彼が、ﾊﾞｼﾞﾘｽｸのことを、
こんなにあからさまに嫌がるようになるなんて、
前まで、私には、
想像さえ出来ませんでした。
ﾊﾞｼﾞﾘｽｸは純粋だからとか、
一途に愛し続けているとか、
ﾀﾞﾒ嫁どころか、いい嫁だとか、
そんなことを言っていたんですよ。
ﾊﾞｼﾞﾘｽｸの演技がお上手で、
まわりを手なずけて上手く利用して、
彼は完璧に騙されていたわけです。
でも、
じゃあ、そんな嫁なら、
何で彼は不倫なんてしなきゃいけなかったのでしょうか？
純粋で一途で出来た嫁
それの何が不満なわけ？
それの何が気に入らないわけ？
出来すぎで不満なわけ？
息苦しくて遊びたかったわけ？
ただ恋愛ごっこしたかったわけ？
自分がまだ男であることを自分で感じたかったわけ？
ﾊﾞｼﾞﾘｽｸに足りない容姿と頭脳を体感したかったわけ？
いいえ
彼は私の体に、手にさえも触れもしませんでした。
最初、離婚に失敗してからずっと。
ﾊﾞｼﾞﾘｽｸが純粋だとか、いい嫁だとか、
そんなことも実は潜在意識では思ってなかったんです。
だから、違和感が満載で、
息苦しくて、
虚しくて、
これは違う！と潜在意識はちゃんと認識していたわけです。
だから、
何も出来なくても、
私に触ることさえ出来なくても、
私を愛することをやめられなかったわけです。
私を愛することをやめようとして、
必死に冷たい態度と、
ﾊﾞｼﾞﾘｽｸは純粋だなど他にも諸々の私が傷つくような言葉、
触らない触らせない、
優しい言葉のひとつもなし。
そんな日々を2年。
そして離れて半年。
それでも彼は、
私を愛することをやめることが出来なかった。
そしてやっと
恐怖や打算を昇華して、
勇気をもって離婚を決意して、
家を出て、裁判して、
私と一緒になるために、
必死に頑張ってくれてる。
どんな不利な状況でも、
真実は嘘には負けたりしない。
ちゃんと気づく。
怖い壁が待ってるから、
気づきたくなくて、
逃げたり目を反らしたりしても、
必ず気づくんだよ。
真実からは絶対に逃げられない。
嘘は必ず暴かれる。
そして嘘は絶対に真実には勝てない。
どんな辛い状況でも、
お互いの愛が真実なら、
必ず、変わるときがくる。
明日かも知れないし、
半年後かも知れないし、
1年後かも知れない、
10年後かも知れない。
でも必ず変わるよ。
彼がそうだったように。
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