お宿に一旦戻り、おねんねしちゃった、クックちゃん。

ラーク「おおい、クックちゃ~ん!…あれ、おねむかな驚き汗
あの…クックチャンネルの放送、そろそろ始まるんだけど…驚き
 
クックちゃん「…く~、く~😪💤💤」
 
ラーク「…ま、正直、西本願寺は、行く予定入ってなかったからね。
歩き回って色んなもの見て、すっかりくたびれちゃったんだなぁ…ほんわか
おばあちゃん「仕方ないわ、クックちゃん、まだ小さいんですものほっこりハート
夜咄の時間までには、Yuniさんたちも起こしてくれるでしょう。それまでは、そっと寝かせておきましょう🤭」
・・・・・
 
クックちゃんがお昼寝してる間、Yuniと夫は、お宿のすぐ傍にある、京漬け物の西利(にしり)本店で、お買い物。
 
この京つけものシリーズ、Yuni、超気に入ってしまった。
親鸞聖人絵巻。本物の文庫本のような、お洒落なパッケージ。お値段もリーズナブル。
京都限定販売だそうな。日頃お世話になっている方に、買ってお送りしました。
 
・・・・・
 

クックちゃん「は~いっ、皆様、こんばんはぁ~ニコニコ星お月様星空クックチャンネルのクックちゃんで~す爆笑チョキ

ただいま、時刻は午後4時になりましたおねがい

 

ラーク「ああ、クックちゃん、目が覚めたかほんわか よかったよかったニコニコ

 

クックちゃん「はい、ちょっと寝ちゃいましたが、お陰さまで今は元気回復、充電100%ですよ~💪照れ

…えっと今、僕はですね~、夜咄というものを初体験しに、高台寺に来ていまぁすにっこり

ラーク「高台寺は何宗のお寺だい?🙄」

 

クックちゃん「臨済宗だよ。禅宗なんだ。臨済宗の有名なお坊さんに、一休宗純がいるよねニコニコ

 

ラーク「へえ、一休さんって臨済宗のお坊さんなんだ…びっくり

 

クックちゃん「明日、一休寺にも行く予定だよ。この高台寺は、豊臣秀吉公の奥さん、ねね様(北政所)が、夫の菩提を祈る為に建てた寺なんだよ。だから、秀吉公&ねね様のお墓も、ここにあるの。

山の上にあって、女性らしい感性を感じるというか、とても優雅なお寺だよ」

・・・

 

クックちゃん「この渡り廊下、臥竜廊って言うんだよ。長い体をした竜みたいでしょう🐉」
 
夫が過去に、一人で京都に行った時に撮った臥竜廊の写真。確かに、なだらかな山の勾配に沿って寝そべり、ゆったりと山肌に頭をもたせかけている龍のよう。瓦屋根の鱗が艶やかです。
 
 
 
 

ラーク「夜咄(よばなし)というと、何だか、いかにもマレットちゃんが好きそうなイベントに聞こえるんだけど…🤔」

 

クックちゃん「うん、マレットちゃんもきっと好きだとは思うけど、昔語りを聞いたり、皆で座談をしたり、百話の怪談話を皆でし合ったりするようなイベントじゃないんだよにっこり

夜に開く茶会のことを『夜咄』っていうの。茶道をやっていたナースチャは、よく知ってるんじゃないかな」

 

ラーク「ほお…びっくり

 

クックちゃん「日が沈んでから、和ろうそくの明かりの中で、お抹茶を点てて頂き、最後にお夕飯を頂くんだそうだよ。

全くの初心者でも参加可能ということだったので、一見さんで、茶の湯のマナーを全っ然知らない僕でも、多分大丈夫…と思って、無謀にも参加してきますっウインクキラキラ

「夜咄」イベントをネットで知って申し込んだYuniの夫も、行ってみて現地で初めてその内容を知りました。当然、Yuniはもっと内容知らなかった。

それでも全く、大丈夫なイベント。懐紙などの特別な持ち物も要らないし、ドレスコードもありません。

お着物でご参加の方もいらっしゃいましたが、足元の危うい夜の山道を30分歩くから、寧ろ着物やヒールは避けた方が良いのでは?と思うくらい。Yuni、ジーパンでしたよ。

 

ラーク「これもやっぱり、冬季限定イベントなんだ…驚き

 

クックちゃん「そうです。因みに本物の『夜咄』は、茶の湯の上級者が一番の上座に座らなきゃダメだし、それ以外にも茶道に則った数々の決まり事があるんだけど、これは本当に初心者でも大丈夫という、略式ですお茶

 

ラーク「は、はい…滝汗(クックちゃん、語り口調が変わったなあ…)」

クックちゃん「茶会が始まると、灯りは和ろうそくだけ。兎に角真っ暗だし、厳かな雰囲気なので、写真は撮れないよ。

ただ、参加者は20人位もいたかなぁ。順々にお菓子を戴いて、お茶を戴いて、器を愛でますおやすみ🕯

茶道具、茶碗、掛け軸などの床の間の飾り物、一つ一つ、本当に良い物を使っているのですが、全てが終わって電気が着くまでは、殆ど一寸先しか見えてない状態。その中で、ご住職のお話を静かに伺います。

勿論この先の写真は、電気がついた後のもの。写真撮影を許可して頂けたので、皆、一つ一つお茶道具の説明を伺いながら、撮りましたにっこり

ラーク「…この掛け軸には、なんて書いてあるの?🤔」
 
クックちゃん「『瑞気、高堂に満つ』。瑞々しい空気が高堂に満ちている、という意味で、おめでたい席で使われる言葉。
数年前、鬼籍に入られた、江南和尚という方がお書きになられたそうです」
・・・
 
クックちゃん「この道具は『手焙(てあぶり)』っていうんだって。手をかざしてみると、ほんのり温かいの。
この手焙は、妙全という人の作品で『乾山写梅ノ画』って名前が付いてる」
ラーク「梅の絵か。こういうのも全部、その茶会の開かれる季節に合わせたものを使ってるのかなあ」
クックちゃん「うん、そうなんじゃないかなと思うよ。
だって、梅の絵の描かれたものを、新春以外の季節に使ったら、合わないよね」
 
ラーク「季節の演出にもひとつひとつ心を砕いて、非日常を演出するんだなぁ…大変なお値段するものだろうに」
 
石菖。
脇床のお飾りは鈴。
クックちゃん「これは香合。中には練香が入っているはず。
ただ僕、近寄ってみたけど、あんまり香りは判らなかった。これも今年の干支に合わせて、辰なんだよね」
 クックちゃん「和ろうそくは、西洋ろうそくと違って、炎が大きいんだ。火花がパッパッと散ることはなくて、ゆらゆら回るように揺らめいて燃えるの🕯️
蝋も垂れてこない。煤も出ない。不思議なろうそくだよ」 

 

 
扇面松竹梅(初代 久世久宝作)
 
鯉蒔絵平棗(宗植作)
松竹梅(義的作)
ラーク「茶杓にまで、漆蒔絵が…びっくり
 
クックちゃん「凄いでしょ」
 
ラーク「で、作者名も。みんな作り手の名がハッキリしてるんだね」
 
クックちゃん「以前、熱海のMOA美術館に行った時、これは古田織部の作った茶杓だとか、利休の作った茶杓だとか、展示品に作り手の名が書かれているのを見て、僕もビックリしたよ。
こういうのって、誰が作った茶杓か、というのは大事なことなんだね。それに、有名な茶人は、自分で竹を切って削って、茶杓を作るんだね」
 
炉縁は菊桐蒔絵。釜は、口八角政所釜(河田松寿作)。
 
ラーク「クックちゃん、本当にその年齢で、とんでもなく高尚な体験してきたなあ…驚き汗
僕の隣にいるおばあちゃんも、今、口あんぐり状態だよ…無気力
 
クックちゃん「僕も、この夜咄がこういう類のお茶会だってことは、全く知らずに来たんだよおやすみ
でも、こないだのMOA美術館とか、色々見てきて、まだよく解らないながらも、こういうの、なかなか面白いなぁって思い始めたニコ
『本物』を色々見て、触れておくというのは、凄く貴重な経験だね」

・・・

 

クックちゃん「これが終わると、今度は三十分ほど山を登ったところにある『羽柴』ってお店で、お夕食を戴くの。

でね、その道中の景色が、素晴らしく綺麗だったんだ。

このライトアップされた夜の高台寺の景色、僕ら『夜咄』参加者で、独占状態だよ?

とんでもなく贅沢じゃない?」

クックちゃん「中でも凄かったのが、この臥竜池(「鏡池」とも言います)の水鏡。
水の面に、樹木と開山堂が深く深くくっきり映って、対称世界が生まれて、その中に心身が吸い込まれてゆきそうだったよ。

水の底に都があるんだ。安徳天皇を抱いて入水する時の、二位の尼の言葉を思い出しちゃった。

この美しさ、どうあっても、カメラじゃ10000分の1も反映出来ない。もうこればかりは、実物を見てもらうしか、説明しようがない。もどかしくて仕方なかったよ。しまいには撮るの諦めて、目と心に焼き付けることにした。

『幽玄の美』ってこういうの言うんだね。…僕、これを観たこと、一生忘れないと思うよ」
ラーク「僕もちょっと、言葉が今出てこないよ。凄いなあ…」
 
傘亭。うまく撮れなかったけど、天井が蛇の目傘のように見えます。
ライトアップされた竹林の中を通って、食事処へ向かいます。
クックちゃん「もう、この道中、参加者全員、溜息しか出てこなかったよね…」
 
ラークさん「下世話な話になるけど、この『夜咄』って、参加費はお幾らなの?」
 
クックちゃん「一人当たり8000円だって。でも、それだけの価値は十分あったし、完全に元は取れてるよねって、Yuniも旦那さんも言ってた。
だってさ、この贅沢な重要文化財のライトアップが今夜見られるの、このイベントの参加者だけなんだよ。まるで星の中か、大伽藍の中を歩いてるみたいだったもの。究極の非日常体験だよ。
それで、茶の湯では本物の茶道具に触れられて、これにちゃんと、お夕食も付くんだから」
 
 竹並木の下から。
森の中の大聖堂の丸天井を仰いでいるような気分。
・・・・・
 
クックちゃん「お夕食は精進ではなく、湯葉や山菜に、お魚やエビも付く、点心料理だったよ。
この『うずみ豆腐粥』がね、とても美味しかったんだ。
…あのね、ラークさん。臨済宗の修行って、血が滲むくらい厳しいんだってさ。
中でも、12月1日から8日まで座禅を組む臘八大接心(ろうはちだいせっしん)という修業は、最も凄まじい修行だって言われてるんだって」
ラーク「一休さんも、その修業をしてきたんだね」
クックちゃん「うん、当然、そうだよね。
で、その間には、1日に3時間しか睡眠を取っちゃいけない、それも横になってはダメで、座禅したまま眠るんだって言うんだよ。
夜になっても、戸は全開のまま。着ているものの裾や袖にも、雪が吹き込んで凍り付くんだって。
3日目にもなると、修行者は全員、血の気が失せた顔の中、目だけが冴え冴えと澄み始めて、顔つきが明らかに、この世のものならぬ様子になって来るらしい」
ラーク「僕なら、考えただけでも失神してしまいそうだな…」
 
クックちゃん「その凄まじい修業を終えて、8日の午前2時に出されるのが、この温かいうずみ豆腐粥なんだって。
修行を終えた若い人達の中には、これを啜りながら、気持ちが緩んで、これ程美味しいものを食べたのは生まれて初めてだって言って、大号泣してしまう人も、毎年、大勢出るらしいよ」
 
ラーク「お釈迦様が、断食を含む7年間の苦行に耐えた後、スジャータに差し出されて啜った、乳粥みたいなものなんだろうなあ…」
 
 
・・・
 
クックちゃん「そんなお話を、お店の方から伺いながら、美味しくお食事をして、一期一会の周りの参加者さんたちとも、ちょっと世間話を楽しんだりした後、各自、それぞれの家や宿へと帰ってゆくんだけど…
僕たちは帰り道、石塀小路(いしべこうじ)を通ったの。…ここがまたさぁ、物凄く趣きがあって、ほんっと素敵な場所なんだよね。
今はここ、写真撮影は厳禁だから、この下の二枚の写真は、ネットからのお借り画像なんだけどさ、何か本当に、異世界にふと迷い込んで、また帰ってきた感じだったよ。
…で、ここも春秋の観光シーズンなら、きっと多くの人が夜も歩いてるんだろうと思うんだけど、冬場だと、いるのは本っ当に僕らだけで、誰ぇ~とも行き合わないんだよね。Yuniも旦那さんも、言葉少なだったし、僕も黙ったまま歩いたよ。

…うん、やっぱり、旅っていいなあ。僕は、一生、旅が根城でいいやほんわか

 
・・・・・
 
…明日、クックちゃんは一休寺に寄って、それから新幹線に乗って、帰ります。
ではでは、おやすみなさい…満月
天の海に 雲の波立ち 月の船 
星の林に 漕ぎ隠る見ゆ(柿本人麻呂)