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髪の毛が抜けたからとはいえ、仕事を休む訳にはいかない。
私は当時、町の小さな病院で働いていた。
患者さんの前で、帽子を被って仕事をするわけにはいかない。
私はショッピングセンターに入っている、ファッションウィッグのお店に行き、ロングヘアの茶色いウィッグを買ってきた。
誰もがウィッグだって思うであろう、テカテカ、ピカピカの髪質のウィッグ。
よく服屋のマネキンが着けているような、コスプレする人がよく着けているような、お人形さんみたいなウィッグ(笑)。
今思うとよくあんなの着けて、外に出ていたなと思う(笑)
…が、その当時はそのウィッグこそが、私にとっては、「普通」でいられるように、私を守ってくれる、大切な相棒だった。
でも、所詮はファッションウィッグ。
不自然さ満点(笑)遊びで着けてたら、まぁお洒落ね~で済んでいくが、仕事だと違和感アリアリ

私を見る人見る人、目線が頭にいくのが分かる。
でも、気付かない振りをして、バレてないバレてないと自分に言い聞かせていた。(バレとるっちゅーねん笑)
仕事は大変だったけど、同期の子達が優しかったし、普通に接してくれたから、私は頑張れた。
でも、もう、限界だった…。
ある日のこと、一人の患者さんに呼び止められた。
「あなたって…ひょっとしてかつら着けてる?」
私は固まってしまった。「えっ…、えーっと…。」
患者さんは言った。
「ごめんなさいね、いきなり。私の娘が脱毛症だから、カツラ着けてて。それでもしかして、あなたもかなと思って、声掛けちゃったの。辛いよね、ごめんね。」
私は仕事中にも関わらず、その人の前で大泣きしてしまった。
かつらだってバレたことが悔しかったのか、脱毛症に同情されたことが悲しかったのか、私の他にもこんな辛い思いをしている人がいると思ったからなのか…
色んな思いが心の中を駆け巡り、何だかよく分からなかったけれど、涙が溢れて溢れて止まらなかった。
でも、私は気丈に仕事を続けた。
母の言葉を受け取るまでは。
続く。