夏目漱石の「こころ」を久しぶりに再読いたしました。
読み終わり、思い浮かんだのは聖書の一節です。
エレミヤ17章9節に「心はほかの何物にも勝って不実であり、必死になる。だれがこれを知りえようか」とあり、それに基づいた話であるように感じたのです。
”あなたは真面目ですか”と繰り返し聞く先生。
良い叔父がお金でころりと不実になり、親友Kを助けたいと思った純粋な私(先生)の心さえ不実になり必死になるのですから。
Kの一番弱い部分にメスを入れ、お嬢さんへの想いを断ち切らせようとし、それでも信じられずKを自殺に追い込む。
その不実さにそれを背負って生きる辛さが伴います。
乃木大将の30年に及ぶ、死を考え続けた辛さを自分に重ねることに、更なる不実を感じました。
Kは不実ではなかったのかもしれません。遺書は私(先生)への感謝しか書いていなかったのですから。
或いはそれが、更に私(先生)の不実を思い知らされる要因となるのでしょうか。
毎月の墓参りの際、私(先生)の心は、不実なのでしょうか、或いは真面目なのでしょうか。
私たちは容易に不実になり必死になりうることを、改めて考えさせられた小説でした。