2月12日(土)
11日に倒れて病院に運ばれて、目覚めたら比嘉がいて…
確かに、私は、比嘉の腕の中で、久しぶりに穏やかで落ち着いた気分で、眠ったと思う。
『もう、絶対にはなさらないよ。安心して。大丈夫。ずっと、傍にいるから…』
そう言って、比嘉は私の頭を撫でてくれた。
でも、目を覚ますと、比嘉は横にはいなかった。
熱のせいか、ちゃんと、目を開ける事も出来ず…
手だけ、パタパタして比嘉を探した、 『比嘉?比嘉?』って
そしたら、人影…近づく足音
いてくれた…
でも…
『比嘉で無くて、わるかったなぁ…』って
ヌクッチ!なぜ、ここにあなたがいるのですか???
あれは夢だったのか???
違う、これが現実なんだ…
さっきの『ずっと傍にいる』は…心が???って事?
結局は、比嘉…私はヌクッチの元へ行けって事なんだよね…
そっか~ぁ![]()
胸がえぐられる思い…痛い。ギュ~~~~~~って締めつけられて
涙が、ブワ~~~って溢れそう
でも、今泣いてしまったら、間違いなく…ヌクッチの胸に飛び込んでしまう
そうしたら、もう引き返せなくなる
比嘉はヌクッチの元へ行けって言ったっとしても…
私は…嫌。
比嘉と一緒じゃ無ければ…SINGLEでいいから…
その方が…いい
近づいて来たヌクッチが…
白いメモ用紙をペラペラと私の顔の前になびかせた
『あいつ…バカか???』
『たぶんね…想像以上に…バカかもね。』
そのメモ用紙には、
『番犬は番犬らしく、そこで番犬してろ!
なめるの厳禁! なでなで厳禁! 噛みつき厳禁! 比嘉』
って、ご丁寧にヌクッチ似の犬の絵まで描いてあった
熱あって、このメモの意味が…私には理解できず
本気で、あの子はバカなのか?と思ってしまった![]()
ヌクッチは、昨日(2/11)の昼ごろから、
仕事の件で私に確認したい事があり、電話をくれていた
仕事の事確認した後、『飯でもどうだ?』って誘うつもりだったらしい…
でも、一向に出無い私に、苛立ち
『同じ断るのでも、電話に出て断れ』って言うのがヌクッチの言い分
大人げなく、ムキニなり、何度もTELしてきたらしい
そして、今日(2/12)、あのタイミング…そう、比嘉と病室で話している時に
また、TELしてきた…
あれからも、何度もTELしていた
でも、つながらない…
それが、2時前になって急に出た!
出たには、私では無い…比嘉
比嘉は名乗りもせずに、勢いよく言ったらしい
『凛子が倒れた。今、○○病院、●●号室に入院してるから、直ぐに来い!以上』って
コラコラ…貫井さんは部長さんですよ…って突っ込みたくなる
でも、部下に命令された貫井部長は素直に病院へ来たらしい
そこには、既に比嘉の姿は無く、さっきの紙切れ…
紙切れの指示通り、ヒラの比嘉の指示通り、貫井部長は業務に徹したらしい…
『ある意味…あのバカ。大物だよな。』
『たぶん…あいつ、いつかやるね。』
『お前より…出世早いかもな…』
そんな…会話
また、無言
基本、仕事以外に共通点無いから…ヌクッチとは…
そしたら、徐にヌクッチが話しだした
それは、この前のプロポーズの件と比嘉が麗奈と付き合った真相
ヌクッチと比嘉は1月末からずっと一緒に仕事している
ヌクッチは、仕事の面では比嘉の事をすごくかっているから…
その話…初耳っていうか
それって…
1月に私と比嘉が本格的に付き合った事を東堂顧問などに話した事
これで、波紋が生じたのは事実
一般の社員達は、あのブラックメールは嘘だったんだと納得したらしく
温かく見守ってくれていたけれど
ブラック達は面白くない…
もっと、面白くないのは…東堂顧問やその派閥の理事たち
私と比嘉の事は、本気でブラック達のでっち上げで、
あり得ない事だったのに…
それが事実だとは思いもしなかったと…言われた
比嘉にもその噂は耳に入っていたのは知っていたけれども
その先があった…
それは、東堂顧問をはじめ、理事たちは
猛反対してるって…
それ聞いたヌクッチは『あいつらは本気でしょう。問題無いと思います』と
でも、理事たちは納得するはずも無く
直に私が比嘉に捨てられ、また騒動が起きるだろうと…
勝手に思っていると…『こんな大切な時期に何を考えてるんだ
』と激怒
で、あのプロポーズ…
あんな事を言ってもつぶれる様な中で無いと思ったヌクッチは
かけに出た…
別れるなら今の方がいい
でも、絶対私たちは別れないと思ってあんな『嘘』を言ったのです
確かに、5年前に飲んだ勢いで、『俺と結婚しろ』っと言ったがあれは、本気で冗談で
この前のプロポーズも比嘉を本気にさせる為の『嘘』だったと…
その、ひと騒動で…こんな風になったのに…
そして、比嘉が家を出て行き、麗奈と付き合った真相
それは、比嘉が最初に一人で考えたいと言って、自分のマンションに帰った日の仕事中
ヌクッチと共に幹部会議へ出席
その時に…
『君が…相沢課長と。あり得ないね。君が彼女の株を下げている事気付いてますか?
君は、彼女に見あわない…って事。彼女の為にも、静かに身を引くのが、利口な部下でしょう。
よく考えて…行動しなさい。』
そんな事、耳打ちされたらしい…
何、それ…またそんな勝手な事
あれでも、比嘉はプライドも高いし負けず嫌いだだし
おかしいと思っていた
仕事に打ち込む姿が、異常に熱かったから…
必死って感じが、ヒシヒシ伝わってたし
そう、比嘉は…
私の出世の為に、身を引いた
私に幸せになってもらう為に
ワザと麗奈と付き合い…ヌクッチの元へ行けと言ったのです
比嘉とずっと仕事をしていたヌクッチは随分前にその事に気づいていた
『凛子のところへ戻れ…あいつ、つぶれるぞ』って助言したんだよって
話してくれたが
頑固な比嘉にそんな言葉は通じるはずもない
比嘉の携帯の待ち受けは私で、
私の上げた時計は左手にはつけておらず…何かあると、ポケットの中の時計をギューって握って
考え込む…
何かあると『課長が…って言っていたから』 『課長なら、こうすると思う』とか
そんな比嘉の姿をヌクッチははなしてくれた
『あいつはバカだな』
『バカだね』
そんな比嘉…
そうだよ…そんな比嘉に私が『子供っぽい』って言ったから
比嘉は本当に身を引いたんだね
自分は私に見あわないって
比嘉を追い詰めたのかな
傷つけたよね…
夕食の頃…
『また、来るわ…』ってヌクッチが帰って行った
一人残された病室
看護師が入って来て
『あの~~~~ぉ。最初の方?って申し送り受けたんですけれど…その最初の方がこれ~~』
って申し訳なさそうに持ってきたのは…
私の着替えなど…
中にメモ…
『足りない物があれば、連絡下さい。今日は、家で寝ます。また、明日… 比嘉』
あれ?????
うん?????
なんだ???
まだ、頭の中、くちゃくちゃでわからない…
そんな、私…その日は
夜…何が夢で何が現実か???
一人考えながら…寝ました。