ジム・ロジャーズ(Jim Rodgers)という世界的な富豪の名言集、『世界的な大富豪が人生で大切にしてきたこと60』(プレジデント社 2015)という本があります。この本をたまたま手にすることがあったのですが、星占い的に解釈するとちょっと興味深い言葉があったので、紹介いたします。

 

ロジャーズ氏はジョージ・ソロス(George Soros)という大投資家と近しい人物です。ソロス氏についてはいろいろな情報がありますが、ここでは割愛いたします。

 

ロジャーズ氏の言葉で私が注目したいのが、「億万長者がいなくなれば、誰も仕事を持てなくなる」です(146)。この言葉の解説がこれです。「つまり、もし、お金を稼いでいる人がいなかったとしたら、誰も仕事を持つことができないのです」(147)。

 

この言葉を読んで、どのように思うでしょうか。私は一理あると思うと同時に、少し時代錯誤を感じました。なぜなら、大きな組織を前提に仕事を位置付けているからです。星占い的にいえば、山羊座の発想なのです。

 

山羊座には「I use」というキーワードがあります。何を「use」(使う)するのかといえば、土のエレメントが示す物、すなわちあらゆる物質です。

 

なぜ、山羊座的発想に時代錯誤を感じたのかといえば、冥王星が山羊座から水瓶座に移動するという、重要な出来事が今まさに起こっているからです。これからは(歳差運動による)水瓶座の時代だといわれますが、この冥王星の移動はこの時代の到来を象徴する出来事の一つです。

 

水瓶座は「I know」という意味を持ちます。「知る」のですから、知性が重要になり、情報が鍵を握るようになるといわれています。

 

ところで、水瓶座の時代の前は、魚座の時代でした。魚座は「I believe」なので、「信じる」時代だったといえるでしょう。でも今後は、こうした信仰の時代が終わり、「知」の時代になります。これは、2000年以上続きます。

 

ロジャーズ氏の「億万長者がいなくなれば、誰も仕事を持てなくなる」という言葉に戻りたいと思います(146)。億万長者と彼らが作った組織で働く人との違いは何でしょうか。おそらく、情報量ではないかと思います。従業員が社長よりも、企業についての情報を持っていることはありませんよね。

 

でも、水瓶座の時代は「知」の時代なので、皆が同じ情報を持つようになると思うのです。一方、情報を牛耳ることで人々を支配することができた時代が、魚座の時代であり、山羊座に冥王星が来ていたタイミングに、それが極まったのではないでしょうか。しかし、今は水瓶座に冥王星が入るタイミングです。情報の民主化、すなわち特定の人が情報を抱え込むことが不可能になることを暗示していると思います。

 

そうなれば、億万長者がいなくても、仕事をすることはできると思います。例えば、投資は情報が何よりも重要ですよね。どうして、大富豪は大富豪になることができたのでしょうか。もちろん、才覚や家柄もあると思いますが、得られる情報の質と量が共に他者よりも上だったのだと思います。しかし、大投資家の持っている情報がすべての人に公開されたらどうでしょうか。物の価値が一気に変わるでしょう。

 

したがって、富豪により仕事がもたらされるという考えは、もはや通用しなくなってくるはずです。少なくとも、星はそのように「預言」しています。

 

これからは、たとえ組織の中にいたとしても、その組織の内部について隠されてきたことが、情報として明らかになるでしょう。上層部しか知らなかったことを、誰もが知るようになるのです。

 

いずれにせよ、ロジャーズ氏の言葉を否定するつもりはありませんが、時代は変わってきていると思います。富豪の時代は終わりに近づきつつあるかもしれません。

 

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

 

参考文献

 

ジム・ロジャーズ 『世界的な大富豪が人生で大切にしてきたこと60』プレジデント社 2015年