宗祖 智証大師 生誕1200年 慶讃大法会
天台寺門宗総本山 園城寺[ 三井寺 ]にて
2014年11月16日( 日 ) AM 10:30
あたたかな晩秋の陽ざしが
僕ら4人のオートバイ乗りの上に
燦々とやわらかく降りそそいでいる
三井寺へとたどり着いた僕らは
中に着込んだモコモコのシャツや
厚い冬用のジャケットを脱ぎ捨てる
それほどにこの日はあたたかく
降りそそぐ陽ざしはやさしかった
軽装になった4人は
駐車場に残したそれぞれの相棒に
しばしの別れを告げ歩き出す
さてと いきますか
受付のある仁王門から
浄域へと続く階段を上ると …
鮮やかな五色幕に覆われた
桃山時代を代表する名建築として知られる
金堂〔 本堂・国宝 〕が見えてきた
荒くはないけれど大きな風の手が
僕の見ている前で五色の布を
ゆったり波打つようはためかせている
その大きな風は …
冬の到来を告げる冷たい風ではなく
森羅万象を讃える穏やかな地球の胎動だ
僕はその光景を切り撮りたくて
地面にしゃがみ片ひざをつき
cameraバッグからレンズを …
宝物の75mm f1.8 Blackを取り出す
ぴかぴかの黒曜石を思わす黒い鏡胴の先では
大きなガラスの塊が存在を主張している
静けさを湛えた湖面のようなガラスは
陽光を吸いこみ妖しい輝きを放つ …
いつまでもうっとり眺めていたくなるそれを
僕は慎重にcameraに取りつけた
片ひざをついたそのままの態勢で
ファインダーをそっと覗くと …
一切経蔵 〔 重要文化財 〕
室町初期の建築で、慶長七年( 16o2 )、
戦国大名・毛利輝元により
山口県・国清寺より移築、寄進された。
堂内には高麗版一切経を納める
回転式の八角輪蔵がある。
~ 資料より抜粋
レンズの向こう側に広がる世界はどこか
現世でなく悠久の時に揺蕩う幻のよう …
日本刀の切っ先に通ずる凛とした美しさ
建築のことはよくわからないけれど
その構造美に見られる荘厳な佇まいに
僕は時を忘れいつまでも魅入ってしまいます
もう少し紅葉してたらよかったね
それにしても今日はほんとあったかい
そして僕は恋焦がれたかの人が御座す
唐院 智証大師御廟 〔 重要文化財 〕へ
拝啓
くれは散り染むる晩秋の候
黄不動尊さまにおかれましては
いかがお暮しでしょうか
その後ご壮健のことと拝察いたします
先日はゆくりなくお会いする好機を賜り
まさに恐悦至極の境地でありました
雅やかでゆかしく目もあやな御姿に
面映ゆい思いでただ只ふるえるばかり
… … … 幸い … …
お与えくださった … 努々… しません
… かばかり … … 生者必滅 … れる … 忘れは
さなきだに … その胸の … とつおいつ …
… … 会者定離 … … こい …
… …
こいねがわくは …
いつの日にかふたたび
現世で御身と … 逢見ゆ奇跡に …
どうぞ御身体をくれぐれも
ご自愛くださいますように
敬具
十一月二十二日 マァ
黄不動尊 様
あれっ …
viviさんたちどこだろう …
連絡しないと …
携帯 … 黒寅のとこだ
… うん きっと歩いてたら会うよね
とりあえず
駐車場いってみますか …
そうして僕は
晩秋のあたたかい風に吹かれ
かろやかに色づいた紅葉の道を歩きます
駐車場にて …
あっ もしもしviviさん
… いま食堂ですか?
はい! すぐ行きますね
黒寅? もうちょっと待っとってね
駐車場に隣接した食堂へ向かう僕の目に
仁王門のそばの紅葉がとまった
どこよりも紅く燃え立つ炎樹のまわりでは
たくさんの観光客が記念写真を撮っていて …
多くの人たちは嬉しそうにポーズをとり
とても楽しそうな声がさざめいてる
でも僕の耳にはその声は遠くかすかでしかない
見るともなく横目にしながら
みんなの待つ食堂へ僕はとことこ歩いてゆく
燃ゆる紅( くれない )の葉は
陽光をうけ風に揺すぶられ眩しく光っていた
それは紅葉全体が白光するよう波打ったかと思えば
しかし次の瞬間
燃ゆる木立のいくつもの隙間で
陽光が夜空に瞬く金色の星のように …
綺羅綺羅と夢のように詠いだした
僕はその金色の煌めきに向けて
手にしたcameraを構えファインダーを覗く
刹那 …
僕の耳にはフォーカスリングの
微細なカリカリとした音だけが聴こえていた
そのほかには何一つ音とてなく、
寂幕を極めている
僕はこころがシャッターを切る
その瞬間を
ただ静かに … 待っていた
~ f i n











