秋の京都、紅葉スポットを観光したいと思っていたのですが、
有名観光地には、アジア系外国人がわんさかと押しかけているとの情報を得て、快適な観光はできないだろうと判断。
そんなわけで、
比較的人が少なそうで、それでいて見るべき箇所が多くて、紅葉も美しく、京都らしい雰囲気が素敵な場所といえば・・・。
それは、大原の里しかないと考えたのですよ。
京都駅から大原行のバスに乗って約1時間。(片道560円)
ところがですね、
バスの本数が30分に1本しかないうえ、超がつくほどの満員バス。
そしてお客さんの4分の1が外国人でした。
バスから降りて、三千院のある方向を目指します。
いわゆる「大原の小径」と呼ばれる場所で、かつては大原女が頭に花籠などを乗せて売り歩く姿が人気でした。
ところが、大原女なんて一人も出くわさなかったし、
石碑の詩(永六輔作「女ひとり」)に描かれているような、恋に破れた着物女性らしき姿も、ぜんぜん見かけなかったですよ。
たけど、この小道には素敵なお店やカフェが幾つも点在していて、ちょっと嵯峨野に似た雰囲気は良かったですね。
手すき和紙の店「もとしろ」
ずらりと並んだ樽は、京漬物「志ば久」
町家に色づき始めた紅葉がちらり。
三千院に向かう石段。
石段を登ると、左右にお店。
その先には色づいた紅葉の木々。
雑貨店? 心の里「きずな」
ようやく三千院の御殿門に到着。
門跡寺院の風格あふれる重厚な御殿門です。
拝観料700円を支払って入場。
建物内は、靴を脱いで見学します。
三千院は、平安時代に天台宗祖の最澄が比叡山に建立したのが始まりで、そののち大原の里に移転。
代々皇族が住持に就く格式の高い門跡寺院となって現在に至っています。
聚碧園
江戸時代の茶人、金森宗和が修築したお庭で、ため息が出るほど広大で美しいです。
お客さんが、縁側に鈴なりでお庭を見ています。
室内にはお茶席もあって、観光客が抹茶をすすりながら庭を堪能していました。
ゆったりと時が流れ、心の落ち着く空間です。
その後、
靴に履き替え、外に出ます。
宸殿には薬師如来。
往生極楽院には、国宝の阿弥陀三尊像。
両方とも撮影不可だったので写していませんが、どちらも神秘的な場所だったですよ。
苔庭や杉木立を彩る紅葉が美しい有清園。
往生極楽院をバックに、お地蔵様
赤く色づいた紅葉に苔の緑と池に映る空の青。
「東洋の宝石箱」とも言われるお庭です。
(写真の腕が残念なので、肉眼での美しさが十分にお伝えできていません)
石灯篭とわらべ地蔵。
京の七福神と呼ばれる弁天様。
紅葉スポットは幾つも見られますよ。
金色不動堂
ここに鎮座されている金色不動明王様は、どんな願いも叶えてくれるという頼もしい存在です。
左のちょっとだけ見える建物で、熱々の梅昆布茶が頂けますよ。
渓谷と赤い橋。
子猫を抱くわらべ地蔵。頭に紅葉の飾り。
このような小さな石のわらべ地蔵が随所に見られます。
三千院の出口あたりで見られる紅葉。
撮影スポットの一つです。
次に訪れたのは、宝泉院。
宝泉院入り口です。
拝観料800円(抹茶と菓子付き)
800年前(平安末期)に、勝林院の僧坊(僧の住まい)として建てられた寺院です。
盤垣園
紅葉に竹林、池など里山の風景が重なり、奥行きを感じさせます。
池には沢山の錦鯉が泳いでいました。
赤い毛氈の上に座って庭を眺めながら、お茶と菓子を頂きました。
客殿の柱と柱、鴨居の空間を額縁に見立てる「額縁庭園」。
正面の大木は、樹齢700年の五葉の松です。
観光客が庭を眺める廊下の上の天井は、伏見城遺構の「血天井」。
関ケ原の戦いの前、徳川方の鳥居元忠が守る伏見城が西軍の攻撃にあって落城。
元忠ほか400名が討ち死にした時の血に染まった床を宝泉院の天井に使ったものです。
当時の生々しい血の跡が今も伺えます。
血の付いた手で床を引っ搔いたような跡がくっきり。
それを知らないお客さんは、庭を眺め、お茶をすすりながら静かな刻を堪能されていました。
囲炉裏の間。
囲炉裏を囲んでグループでワイワイ話すのも楽しいでしょうね。
建物から出て、庭(宝楽園)を散策します。
庭にある井戸。
竹の口から流れる水。
長~い敷石の続く素敵な小径。
ここを過ぎると出口です。
次は、あまり人に知られていないけど、
超お薦めなパワースポットがありますので、大原に訪れることがあれば、ぜひ立ち寄ってみて下さい。
その場所とは、
出世稲荷神社
豊臣秀吉が関白太政大臣にまで出世したことにあやかって建てられた神社です。
もともとは秀吉の邸宅、聚楽第の中に稲荷神社が創られ、当時の後陽成天皇が、農民から関白まで昇りつめた秀吉にちなんで「出生稲荷」と名付けたのが始まりです。
その8年後、
聚楽第は取り壊され、出生稲荷はいったん二条に移されましたが、いろいろあって、そこからさらに現在の大原に移築されました。
(平成24年(2012年)に、鳥居とともに現場所に移転)
出世稲荷神社入り口
鳥居が幾つか見えますが、かつて江戸時代には300を超える鳥居があったそうですよ。
実際に出世した人が、お礼として奉納したみたいです。
ご利益があるみたいですね。
鳥居と紅葉
本社のお稲荷様。
末社・摂社
手前から「禄石大神」「寿石大神」「福石大神」の三大神と呼ばれる社は、勝負運、強運、財運にご利益があるとされ、投資家やギャンブラーが好んでお参りするみたいです。
そしていちばん奥が「水神社」。水の神様を祀っています。
出世鈴。(700円)
陶器で作られた鈴で、参道の社務所で販売されています。
「出世」は、会社員など組織で働く人のものだけではありません。
芸術関連の人や一匹狼みたいな人には、出世は無縁のものと考えがちですが、
「出世」ではなく「世に出る」ものと考えれば、目標を持って頑張っている人すべてに関係するものではないでしょうか。
作った作品は「世に出す」。人は「世に出る」。
その意気込みで文化活動も頑張りましょう。
そんなわけで、私も購入しましたよ。(家の玄関に飾っています)
これで「世に出る」、間違いな~し
一足早い洛北の秋、最高ですよ。