比嘉が家に戻って来てから…
なんとなく…微妙な感じ
ギクシャクしてるとかじゃなくて…
それなりに仲良くラブラブ
な感じなんだけれど…
比嘉が戻って来て数日は私は体調が悪くて、仕事を休み病院通い
その間、比嘉はすごく優しく献身的に尽くしてくれた
元気になってからも
今まで以上に、互いの事を大切に思うようになった
家で一緒に過ごす時間も長い…というかぁ
家にいる間は、片時も離れないのが、現状
べったり一緒

『お前ら馬鹿か』って突っ込まれても仕方がないなぁって思うほど
じゃあ、何が微妙かって…
比嘉が麗奈と一緒に楽しそうにしている現場を見た私の心の中に…微妙な気づき
私はもともと比嘉を一人の部下としてしか見て無かった
花火の日…
比嘉の悪戯にドキドキした
でも、男性としては見て無かった
かわいい部下だった
海に連れて行ってもらった時
ほんの少し…ドキドキがキュンに変わった
比嘉が熱を出して家に転がり込んだら頃
愛おしいと思う様になった
比嘉は私を上司として、年上の女性として、母親や姉の面影を重ねていると感じていたから
気付かないうちに、私は頼れる女性、キチンとした女性でいないと比嘉に嫌われると思うようになってた
だから、簡単に言えば、比嘉の前では気取っていた…
比嘉には甘えたりもしなければ、だらし無い部分もみせず、出来る女性でいるように、
知らず知らずのうちにそうする様に努めていた
だから、ヌクッチが戻って来て私が、ヌクッチの前で、
昔の様に…ヒラ社員の時の様に、キャピキャピ振る舞ったら、
比嘉はそんな私を、自由な笑顔をヌクッチに見せると嫉妬した
後で、山本や内海にも言われたが、『課長も、部下だったんだ~』って言われた
最初、意味がわからなかったが…説明されて、なるほどと思った
山本や内海が思うのだから…比嘉はもっとそう思っただろう
ヌクッチにも、言われた、女性である前に上司としての私が勝っていると…そう見えると言われた
だから、比嘉の前で、本当の私でいようと…
努めている
こんな事に…努力を要するのか?
これでいいの?
自問自答
前の方が…自然だったような
そして
比嘉は…
私は比嘉が家を出て行ったのは、私とヌクッチの事が嫌だったのと、
私が比嘉に『子供っぽい』と言ったことが原因だと思っていたが
本当の理由は
別にあった
ヌクッチに聞いて初めて知った
理事達に、私と比嘉は『見合わない』『格が違う』と…
でも、もっと比嘉を苦しめた一言
『相澤も落ちたな』
『相澤は思ったより出来る奴じゃなかったよ。男に左右されるとは…』
『ダメ女だ…騙されてるって気づかないのか?』
『無理でしょう!40前の独身女性が、若い美男子に、抱かれたら…』
そんな会話
下っ端達が休憩中にしてるのなら
先日のブラック騒動と変わり無いが
理事の数人が会議室でヒソヒソ話してれば…
それも、比嘉が誰だかも知らずに、本人の前で…
比嘉は、ああ見えてもプライドは高いし、負けず嫌いだし
そして、人一倍、傷つきやすく、人に嫌われる事も嫌い。耐えられない。
そんな事言われて、平然と私と付き合っていられるわけがなく
苦悩の策が、麗奈と付き合い私を引き離す事。
それと同時に仕事に打ち込む事。
仕事に対する意気込みはすごい。
ヌクッチも感心している
もともと利口な子なんで、ちょっと努力すれば、人の何倍も出来る様になる
1月以降、比嘉の急成長は、計り知れず…
石井や高橋すら、自分のポストが危ういと感じ始めている
そう…
戻って来た比嘉は
『別れられない。ずっと側にいたい。そのためには、凛子に見合う男になる。』
そう、仕事中は私以上に仕事人間に…
家に帰って来ると、その反動で、子供返りしてしまう。
それで甘えてくれれば…
丸くおさまるのに
比嘉は私に甘える自分自身が許せない
そこで、ジタバタ
心の葛藤
なんとなく…
見えない心の隙間
以前とは違う、微妙な違い
そんな
繰り返しの日々
二人の仲を苦しめるもう一つの現実…
泣いたり、笑ったり
怒ったり、拗ねたり
考え込んだり
でも、基本は大好き
愛している
こんなに人を思った事は無い
今の時間は
私と比嘉にとって
すごく大切な時間
今、すごく幸せです
永遠に続きますように…