Woman第7話を見ながら、ボクは涼ちゃんを思い出していた。彼女はドラマや映画で現実味の薄い状況設定が続くと、こんなの絶対にありえない、といって怒りだすのが常だったから、どこかでこのドラマを見ていたら、きっと今回あたりでそっぽ向いちゃってるんだろうな、と思うとおかしかった。彼女に言わせると、ありそうでギリギリない、くらいの中で、あっちに転んだりこっちに戻ったりするのがいいのだそうで、あまりにも現実からかけ離れると、あほらしくて共感できなくなるというのだ。なるほど、それはそれで納得できるね、と、同意した覚えがある。
確かにこの作品は、そこまでやるか、くらいの過去や事情が登場人物のそれぞれにあるから、涼ちゃんのように生理的拒否反応を示す人がいてもちっともおかしくないと思うが、他方で、このくらいハードな設定にしないと、刺激がなさ過ぎてつまんなく感じてしまう人もいるだろうし、極端な設定で追い込むことにより、作り手の伝えたい部分が逆に際立つ、ってこともあるだろう。
ボクはどちらかというと、登場人物の誰彼かまわず、すぐに入り込んでしまうタチなので、泣けるよな、とか、そりゃ怒るよな、とか思ってしまうところが涼ちゃんにはいちいち面倒くさい奴だ、と思われていたような気がした。
そんなことを考えているところに恵太君から電話があって、例の台湾料理店に行ってみようよと誘われた。そういえば今朝、パンを齧っただけで何も食べてないな、と、少し空腹を感じたので、じゃあいくよと返事した。
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台湾料理の店は、前がコンビニだったところだが、店内に入ると、商品倉庫で隠れていた部分があからさまになっていて、結構広いもんなんだなと妙に感心した。壁がまっ白で、丸テーブルのない店内は、中華料理店というより、山岡家に近い感じがした。てっきりチェーン店と思っていたのだが、店員がやたら多く、イラシャイマセと迎えられると、台湾人の大家族が経営しているようにも思えてきた。
メニューを見ると、ふつーに北京ダックとかもあって、どこがどう中華料理と違うのか、ボクにはよくわからなかった。結局、五目そばを注文して、テーブルに置いてあったお酢を半分くらいかけて食べた。ボクの中では、山岡家風の中華そば店、という位置づけになった。台湾ラーメンとやらを食べていた恵太君は終始無言だった。あまり気にしないでおこう。
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食べ終わって、じゃあ今日も世界陸上でも見るか、ということになって部屋に戻ったが、やってなかったので、なんなんだ、とふたりでムカついた。仕方ないので、『泣くな、はらちゃん』の麻生久美子でも観賞する?と聞いたところ、恵太君が、もうお腹いっぱいです、というので、じゃあ『レ・ミゼラブル』でも観ますか、ということになって、しばらくは見ていたのだが、オペラは見るくせにミュージカルはどうも肌に合わないと恵太君が言い出し、途中で切り上げた。オペラはちゃんとした歌として聞けるらしいが、ミュージカルは普通にしゃべれば済むセリフをなんで歌にしているのか、そこらへんがどうも気色悪い、ということだった。そういわれてみると、ボクの場合、オペラはほとんどうたた寝のためのBGMで、ストーリーなんか気になったことがない。それに対して、ミュージカルはどちらかというとストーリーの方に関心が向いてしまい、むしろ落ち着いて眠れなくなるのは一体なぜなんだろう、と不思議に思った。
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そうこうしているうちに、恵太君が、夏休みは結局こんな感じ?と聞くから、いつもと全然かわんないよ、そもそも夏休みなんかないし、と応えたら、どこかへ出かければよかった、というので、これからでも出かければ、と適当に答えたら、適当だね、というので、ゴメン、適当、と言うしかなかった。
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そういえば、ユウちゃん来ないな、と思ったが、恵太君もいたし、なんだか疲れたので、まっ、いいか、ということにした。
今日も、なんだかなー、という一日が終わった。
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つづく