知ってるつもりで実は知らない・・・シリーズ 第2弾

 

スキーを長年続けていても、ほとんどの方が知らない?

シェルとインナーと足の間の隙間問題を説明します

 

最低でもこれから論ずる内容は理解していないと、

専門家とは言えないですよねぇ・・・

 

(図1:スキー靴を履いた時のデフォルメ断面図)

スキーブーツのフィット性に関しては、下記の項目が複雑に絡み合ってきます

まずは状況判断をするポイントの説明です

 

①足の形状

 ・偏平足かどうかは非常に大きな問題です

   舟状骨突起の当たり具合

    骨が出ている場合、シェルを膨らませれば良いと言う問題ではないです

    シェルを削るのも違います

    突起が出にくいポジションにする事が重要なのです

   アーチの低下による脂肪?の付き具合

    足のしびれの原因になりやすいですね

   アーチの低下が起因となるくるぶしの位置のずれ

    内くるぶしは前方斜め下・外くるぶしは後方斜め下 の部位が当たりやすいです

   開帳足の状態になりやすく、MP関節部分の違和感や痛みを感じやすくなる

   *手っ取り早くニュートラルな状況にするには、きちんとしたノウハウを持った方に

     オーダーメイドインソールを作って貰う事ですね(自称職人じゃダメですよ)

     レベルの低い方に作って貰うなら、成型済みインソールの方がましなのかも知れませんが…

 ・くるぶし-足首-ふくらはぎの凹凸左矢印左矢印左矢印ここが特に重要です

   個人差はありますが、ほぼ全員が凹凸と言うかくびれがあるはずです。

   (むくみやすい体質の方は除きます)

   ここ形状をしっかり認識しておくことが必要です

 

 ・かかとの形状

   若い世代になるほど、踵の幅が細い傾向にあります

   アキレス腱の下部のラインから踵のラインに出っ張りがなく

    すとんと落ちるような形状の方がたまにみえます(特に女性)

 

 ・甲の形状

   ハイアーチの人は、純粋に甲(リフスラン関節の親指の所)が高くなっている場合があります

   回内を起こしてアーチが低下している方は下記のような状態になりやすいです

    MP関節部が低くなった結果、相対的に甲が高くなる

    骨の位置関係がブーツの設定から内側にずれる為、甲の突起部分が誇張される

 

 ・指先の形状

   スキーブーツを指先の形状を比べて貰うと、明らかに小指部分の形状が違いますよね

   スキーブーツのようにシュッとなっている形状の方なんて、日本人ではほとんどいません

   小指の指先のボリューム感が合う訳がないのです

   

②インナーの形状

 ・ヒールポケットはあっているか

   痛みが出ないように、比較的フィット感がルーズな場合が多いです

   たまに厚めのパッドを入れているメーカーもありますが、厚ければ良いと言う訳ではないです

 

 ・足首周辺の押さえ左矢印左矢印左矢印ここが特に重要です

   あまり厚めのパッドを入れたりして、足首を追い込むようなボリュームでインナーを作ると

   店頭販売時に足入れがし難くなると言う販売上の理由で、何処のメーカーもほとんど凹凸がないですね。

   *図1の足首部分の黒丸のあたりです

   日本人の場合、ふくらはぎの位置が低く太い場合が多いので、外人よりも隙間ができやすいです

 

 ・つま先の形状

   基本的にはシェルのボリュームに合わせていますので、指先は細いです

   最近はネオプレン素材などを採用して伸縮性と保温性を両立させたタイプも増えて来ましたが、根本的なボリュームが・・・

   素材を縫い合わせる部分は伸びる訳がないので、当方も結構苦労しています

 

③シェルの形状

 ・ロアシェル

   最近の靴は余分な部分はシェイプアップして、足に合わせて追い込んだり逃がしたりと、最初から違和感が出にくい形状になっています。

   最近当方では、小指周辺のボリューム調整は必須ですが、後は必要最低限の加工しかしません

   きちんとしたバランスのオーダーメイドインソールをSETするので、大改造は減りましたね

  

   サイドヒンジから上の部分に関しては、ほとんどの場合は凹凸はないです

   あまり凹凸を作ると、アッパーシェルとのかみ合わせが悪くなり、スムーズな前傾運動がし難くなるからです

 

 ・アッパ-シェル

   ロアシェルの最後に書きましたが、足に合わせすぎる形状に凹凸をつけると動きが悪くなります

   その為、どこの靴でもアッパーシェルは比較的凹凸のない形状になります

 

   凹凸の少ない形状で、凹凸の多い足首をフィットさせることが出来る訳がないです

 

   ふくらはぎが太い方の場合、シェルのフクラハギが当たる部分をトランペットのように逃がしてあたりを変えると、フィット感がUPする方はみえますね

 

部位別・対応方法の例

 

①アーチが低い-甲が当たる-舟状骨が当たる

 ・オーダーメイドインソールを作り、骨のバランスが正常な位置に収まりやすいようにサポートする。

  ⇒インソールについては後日詳しく公開予定です。私の作り方はクレイジーです

 ・それでも甲が当たる場合は、部分的なシェル加工を実施する/主に膨らます

 ・それでも舟状骨が当たる場合は、シェルを膨らますかシェルを削るしかないですね/部分突起の場合のみ

 

②くるぶし-足首-ふくらはぎの凹凸

 ・くるぶしの位置を確認して、インナーの外側にパッドを貼ります。

  基本的には隙間を埋めると言う事を目的とします。

  *この加工により劇的にパワー伝達効率は向上します。

    ブーツを踏んで横に倒した時やひねり運動をした際に、明らかにブーツを押せるようになるので動きが変わります

 

 ・パッドを貼る加工の場合、インナーの出し入れ時にパッドがずれる事が多くなります

  また、形状をおおむね予想してパッドを作り貼るので、どうしても隙間と言うのは出てきます

  フィット感の精度を向上させるには、PUフォームインナーしか方法はないです

  *2液混合型のかかと周辺から注入して、指先から余分な液を排出できるオーソドックスなタイプです

    かかとから入れるのみで袋状のスペースに注入するのみのタイプはダメですね 

 

  フォーミングインナーの欠点は下記の部分です。理解さえすれば問題はないのですが…

   A:作り手のノウハウやスキルにより、仕上がりにばらつきが凄く出る

      最低でも年間15~20足以上は加工していないと、上手く作れるわけがないです

      ・発泡ガスの抜き方

      ・血液がスムーズに流れやすくするための工夫

      ・液の混合比と温度の調整

      ・最低限必要な遊びスペースの確保

   B:使用目的によるフィット感の問題

      純粋に滑る事が目的の場合は、何も問題はないですね

      しかし、下記のような状況では、タイトすぎて快適性は・・・(泣)

      ・ハイクアップ時/上下動が多すぎますね

      ・子供と遊ぶ時/滑る以外が多くて、要らない動きがどうしても増える為

      ・スクールの講師の仕事をする時/ノーマルインナーのようなルーズフィットの方がベターらしいです

   C:その他

      ・体質で皮膚や骨が弱く圧迫を受けるとすぐに角質硬化や軟骨が出来る人は向かないかと思います

      ・発泡ウレタンを注入してスペースを埋めるので、どうしても絶対重量は重くなります

        実際に履いてみるとフィット感が違うので軽く感じ・体が動かしやすくなります

        滑る時以外・特にリフトに乗っていると重さを感じるそうです

 

 当方は、東海北陸エリアにおいては、ダントツの数量のフォーミングインナーを作っています

 全国的にも珍しいフォーミングインナーを数種類・常時在庫を持っている販売店なのです。

 息を吸うようにフォーミングインナーを作っていますね

 

 ・そもそもなぜ隙間を埋めるかと言えば、理由は単純明快です

  気密性がない状態の空気が力を伝えるなんて不可能です

  (気密性の高いスペースに空気を送り込み高圧状態を作った場合は、力は伝わりますが…)

  タイト目の靴を履いて、足首部分に隙間はないと思い込んでいる方が多いのですが

  構造的に足首部分をノーマルインナーでちゃんとフィットさせる事など構造的に不可能なのです

  私の経験上、インサイドは10㎜以上アウトサイドは5㎜以上の隙間が空いている事がほとんどです

 

赤丸の周辺しか力は伝わりにくいです(黄色の部分は空気です)

 

 ・シューレース付きインナーの盲点

  ここ最近選手用ブーツを中心に、シューレースが付いた編み上げ式タイプが流行っています

  ひもを締めたら足と靴がフィットしてると思い込んでいる勘違いさんが多いようですが(上の図)

  いくらひもを締めても、足とインナーのフィット感は向上しても、インナーとシェルには隙間が空くだけなのです

  それも紐を締めた時に作用するラインのみですね

 

  ただ・・・シューレース付きインナーを採用している靴は、基本的にタイト目のロアシェルとなっています。

  そしてシェル硬度の高い素材を使っていますので、足の裏から踵廻り→くるぶしの頂点→アッパーシェルの上端の3点で力を伝えていても、十分滑走できる状態になるので問題はないと思い込んでいるだけなのです。

   力の伝わるポイントが点と線なのです。面ではないのです。

   当たり前ですが、面の方が効率よく力が伝わります。

   流行りだから使う気持ちもわかりますが、もう少し冷静に考えた方が、効率よく滑れると思いますね

 

③かかと周辺

  基本的にはパッドを貼ってボリュームコントロールするしかないと思います

  フォーミングをしても構造的に液があまりはいらない部位なので・・・

 

④指先

 ・ほとんどの場合、小指の付け根部分に問題が発生します

   一般的には横方向にシェルを膨らまします

   当方ではやや斜め上方向に加工しますが…

 

   が、しかし・・・当方では先に小指の先の部分のボリューム出しをします  

   実際に足を触るとわかるのですが、ねじれている小指を真っ直ぐ正常な位置になるように動かすと、小指の付け根部分のでっぱりが少なくなります。

   オーダーインソールを採用して、バランスが保ちやすくなる状況を実現した場合なら、小指の先の部分のスペースを確保する事で付け根部分のあたりが緩和する事が多いのです。

   どうしてそのような事をするかと言えば、インナーによっては小指の付け根部分のボリュームコントロールが出来ないタイプもあるからです。いくらシェルを拡げてもインナーが突っ張っていては、付け根部分の圧迫解消にはつながらないからです

 

 ・外反母趾部分

  女性の方に多いのですが、結構男性の方も見えますね

  医療機関ではないので、治療行為は出来ないので、シェルの加工とインナーの加工を併用するしかないですね

  フォーミングをしたら、多少はフォーム材の厚さの調整により痛みは感じにくくなるそうですが、過度の期待は出来ないです

 

 ・親指の先

  親指が上に反り返っている形状の方が多いので、爪をきちんと切って頂く方法がベターです

  明らかに指先の形状が飛び出す場合は、自作の特殊な木型を使って膨らませます

  指先って単純に首平方向や縦方向にスペースを作れば良い訳ではないので、厄介です

  上手くは表現できませんが、3次元的にひねった動きを出す木型です(形状は秘密ですよ~)

  一般的なシェルを膨らますパーツにひねりの要素など皆無です

 

****************************************

 

まとめ

 

様々な諸事情により、足と靴の間にはスペースが空いているのです。

効率よく御自身のパワーを板に伝えるには、ブーツ内の隙間を埋める事が重要なのです。

これは上級者のみならず、今から上達したいと考えている方や、歳を取って力がなくなったとお嘆きの方にも有効なのです。

 

毒舌ですが、わかってるつもりでインナーのフィッティングに関心がない方はスキにすれば良いのかなと思って笑っていますね。

 

当方は、少しでも効率よく楽に滑りたい方や上手く滑りたい方を応援して行くスタンスです

 

フォーミングが一番ですが、ちゃんとパッドを貼って調整して行けば、それなりのパワーロス軽減にはつながります

フォーミングとパッドの差は精度ですね

 

次回予告

「知ってるつもりで実は知らない・・・力のベクトル(荷重ライン)ってわかりますか?」

 ・力は骨を伝わりますよね

 ・積み木と思えばよくわかる骨格のズレ

 ・ナローラストはなぜ力が伝わりやすいのか?

 

近日公開します

 

広告???

 まじめにスキーブーツのフィッティングを覚えたい業界関係者の方はお気軽にお問い合わせ下さい

 ディープな内容でスパルタンな講習が、技術習得の近道ですよぉ~(笑)

 ネットビジネスのみ頑張ったって、リアル店舗の存在価値&魅力は上がりませんよね

 競合店と絶対的な差をつけたい方のみ募集しております

 

☆☆☆ 業界全体のレベルが上がって欲しい AG-TUNE・中西です ☆☆☆
            ハガサキ
〒511-0944 桑名市芳ヶ崎1298-22
TEL 080-3683-8369
Eメール   info@ag-tune.com
URL 【PC】 http://www.ag-tune.com
ヤフーショッピング https://store.shopping.yahoo.co.jp/ag-tune/
公式ヤフオク http://openuser.auctions.yahoo.co.jp/jp/user/ag_tune
フェイスブック 「 AG中西 」で検索して下さい
ツイッター  https://twitter.com/strongbatter