子どもを亡くし生き返らせる薬を求める母に、お釈迦さまは言った。生き返らせるにはケシの実がいるが、一度も身内を亡くしたことのない家からもらわねばならない。
そこで町中訪ね歩くと、皆大切な家族を亡くしていた。母親を亡くした。夫を亡くした。じいさんが死んだ……キサーゴータミーは、どの家にも死別があったことを悟り、お釈迦様に弟子入りした。
という話だったと思う。
ざけんなよ。
生き返る薬があるなんて言って騙して。
たぶん訪ね歩いた家の中には、何年も前あるいはつい先日、子を亡くしたお母さんがいただろう。
彼女たちもキサーゴータミーとともにケシの実を探す旅に出たに決まってる。
そしてお釈迦様に言う。どーゆーことさ。
とにかく薬を寄越せ。
あれは死は普遍であると悟ってもらうための出まかせでしたとか言われたら、
私はしょせん男だしね、と言って家に帰る。