夫とのLINEのやり取りの中に次男の誕生日の動画があった。
期限切れで見れなくなっていた。
直後に、夫に、これの元動画が残っているなら、もう一度送ってほしいと言った。

写真も動画も、最近のはほとんどなかったから、貴重なものは取っておこうと思ったのだ。
貴重になるなんて、思いもしなかったから、本当に次男が写ったものは数少なかった。

次男とのやりとりも、猫やうさぎの写真や動画ばっかりで、本人が写ったものなどない。

「ないよ」
夫はそう言った。
「消したの?」
「いや、そんなはずないけど、ない」
確かにそう言った。
私は結構しつこく聞いた。

私は、しかたなくLINEのトーク画面をタップした時に出る、一瞬の画面を何回も失敗しながらスクショした。三角の再生マークがついたぼやけた画像が手に入った。
一瞬ののちには暗転するから苦労したんだ。それを保存して次男のアルバムに入れた。

それが数ヶ月前の出来事。


「これ知ってる?」

夫が見せてきたのは、あれだけ、本当にないか問いただしたあの動画だった。


23秒生きて声を出して動く次男の動画。


「あれ、あったよ、残ってた」

でも「ごめん、やっぱりあった」

でもなく、

「知ってる?」

犬猫のおもしろ動画を見つけた時と同じような言い方で、

「知ってる?」

とスマホを差し出してきた。


この7ヵ月半、


人によって悲嘆の受け止め方が違う、表現の仕方が違う、男性はこう受け止めやすい、悲嘆を出さないだけで悲しみは大きい、後からくることもある。本人も今大きな別の悩みを抱えている。


そんな言葉で、悲嘆を共有できない部分を許してきたし、我慢してきたし、思いやってきた。


これからもそれは変わらないかもしれないが、

今は大声で叫びたい。


質だけじゃなくて量が違う。

おめえは鳥頭で、自分かわいそで、

思いやりかけらもないひでー男だ。


本当に叫ぶわけではないから、2割増ほど酷い言葉でののしっている。



結局、動画は一瞬確認して、保存したが、

見ることができない。

もう聞けない声、もう見られない姿、

そう諦めて納得して過ごしてきたのに、

今すぐはとても見られない。

ほとんどパニック状態。


ただ、アルバムに入れた。それで精一杯。