで見て、頭抱えててさぁ『洛中洛外と呼ばれた京都、素晴らしいのは解った。でも何か、四方八方どっちを向いても、目線が国宝級の文化遺産に当たるので、正直疲れた
茨城みたいに何もない県と比べて、何という格差だろう。羨ましいというより、ヨーゼフ2世がモーツァルトに言った言葉を思い出す。…素晴らしい曲だが、一晩に聞くには、音が多すぎる』って。
…Yuniは、文化酔いしちゃったみたい
僕自身もちょっと情報量が多過ぎて、頭の中で処理しきれずに、一時飽和状態になったよ
」
トーシロが理解するにはマジで情報量が多過ぎて圧倒される京都。
最初、謙遜か嫌味かと疑ったんだけど、全く他意なくそう言ってるんで、Yuni、言葉無くしちゃったんだってさ
」
クックちゃん「…京都が?…寺以外、何もないって???
」
ラーク「でも、その人の言わんとしてるのも、僕には解るな🤔
寺や歴史文化に全く興味がない、遊び盛りの若い人にとっては、真珠の山も、ただの石ころだろう
歴史的有名人なんて誰も出てなくて、国宝は誰も見たことないようなワケわからない刀が2本きり、という茨城に住んでると、凄いショックな言葉だけどね」
クックちゃん「Yuniが、故郷の東京を『ただただ人が多くて、地方にマウント取ってるだけのクソダサい遷都成金で、面白いものなんか何一つない。東京をグローバルな大都会だとうぬぼれてるのは東京出身者だけで、何かあると『問題を起こすのは上京した田舎者であって、私たちはワルクナイ』と臆面なく上京者に責任転嫁、その言葉が既に東京人の民度の低さを示してるって自覚すら無い。あれほど視野が狭く差別的排他的な都道府県、全国探したって他にない。東京なんかに好んで住みたがる人の気持ちが解らない
』って言ってるのも、その人たちにとっちゃ、同じように聞こえたかもね
…でもあれも、Yuni自身からしたら、まぎれもない本心だからね」
ラーク「…隣の芝生が青く見えてしまうというのは、確かにあるかもしれないな
」
クックちゃん「京都の石塀小路って場所の、美しさと佇まいに、Yuniも旦那さんも『まるで異世界に迷い込んだみたい』って感動してたけど…
その一方で、Yuniは『京都に住んでみたいと、昔は思ったこともあったけど、京都を幽玄で美しいと感じるのは、もしかしたら、私が京都に住んだことがないせいかもしれない』って呟いてた🤔」
高台寺に向かう「石塀小路」。思わずカメラをかざしたくなる、素晴らしく美しい場所ですが、今は撮影禁止区域。写真一枚撮ったら5000円徴収すると厳しく書いてあります。騒がしくするのも禁止。
幾ら美しくても時代劇の舞台セットではなく、人の暮らす居住空間で生活道路なのだということを忘れ、マナーを逸脱した旅行客が続出してしまった結果なんだろうなと思う。
ラーク「京都では昔から『祇園で石を投げれば、坊主か医者か弁護士に当たる』って言葉があってさ、寺や僧侶に良い印象がないって人も、実は多いそうなんだよ。
そういう言葉が出来る位、実際、仏教トップによる腐敗も色々と酷かったんだろう
実際に住んで、内部の現実をよく知っている人は、外部から来た人が当たり前のように見る夢を、見られなくなるのかもしれないね🙄💧」
・・・・・
クックちゃん「さて、今夜は、いよいよ、この京都旅行のメインです。
豊臣秀吉の妻、寧々(ねね)様の建てた高台寺で、夜咄というものを聴いてきますねっ。…ではまた!」
・・・・・
二泊お世話になった、七条通りの「あづまや」さん。
お食事提供はなく、至ってシンプルな作りの素泊まり旅館ですが、お部屋はとても広々、お風呂も気持ち良かったです