月と太陽はホロスコープを彩る二大スターです。この両者が我々の人格を形成しています。自分が今、どちらの星の影響下にいるか、知ることができると人生がより輝くと思います。

 

月の解釈については諸説あります。簡単にいうと、月を吉星と理解するか、凶星と理解するかです。凶星とは、悪いことをもたらす星という意味ですが、実際は学びを提供してくれる星です。この星を自分のものにする、すなわち振り回されないようにすることで、非常に大きく成長することができます。吉星は文字通り良いことをもたらす星ですが、それに甘んじると逆に失敗してしまうことになると思われます。これは、座相(アスペクト)の吉凶にもいえることです。

 

一般的に、月は吉星です。大吉と判断する占術氏もいるのではないでしょうか。でも最近、星占いの大御所の一人であるマドモアゼル・愛先生が『月の教科書』やYou Tube番組、そしてブログ等で、吉星として月を解釈することに疑問を呈しています。私は愛先生の月理論に触れることで、しばらくお休みしていた星占いの勉強を再開したので、月を肯定的に解釈する立場ではありません。

 

では、月についてより詳細に見ていきます。月の解釈を非常に分かりやすくビジュアル化して説明している本の一つに、今とても人気のある占い師、キャメレオン・竹田先生の『占星術 キャラ図鑑』があります。そのp.22に月についての説明が、漫画で書いてあります。その一コマに「おどおど」とあります。まさに、この「おどおど」する状態が、月の影響下にいる時の心境の一つです。

 

月は受け身であり、環境に対する適応性と関わります。また、愛先生によれば、月は太陽の反射です(p.41-43)。例えば、太陽は社会を表すので、「おどおど」している時は、社会に対し反応をしようとしている時です。しかも、「おどおど」と恐怖や不安を感じているのですから、社会を恐れている状態だといえるでしょう。

 

言い換えれば、自分の中の太陽を生かすことができていない時、人は「おどおど」します。「おどおど」している時、

周囲の環境に目を向けてみてください。自分がただ周囲やある特定の他者の意向に流されるだけの「弱い」存在になっていませんか?もし、太陽を生かすことができていれば、今所属する社会に対し、全く恐れを感じていないはずです。自分を信頼できるからです。

 

また、愛先生はこのように語っています。「月に支配された感情や感覚は、周囲も敏感にキャッチし、社会ムードを形成したり、職場内のムードを作ったりします」(p.125)。例えば、職場で「おどおど」を感じる時、おそらく周囲の人もそのように感じています。この思いに駆られ行動している人を見ると、自分もそうしなくてはと焦ったり、逆にNOと言わなくてはと思ったり等します。

 

この反応の特徴は、月がどの星座に入っているかで推測可能ですが、いずれにせよ、この月による反応は一定の人気をもたらすかもしれません。でも、疲れます。月はエネルギーを奪うものだからです(マドモアゼル・愛 p.164-169)。

 

だから、月星座に象徴される特徴が表面化される環境に身を置くことは、できれば避けるべきだと思います。以下、ざっとその特徴です。

 

1. 月・牡羊座は、怒りに駆られます。義憤が特徴。

 

2. 月・牡牛座は、所有欲と快楽欲求に駆られます。

 

3. 月・双子座は、知的好奇心に駆り立てられます。情報収集に興味が出ます。人と話したくなったり、メッセージを送りたくなります。

 

4. 月・蟹座は、気を利かせるようになります。人の気持ちを先取りし、サービスしたくなります。また、自己犠牲的になるかもしれません。

 

5. 月・獅子座は、目立とうとします。大声で話したり、自分の存在をアピールしたくなります。

 

6. 月・乙女座は、良き労働者になろうとします。規則正しく生活したり、健康志向になったり、きっちりものを整理したりしたくなります。あと、後輩思いになるでしょう。ペットを飼いたくなるかもしれません。

 

7. 月・天秤座は、社交的になります。恋愛関係や結婚生活におけるパートナーとの関わりに意識を向けます。

 

8. 蠍座は、無口になり、自分を隠そうとします。性に深い興味を抱いている自分に、羞恥を感じるからです。

 

9. 月・射手座は、海外志向になります。語学に興味が出ます。あと、物事の本質を掴もうと、学問に意識を向けるかもしれません。加えて、細かいことを気にしなくなり、大雑把になります。

 

10. 月・山羊座は、仕事を頑張ろうとします。キャリアップを図ると思います。あと、禁酒や禁煙、性的な面での禁欲等の自己節制をします。

 

11. 月・水瓶座は、社会批判的な姿勢になり、周囲から孤立する自分を演出するでしょう。自分がこれまで誰も知らなかったことを知っているという、第一人者としての自我を抱くかもしれません。

 

12. 月・魚座は、スピリチュアルな事に興味を抱くでしょう。あと、弱者救済という社会貢献をしたいと思うかもしれません。

 

以上のような心理状態が、もし「おどおど」感と同時に芽生えたら、おそらくあなたは月の影響下にいます。あなたが今いる場がすでに月によってコントロールされている証です。

 

このような場に身を置くと、疲弊し、精神を消耗します。エネルギーを月により吸収されてしまっているからです。「吸収」は伝統的な月の象意の一つですが、こうした危険な特徴を持つ星が吉星として考えられてきた点は、不思議です。

 

いずれの場合も、自分がいる場が月の領域かそうでないかを見極めることは結構簡単です。「おどおど」+月星座の特徴から判断してみてください。

 

悪いことに、月の領域では太陽の奪い合いも行われます。この競争が人々をおかしくするでしょう。というのは、自分の太陽を社会や他者に投影することで、自分の外側に自己実現を求めるようになるからです。忖度や、権威者の指示に無批判に従ってしまう、「悪の凡庸さ」で有名なアイヒマンのような心理状態は、この太陽の奪い合いが原因だと思います。

 

自分の職場がもし月の領域にあると思ったら、できれば関わらないようにするべきですが、簡単にはできないので、月を意識化するといいでしょう。月は無意識と関わり、月星座が働いている時は、人はそれに無自覚です。これを自覚することで、月の「迷妄」から逃れることができるでしょう(マドモアゼル愛 p.281ー283)。つまり、今、自分がいる場所がただの幻に過ぎないことが分かるのです。そうすると、自分の太陽の光が目の前に現れると思います。そして、今の環境を自分の支配下に置くことができるようになるのです。

 

最後までお読みくださりありがとうございました。

 

参考文献

キャメレオン・竹田 『占星術 キャラ図鑑』ナツメ社、2023年。

 

マドモアゼル・愛『月の教科書』ビオ・マガジン、2021年。