嫋やかなる金色の尊像に会いたくて …
僕はオートバイに跨り旅立った
金色の陽ざしが粉雪のように降りそそぐ
あたたかな秋の夕暮れのことだった
2014年11月15日( 土 ) PM 3:00
仕事を早めに切り上げた僕は車の中
午後の陽ざしに目を細めながら
旅へのはやる気持ちを抑え家路を急いでいた
帰宅した僕はカーポートで微睡む相棒の
真新しいカバーに手をかけめくる
“ 黒寅 ちょっと待っとってね ”
めくったカバーの下から顔を出した
カフェオレ色の相棒は眠そうで …
美しい茶とベージュの毛並みは
陽ざしを受けまろやかな光を湛えている
“ 久しぶりだね 黒寅 … ”
5月の事故から半年 …
またこうして一緒に旅に出かけられる喜びに
僕は心をふるわせ生まれ変わった相棒を見つめる
あっ
あんまりのんびりしとったら
待ち合わせに遅れる!
僕は電光石火で支度を済ませ
これまた真新しい旅のシートバッグを
黒寅の背なにしっかり固定する
じゃあ 黒寅 いこう!
2014年11月15日( 土 ) PM 5:00
山陽自動車 龍野西SA( 上り )
疾走りはじめて1時間
僕らは給油のため龍野西SAに滑り込んだ
この季節は昼と夜の寒暖差が激しく
その間( あわい )である夕暮れどきは
昼の温度が一気に失われるためか
一番寒さを感じるように思う
絡みつく風の鎖を千切りながらの高速走行は
久しく味わっていなかった疾走の喜びと
久しくて忘れていた手足震える冷えを思い出していた
僕らは混みあうSA内をぬけ二輪駐輪場へ
さてと まずは …
用をたし手を洗うとき
目の前の鏡に映る男を僕はまじまじと見た
黒いレザーのジャケットを纏い
細身のグレンチェックのパンツを履き
足もとにはシフトペダルで汚れたロングブーツ …
どこから見ても男の姿はオートバイ乗りだった
“ またもどってこれたんだ ”
僕はオートバイ乗りとして
もどってこれたことがただ嬉しくて …
風のオートバイ乗りとして
オートバイ乗りの恰好でいられることが嬉しくて …
何だか泣きそうな気持ちになった僕は
鏡から目をそらし蛇口の水でごしごしと
恥ずかしまぎれに手を洗ったんだ
僕はBlackの缶コーヒーを手に
黒寅のかたわらに腰かけひと休み
駐輪場の屋根には僕らの姿が映っていた
僕らを見下ろし何かが言ったんだ
クロイオートバイジャナインダネ
モウクロトラデワナイノ?
僕は何かを見上げこう言ったんだ
うん ちょっといろいろあってね
黒寅はカフェオレ色になったんだよ
カフェオレ色だけど …
ちょっと姿形が変わったけど …
この子はずっと前から一緒にいる
僕の相棒の黒寅なんだ
僕の大切な相棒なんだ
2014年11月15日( 土 ) PM 7:15
いつもなら16日の早朝に出発し
日帰りとなる弾丸ツーリング
しかし今回旅をご一緒させてもらう
京女のviviさんのご厚意により
京都で前泊させてもらうことになったのです
viviさん お久しぶりです!
2月の桜ドライブ以来ですよね
時間もちょうど夕飯時
さっそくご飯行きましょうか
今夜の閨に荷物を置かさせてもらい
黒寅にも居心地のいい閨が用意されてて
ありがとう viviさん
いつも最高のおもてなしをしてくださって
2014年11月15日( 土 ) PM 8:00
前夜祭と再会を祝し
viviさん行きつけの焼き鳥屋さんへ
まずはおでんで乾杯
上品な澄んだおだしがじっくりしみてて
これは美味い!
お酒はですね
明日に備え軽く飲もうと思って
僕はハイボールにしたんですよ
viviさんはお湯割りか何かだった
ところが!
焼き鳥がどれもびっくりするほど美味しくて
気がついたら …
“ すいません 〇〇〇をロックで … ”
“ すいません 〇〇〇〇〇〇をロックで … ”
“ すいません 〇〇〇〇を … ”
これね
ネギまのニンニク版“ 皮ニンニクま ”です
その前に注文した“ せせりニンニクま ”に
大食いバトラー撃沈させられてしまって
追加で注文したらせせり切れで …
その変わりの“ 皮ニンニクま ”
これらの美食を前に大食いバトラー完全敗北 …
ごちそうさまでした
その夜はほろ酔いも手伝って
心地よく眠りにおちました
さて明日は どんな一日になるだろうか
2014年11月16日( 日 ) AM 8:30
我 東方の空確認せり! 怪しき雲無し! よし!
我 南方の空確認せり! 怪しき雲無し! よし!
我 北方の空確認せり! 怪しき雲無し! よし!
我 西方の空確認せり! 怪しき雲無し! よし!
じゃあ viviさん いきますか
そうして僕らは澄みわたる蒼天のもと
今回の三井寺ツーリング
もう二人の同行者との待ち合わせ場所へ
動き始めた京の都の冷気を切り裂いて
viviさんの白い虎が軽やかに疾走り出す
僕は鋼鉄の鼓動を路面に反響させている
相棒の横腹を軽くポンポンとなでる …
黒寅 いくよ!
疾走りだした僕の体に冷たい風が絡みつき
ヘルメットの隙間から入った風が頬を撫ぶる
それは本当にとても心地よくって
僕は自然と口もとに笑みを浮かべる
やがて市街地を流るる河川を
シールドの右手にとらえたころ
川面のキラキラした乱反射に見惚れながら
僕はこころのギアを1つ上げた
と …
こころの中の何かがカチャッと音をたて
僕は幸せのspeedを少し強めた
川面の乱反射はゆるりと金色に溶け
前方を疾走る白いmotorcycleが
ゆるやかな左コーナーにすっと消えていくのを
醒めてみる夢のように …
僕は見ていたんだ
To Be Continued ♪ →






